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第1章
1 初めは舐めただけ
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(めんどくさい)
魔物に襲われて、どうにかこうにか勝てて後は帰るだけ、そう疲れたから早く帰りたいのに帰れない事が起きた。
ちらりと座り込むラオスに視線を向ける。
(置いていきたい……でも、まあ魔物を倒すのを頑張ってくれたのだから歩いて帰れるくらいには回復させてやらないと)
シャウはやることを決めると早速行動に移した。
ラオスの前に跪き、肩に手を乗せ、舌でラオスの唇を舐める。
「……んっ…」
本当は舌同士をくっつけた方が早く魔力を分け与えることが出来るのだが、ラオスが舌を出さないのだから仕方ない。
前に父さんに連れられて行った狩り場で、父さんが魔力切れを起こしたとき同行していた母さんがしていたのだ。
家に帰る時にあれは何をしていたのかを聞くと、母さんは恥ずかしそうにしながら自分の魔力を分け与えていたのだと教えてくれた。魔力譲渡は苦手だからこういうやり方しか出来ないのよと苦笑していた。
シャウも初めての魔力譲渡なため、他のやり方を知らないともいうが、母さんがしていた通りに実行してみた。
「………ん」
遅々として進まない魔力譲渡にイラつきを感じ、ラオスを睨みつけると、ラオスは目を見開いて固まっていた。
「…ッ、ぷっ」
その顔が今まで見たことの無い間抜けな顔だったため、笑いが堪えきれなかった。
シャウの笑い声に反応したのか、首元から徐々に赤くなっていっている。
そして口をパクパクさせ始めたのにも笑いが込み上げてくる。
「シャウ…?」
困惑したまま、僕の名を呼ぶ声に
「そのままで……んっ」
開いた口めがけて自分の舌を入れ込む。
奥に引っ込んでいたラオスの舌を絡め取り、魔力を流し込んでいく。
先程よりはスムーズに流れる魔力にどの位まで渡せば、歩けるようにまで回復するのだろう?と考えていると、突然ラオスの舌が動き始めた。
「ぅん?!」
ラオスの舌がうねり、シャウの舌を舐めたり吸ったり、それから口の中全部を舐め回すかのようにされて、驚いて離れようとしたのに、いつの間にか後頭部に回された手で押さえつけられ口も離せず、体だけでもと思ったのに、こちらもいつの間にか腰に腕が回されていた。
「んんん!」
離せと言葉にならない音を出しながらも懸命に腕に力を入れて離れようとしても、ラオスはびくともしない。
「…っ……」
息継ぎも出来ずに続けられる行為に、シャウは酸欠のために頭がクラクラしてきた。
自分の体から力が抜けてラオスにもたれかかると、ようやくラオスが拘束していた力を緩め口を離す。
シャウを見る目が何故かギラギラして見えるのは気のせいか。唇についた何かを舐める舌にぞくりとしたものを感じる。
「……あ」
何を言おうとしたのかもわからず、声がもれる。
「かわいい」
うっとりと熱を宿した目でみつめられ、ラオスの目から目を離せなくなった。
そしてまた近づいてくる唇を見つめることしかできない。
「んっ……あっ…」
唇が合わさり、また舌を絡められ、吸われ、腰にぞくりとしたものが駆け巡る。
自分の体に走る感覚が何なのかわからず、それについて考えたいのにわからない感覚に思考が乱される。
「…シャウ」
耳元で囁かれ、また舌を絡められながら、ラオスの手が腰の辺りを触れてくる。
ラオスの手が触れた辺りからザワザワとした感覚がする。
「…ぃや」
自分の声とは思えない小さな弱々しい言葉が漏れる。
ガッッッ!!
「ッ…」
目の前からラオスがいなくなるとともに、誰かの腕の中に包まれた。
見上げると、イラザが険しい顔をしてラオスを睨みつけていた。
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