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第一章・学園編

第十ニ話

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 校長から退学処分を言い渡されてもう五日が過ぎた。その間にいろんなことがあった。
 一つはあの時あの場所にいた生徒たちが訪ねてきたことだ。

「聞いたぞ。退学処分を下されたんだって。」

「まぁね。自分でもよく分からないんだけど。」

 少し話をしてそこから彼らのことも聞いた。
 話を聞いて驚いたのだが、彼らは脅されているらしい。
 五日前、彼らの部屋の扉に手紙が挟まっていたらしく、その内容は今回の件を誰にも話さないようにと、話せば家族を見殺しにするとのことだった。
 彼ら曰く、このことを話したのは僕と同じ被害を受けた生徒たちだけで、家族の身が危ないとのことで黙ってることを選んだそうだ。
 なんだが僕とは逆なのが不満だが、彼らのことを考えれば家族を巻き込みたくはないため仕方ない選択なのだろう。

「けど本当に無事で良かった。山を降りる途中になにかすごい気配を感じたのだが。」

「ええ、本当に高ランクモンスターが卵を取り返しに来たと思いました。」

 どうやら彼らも不死鳥フェニックスの気配を感じたようだ。
 ちなみにだが、僕は高ランクモンスターに襲われそうになったが、辛うじて洞窟に入ってそのままなんとか逃げ切ることができたと誤魔化しといた。
 あの山には少ないが洞窟があって、熊や猪とかの住処だったものなのだろう。

 もう一つは教職員からで、僕に関するものを部屋に置いていったことだ。剣術の授業で使ってた木剣や木盾、魔法の授業で使ってた杖、座学でのテストプリントなどなど、僕に関するものばかりだ。
 これから一人で生きていくのに正直持っていても仕方ないし、ほとんどのものは処分しておいた。

 そのほかにも、これからどこを拠点にするかで悩んだりした。
 まず近場の街を考えたのだが、ここは辞めておく。学校とボンボンたちは自分達の不都合を揉み消すために僕を排除しようとするだろう。
 そうなると僕を見張るためにいろんな手を使ってくるかもしれない。例えばシラキ=スクラのように暗殺者アサシンを送り込むとか。…考えすぎかな。
 一応『無帰むにきす』で一度復活可能ではあるものの、相手が格上の場合まず確実に勝てないしどの道殺される。
 そうなると見張りがやってこれないくらい遠くの地まで行く必要があるわけだが、ここでまた問題が発生する。
 遠くの地まで行くにしてもお金が足りない。道中馬車での旅もあるため、どうしてもお金が必要になってくる。

「そうなると思ってここ最近山に行ってモンスター倒して稼いで入るんだけど、そこまで多くないんだよなぁ。」

 今の僕の所持金は、金貨数十枚と銀、銅、鉄の通貨が幾つかだ。これじゃあ馬車に乗るにしてもお金が少なすぎる。

「これは徒歩での移動が多くなるな。」

 仕方ないとはいえ、背に腹は変えられない。お金が無くなれば食事も宿も満足にありつけなくなる。

「金銭面でだと、やっぱり冒険者としてお金を稼ぐしかないな。」

 冒険者ならばお金を稼ぐことはできる。今の僕の実力ならE級、全力でならD級くらいとは互角に戦えるはずだ。
 まぁD級は低級の位置でそこまで高額ではないものの、たくさん集めれば小遣い程度にはなるーーー

「あっ、そういえば思い出した!あの店に確かあれが売ってあったな。」

 僕はあることを思い出した。
 以前に雑貨屋で見た時、ある中古の商品に目を奪われたことがあった。でもかなり古ぼけてて値段も手に出せないくらいだったが、今の状況で買う気になった。

「よし、そうなれば早く行かなくちゃ。」









~  主人公プロフィール 能力アビリティ編~
     ⬇︎

潜在能力値ステータス
名前なまえ』コトノ=オオトリ
能力アビリティとは?』
 能力アビリティはジョブによる補正効果で、威力向上や回復率上昇などの効果がある。謂わゆる“ジョブと一緒に付いてくるオマケ”みたいなものである。
 また、ジョブが上位進化ランクアップすることによって補正効果もより向上、上昇する。
 ちなみに、主人公の不死鳥フェニックスの加護により全ての能力値(攻撃力、防御力、命中率、回復力、etc)が向上及び上昇するため、加護による補正効果もある。
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