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8.ぶにぶにと再戦
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目的のものはすぐ見つかった。ちょうど進行方向に2体、緑のぶにぶにした魔物がいる。本に書いてあったゲル状生物の核というのはおそらくこいつから採れるんじゃないだろうか。とはいえ、まずは倒さねばならない。
「ミルティさん、一体お任せしてもいいですか」
「はい、任せてください」
ミルティさんが木の棒を持ったまま両手を身体の前でグッと握ってアピールする。頼もしい限りだ。しかもかわいい。
「ひじたかさんこそ大丈夫ですか? 昨日の今日で緊張していたりしませんか」
心配そうな顔で聞いてこられた。昨日、僕を瀕死状態まで追い込んだ魔物が目の前にいるわけだが、不思議とそういった感情は湧いてこない。
「大丈夫ですよ、曲がりなりにも一体倒せたのだから今日はもっと上手くやれます」
それを聞いて安心したのかミルティさんはにこりと笑った。
「それじゃあ行きましょう!」
「はい!」
1、2の3で僕らが前に飛び出すとぶにぶに達もこちらへと向き直った…ように思う。何せ全身が半透明の液状で絶えず上下にぶにぶにしているものだから判別がつきづらい。
こちらから仕掛けようか迷っていると直線状の一体に動きがあった。急いで身体を反らす。すぐ脇をぶにぶにの体が通り抜けていった。外見に反して地味に速い体当たりだが、来るのが分かっていれば避けるのは難しくない。こちらからも反撃を仕掛ける。上段から振り下ろした木の棒は、しかし体を掠めただけで、すぐに次の突進がきた。
「うぉぉっ?!」
ほとんど反射で半歩退いたのが運が良かったのか、これもまた回避する事が出来た。お返しとばかりに慌てて棒を振る。しかしこれもただ掠っただけで、相手は相変わらずぶにぶにと元気そうにしている。
ふとミルティさんの方を見れば、ぶにぶにの体当たりをちょうど木の棒で受けて押し返している所だった。昨日も見た光景だ。僕と違って何というか落ち着いている。
再び体当たりが来ると分かったのはこいつらの予備動作に気づいたからだ。こちらに飛び掛かってくる際、奴らは必ず重心を一度後ろに反らす。今度は避けずに棒を両手に横にして構えた。握る手に衝撃が走るが思ったほどではない、見様見真似で手を僅かに引きながら相手の速度を殺すと最後に力いっぱい突き出して押し返す。体当たりを防がれたぶにぶにが地面を転がった。そこに大きく踏み込んで一撃を叩き込む。ぶにぶには液を飛ばしながら震えると間もなく動かなくなった、倒せたようだ。
「すごいすごい、すごいです!」
傍らを見るとすでにぶにぶにを討伐していたミルティさんがこちらに向けて拍手をしている所だった。
「いやそんな、褒められるような事では…」
「でもひじたかさん、昨日と比べるとすごい上達です!どこも怪我をしていませんし、しっかりと戦えていました、すごいですよ! この調子でいけばきっともっと強くなれます」
さすがにそうまで言われると何だか気恥ずかしい。自分はまだまだやれるような、失っていた自信がめきめきと回復していくような、そんな気分になってくる。褒めて人を伸ばすタイプってこういうのを言うのか。
ミルティさんは尚ももてはやしてくれる。どうにもくすぐったく、さすがにその満面の笑顔を直視出来なくなってきた。そっと手を伸ばして、両手でミルティさんの角を掴む。
「えっ、ひじたかさ――」
そしてそのままぐわんぐわん揺らした。
「ひっ、ひじたかさっ、何を?! ひぃ、止めて、止めて下さーい、視界が、ゆ、揺れる~~!」
しばらくぐわんぐわんさせた後、ようやく落ち着いて来たので手を離した。ミルティさんがよろよろと膝から崩れ落ちる。目が回っているらしい。
「ど…どうしてこんな事するんですか~…」
「すみません、何だか恥ずかしくなってしまって」
照れ隠しだったんですかと頭を押さえながらミルティさんが言う。
「うぁぁ~……それでも角は、角はデリケートな部分なんですから掴んじゃダメです~…」
「そうだったんですか? 申し訳ない…」
