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text18 ラプラスの悪魔
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プロメテウス社の刺客、デウスロイドのイリス、そしてテンペストをなんとか撃退してそのままヤタガラス新宿支部の隠しアジトへ戻ってきた美琴達だったが扉を開けた瞬間飛び込んできたのは奇妙な光景だった
「オーナー、無事に終わっ・・・・ナニコレ」
目の前に広がるメモ紙には数式のような物が書かれており、その中央では目を輝かせながら要が朔相手に何かを熱弁している。その様子を壁にもたれかかりながら眺めているオーナーの手にはクリップでまとめられた数枚のメモ紙の束が握られていた。
「おい色男」
「?」
ふと美琴達が戻ってきた事に気が付いたオーナーが先ほどまで見ていた紙の束をツヴァイに投げ渡す。それを受け取るとツヴァイは不思議そうにオーナーを見た
「テストの採点でもしろってか?」
「・・・・いいから黙って〝その演算式〟を読んでみろ。」
オーナーの言葉にツヴァイは仕方なくそのメモ紙の束を一枚一枚静かに読み始める。最初は興味なさそうにそのメモ紙の束を眺めていたが二枚、そして三枚目と読み進むにつれアイスブルーの瞳がだんだんと楽しそうに細められていく
「?・・・ツヴァイ?」
首をかしげる美琴とアルファをよそに読み終えたメモ紙の束を手の甲で軽く叩くとツヴァイはオーナーに声をかけた
「ーーーー 誰が書いたんだ?この演算式。」
ツヴァイの問いかけにオーナーはくい、と親指をこちらに気づかず朔相手にまだ熱心に何かを話している要を指さす。その様子にツヴァイは一瞬驚いた表情を浮かべると愉快そうに喉を鳴らした
「え?な、なに?」
「俺たちにもわかるように説明しやがれ」
完全に置いてけぼり状態を食らった美琴とアルファの言葉にオーナーは煙草を咥え、火をつけると静かにつぶやいた
「死の舞踏、その演算式だよ。」
「は!?」
「完全正解とまでにはいかないがな・・・ただ、〝限りなく正解に近い〟計算式がそこに書かれてる」
オーナーの言葉に驚く美琴に代わりアルファが訪ねる
「・・小難しい事は俺にはわからねぇ・・だが・・・〝デウスロイドの叩き出した複雑かつ人間には不可能に近い〟演算式を・・・人間が限りなく正解に近い回答ができるとは思えねぇ。」
「アルファのいう通りだよオーナー、それに要ちゃんが死の舞踏をモニターで見ていたとして・・・あの一回きりでしょ?それなのに限りなく正解に近い計算式をたった一回見ただけで・・・・」
「・・ガン=カタは〝、無数の戦闘データ解析により得られた統計理論に基づいて弾道からの退避と共に敵の死角内に回り込み攻撃を行う攻防一体の戦闘術〟・・敵が幾何学的な配置であればその動きは統計学で予見も可能・・だがソイツはフィクションでの話だ・・・まぁ、ソレをこのいけ好かない女王サマが可能にした訳だが。」
アルファの言葉にツヴァイが愉快そうに声を上げる
「へぇ・・・〝坊やにしちゃあ〟行儀の良い説明じゃねぇか・・・まぁ、その通りだ。敵の数、位置、動き、射線、弾道・・・全部を一瞬で計算して最適解を組み合わせたのが俺の死の舞踏。・・人間が理解できるのは動きの一部か見た目の美しさまでが限界。・・・そもそも俺がやってるのは〝目に見えねぇ軌道や次の0.数秒を読む〟思考のレイヤー込みだ・・・だが」
と、そこまで言いかけてツヴァイは面白そうにメモ紙の束を見つめる
「誤差はあっても〝ここまで正確に寄せれる奴〟は居ねぇ。」
その言葉に美琴は静かに要に視線を移す。どうやら会話は済んだらしくこちらに気が付いた要が腕を庇いながら近づき頭を下げた
「・・・助けていただいて、ありがとうございます。美琴さん。それと・・ツヴァイさんにアルファさん」
「いやいやそんな・・・ところで、その・・この計算式、要ちゃんが?」
「あ、はい!そうです!・・・まぁ、誤差とかはあるだろうなって思いましたけど」
美琴の言葉に苦笑いを浮かべる要だったが彼女の髪や瞳を見て美琴はある事に気が付いた
「(インナーカラー?・・いや、違う。自然に髪の色素が内側だけ白くなってる・・それに・・)」
美琴を見つめる要の瞳。日本人由来の色ではなく、ましてハーフ特有の青い虹彩ではなく
まるでガラス玉やビー玉を通して青を見たような色の瞳
「・・・・要ちゃん、もしかして・・」
「あ、やっぱり珍しいですよね。〝ラプラスデビル症候群〟」
ーーー ラプラスデビル症候群。
先の大戦後に発見された新種の遺伝変異の病。今だ研究段階ではあるがわかっている事は以下のとおりである
一つ、異常知性の覚醒。周囲の動きや音、呼吸、光の屈折すら発症者の興味に振れればソレを無意識に計算し未来予測に近い反応が可能
二つ、完全記憶と絶対音感。聞いた音を一度で記録し再現、解析が可能。そして決してそれを忘れない
「・・・患った相手は高性能演算能力と完全記憶を得るが…人間の脳がそんな情報量に耐えられる訳もなく進化の形をした呪いが発症者を蝕む、だっけ」