「うぅ、まあいいですけれど」
ようやく平衡感覚が落ち着いてきたらしいミルティさんに手を差し伸べて立たせる。
「もう掴んじゃダメですよ、めっ!」
可愛らしく怒られてしまった。
「ミルティさん、一体お任せしてもいいですか」
「はい、任せてください」
ミルティさんが木の棒を持ったまま両手を身体の前でグッと握ってアピールする。頼もしい限りだ。しかもかわいい。
「ひじたかさんこそ大丈夫ですか? 昨日の今日で緊張していたりしませんか」
心配そうな顔で聞いてこられた。昨日、僕を瀕死状態まで追い込んだ魔物が目の前にいるわけだが、不思議とそういった感情は湧いてこない。
「大丈夫ですよ、曲がりなりにも一体倒せたのだから今日はもっと上手くやれます」
それを聞いて安心したのかミルティさんはにこりと笑った。
「それじゃあ行きましょう!」
「はい!」
1、2の3で僕らが前に飛び出すとぶにぶに達もこちらへと向き直った…ように思う。何せ全身が半透明の液状で絶えず上下にぶにぶにしているものだから判別がつきづらい。
こちらから仕掛けようか迷っていると直線状の一体に動きがあった。急いで身体を反らす。すぐ脇をぶにぶにの体が通り抜けていった。外見に反して地味に速い体当たりだが、来るのが分かっていれば避けるのは難しくない。こちらからも反撃を仕掛ける。上段から振り下ろした木の棒は、しかし体を掠めただけで、すぐに次の突進がきた。
「うぉぉっ?!」
ほとんど反射で半歩退いたのが運が良かったのか、これもまた回避する事が出来た。お返しとばかりに慌てて棒を振る。しかしこれもただ掠っただけで、相手は相変わらずぶにぶにと元気そうにしている。
ふとミルティさんの方を見れば、ぶにぶにの体当たりをちょうど木の棒で受けて押し返している所だった。昨日も見た光景だ。僕と違って何というか落ち着いている。
再び体当たりが来ると分かったのはこいつらの予備動作に気づいたからだ。こちらに飛び掛かってくる際、奴らは必ず重心を一度後ろに反らす。今度は避けずに棒を両手に横にして構えた。握る手に衝撃が走るが思ったほどではない、見様見真似で手を僅かに引きながら相手の速度を殺すと最後に力いっぱい突き出して押し返す。体当たりを防がれたぶにぶにが地面を転がった。そこに大きく踏み込んで一撃を叩き込む。ぶにぶには液を飛ばしながら震えると間もなく動かなくなった、倒せたようだ。
「すごいすごい、すごいです!」
傍らを見るとすでにぶにぶにを討伐していたミルティさんがこちらに向けて拍手をしている所だった。
「いやそんな、褒められるような事では…」
「でもひじたかさん、昨日と比べるとすごい上達です!どこも怪我をしていませんし、しっかりと戦えていました、すごいですよ! この調子でいけばきっともっと強くなれます」
さすがにそうまで言われると何だか気恥ずかしい。自分はまだまだやれるような、失っていた自信がめきめきと回復していくような、そんな気分になってくる。褒めて人を伸ばすタイプってこういうのを言うのか。
ミルティさんは尚ももてはやしてくれる。どうにもくすぐったく、さすがにその満面の笑顔を直視出来なくなってきた。そっと手を伸ばして、両手でミルティさんの角を掴む。
「えっ、ひじたかさ――」
そしてそのままぐわんぐわん揺らした。
「ひっ、ひじたかさっ、何を?! ひぃ、止めて、止めて下さーい、視界が、ゆ、揺れる~~!」
しばらくぐわんぐわんさせた後、ようやく落ち着いて来たので手を離した。ミルティさんがよろよろと膝から崩れ落ちる。目が回っているらしい。
「ど…どうしてこんな事するんですか~…」
「すみません、何だか恥ずかしくなってしまって」
照れ隠しだったんですかと頭を押さえながらミルティさんが言う。
「うぁぁ~……それでも角は、角はデリケートな部分なんですから掴んじゃダメです~…」
「そうだったんですか? 申し訳ない…」
「うぅ、まあいいですけれど」
ようやく平衡感覚が落ち着いてきたらしいミルティさんに手を差し伸べて立たせる。
「もう掴んじゃダメですよ、めっ!」
可愛らしく怒られてしまった。
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