「まぁ、今のところ髪の色素が抜けてくくらいで違和感は無いですけどね」
美琴の言葉にそう返す要だったがふとツヴァイがつぶやく
「---- だからこそ、プロメテウスはお前たちを狙う訳か。」
「オーナー、無事に終わっ・・・・ナニコレ」
目の前に広がるメモ紙には数式のような物が書かれており、その中央では目を輝かせながら要が朔相手に何かを熱弁している。その様子を壁にもたれかかりながら眺めているオーナーの手にはクリップでまとめられた数枚のメモ紙の束が握られていた。
「おい色男」
「?」
ふと美琴達が戻ってきた事に気が付いたオーナーが先ほどまで見ていた紙の束をツヴァイに投げ渡す。それを受け取るとツヴァイは不思議そうにオーナーを見た
「テストの採点でもしろってか?」
「・・・・いいから黙って〝その演算式〟を読んでみろ。」
オーナーの言葉にツヴァイは仕方なくそのメモ紙の束を一枚一枚静かに読み始める。最初は興味なさそうにそのメモ紙の束を眺めていたが二枚、そして三枚目と読み進むにつれアイスブルーの瞳がだんだんと楽しそうに細められていく
「?・・・ツヴァイ?」
首をかしげる美琴とアルファをよそに読み終えたメモ紙の束を手の甲で軽く叩くとツヴァイはオーナーに声をかけた
「ーーーー 誰が書いたんだ?この演算式。」
ツヴァイの問いかけにオーナーはくい、と親指をこちらに気づかず朔相手にまだ熱心に何かを話している要を指さす。その様子にツヴァイは一瞬驚いた表情を浮かべると愉快そうに喉を鳴らした
「え?な、なに?」
「俺たちにもわかるように説明しやがれ」
完全に置いてけぼり状態を食らった美琴とアルファの言葉にオーナーは煙草を咥え、火をつけると静かにつぶやいた
「死の舞踏、その演算式だよ。」
「は!?」
「完全正解とまでにはいかないがな・・・ただ、〝限りなく正解に近い〟計算式がそこに書かれてる」
オーナーの言葉に驚く美琴に代わりアルファが訪ねる
「・・小難しい事は俺にはわからねぇ・・だが・・・〝デウスロイドの叩き出した複雑かつ人間には不可能に近い〟演算式を・・・人間が限りなく正解に近い回答ができるとは思えねぇ。」
「アルファのいう通りだよオーナー、それに要ちゃんが死の舞踏をモニターで見ていたとして・・・あの一回きりでしょ?それなのに限りなく正解に近い計算式をたった一回見ただけで・・・・」
「・・ガン=カタは〝、無数の戦闘データ解析により得られた統計理論に基づいて弾道からの退避と共に敵の死角内に回り込み攻撃を行う攻防一体の戦闘術〟・・敵が幾何学的な配置であればその動きは統計学で予見も可能・・だがソイツはフィクションでの話だ・・・まぁ、ソレをこのいけ好かない女王サマが可能にした訳だが。」
アルファの言葉にツヴァイが愉快そうに声を上げる
「へぇ・・・〝坊やにしちゃあ〟行儀の良い説明じゃねぇか・・・まぁ、その通りだ。敵の数、位置、動き、射線、弾道・・・全部を一瞬で計算して最適解を組み合わせたのが俺の死の舞踏。・・人間が理解できるのは動きの一部か見た目の美しさまでが限界。・・・そもそも俺がやってるのは〝目に見えねぇ軌道や次の0.数秒を読む〟思考のレイヤー込みだ・・・だが」
と、そこまで言いかけてツヴァイは面白そうにメモ紙の束を見つめる
「誤差はあっても〝ここまで正確に寄せれる奴〟は居ねぇ。」
その言葉に美琴は静かに要に視線を移す。どうやら会話は済んだらしくこちらに気が付いた要が腕を庇いながら近づき頭を下げた
「・・・助けていただいて、ありがとうございます。美琴さん。それと・・ツヴァイさんにアルファさん」
「いやいやそんな・・・ところで、その・・この計算式、要ちゃんが?」
「あ、はい!そうです!・・・まぁ、誤差とかはあるだろうなって思いましたけど」
美琴の言葉に苦笑いを浮かべる要だったが彼女の髪や瞳を見て美琴はある事に気が付いた
「(インナーカラー?・・いや、違う。自然に髪の色素が内側だけ白くなってる・・それに・・)」
美琴を見つめる要の瞳。日本人由来の色ではなく、ましてハーフ特有の青い虹彩ではなく
まるでガラス玉やビー玉を通して青を見たような色の瞳
「・・・・要ちゃん、もしかして・・」
「あ、やっぱり珍しいですよね。〝ラプラスデビル症候群〟」
ーーー ラプラスデビル症候群。
先の大戦後に発見された新種の遺伝変異の病。今だ研究段階ではあるがわかっている事は以下のとおりである
一つ、異常知性の覚醒。周囲の動きや音、呼吸、光の屈折すら発症者の興味に振れればソレを無意識に計算し未来予測に近い反応が可能
二つ、完全記憶と絶対音感。聞いた音を一度で記録し再現、解析が可能。そして決してそれを忘れない
「・・・患った相手は高性能演算能力と完全記憶を得るが…人間の脳がそんな情報量に耐えられる訳もなく進化の形をした呪いが発症者を蝕む、だっけ」
「まぁ、今のところ髪の色素が抜けてくくらいで違和感は無いですけどね」
美琴の言葉にそう返す要だったがふとツヴァイがつぶやく
「---- だからこそ、プロメテウスはお前たちを狙う訳か。」
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