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第二章 九生絶花の章
第三話 幕間 薪炎Interlude
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《ねえ、起きてる?》
知らない誰かが、この真っ暗闇の空間の中で語りかけてくる。
あなたは?
《わたしは⋯⋯》
声が途切れた。
ここはどこ?
《ここは、あなたの心の奥底》
心の奥底?
《うん。あなたは辛い事があって、眠ってしまった》
⋯⋯そっか。
《おぼえてる⋯⋯よね》
うん。皧狐に後ろを取られて、そのままやられちゃった。
《そう。そのまま気絶してしまったあなたは運ばれて、未だ目覚めないまま。でも大丈夫、もう時期あなたは目を覚ます》
まあ、生きててよかったというか、なんというか。
ところで、あなたはどうして私の中に?
《⋯⋯おぼえてないの?》
え?
《⋯⋯気をつけて。狐は、明確な目的を持ってあなた達を消そうとしている。そして、力を付けて、抗うだけでは駄目なの》
そんな事言われても、それ以外に出来ることが無いよ。皧狐の事、知りたくても知れないんだ。
《そんな事はないよ。まだ諦めるには勿体ない、あなたはいつも、そう思いながら生きてきたじゃない》
無理だよ、今回ばかりは詰んでる。
きっかけを掴む方法すら分からないもん。
《⋯⋯うん、もう時間だ、もう時期光が灯って、あなたの意識も現実に戻る》
このまま目覚めても、どうすれば⋯⋯。
《仲良くするのも良い、強くなるのも良い。でも、今のままじゃ皧狐という奇怪は祓えない。いずれあなたは霊魂になってしまう》
えっなに? ⋯⋯霊魂?
《まずは起源を辿ってみよう》
ねえ、貴方は一体誰なの? 皧狐の事、知ってるの?
感覚が冴え渡ってくるのを感じる。
駄目だ、このまま意識が浮上していく。
せめて一言でも聞けたらと後悔を募らせたまま、私はゆっくりと目を覚ますことになった。
語りかけてきた人物の言葉の意味は分からない。でも、今は何故か、この声を聞いていると、凄く安心出来ていた。
声に導かれるように、私はそっと目を開ける。
いつまでも眠っている訳には行かない、戻らなければ。
《わたしは全てを許すしか出来ない。だから、立ち向かって欲しい。どんな結末になっても、前を向いて⋯⋯》
知らない誰かが、この真っ暗闇の空間の中で語りかけてくる。
あなたは?
《わたしは⋯⋯》
声が途切れた。
ここはどこ?
《ここは、あなたの心の奥底》
心の奥底?
《うん。あなたは辛い事があって、眠ってしまった》
⋯⋯そっか。
《おぼえてる⋯⋯よね》
うん。皧狐に後ろを取られて、そのままやられちゃった。
《そう。そのまま気絶してしまったあなたは運ばれて、未だ目覚めないまま。でも大丈夫、もう時期あなたは目を覚ます》
まあ、生きててよかったというか、なんというか。
ところで、あなたはどうして私の中に?
《⋯⋯おぼえてないの?》
え?
《⋯⋯気をつけて。狐は、明確な目的を持ってあなた達を消そうとしている。そして、力を付けて、抗うだけでは駄目なの》
そんな事言われても、それ以外に出来ることが無いよ。皧狐の事、知りたくても知れないんだ。
《そんな事はないよ。まだ諦めるには勿体ない、あなたはいつも、そう思いながら生きてきたじゃない》
無理だよ、今回ばかりは詰んでる。
きっかけを掴む方法すら分からないもん。
《⋯⋯うん、もう時間だ、もう時期光が灯って、あなたの意識も現実に戻る》
このまま目覚めても、どうすれば⋯⋯。
《仲良くするのも良い、強くなるのも良い。でも、今のままじゃ皧狐という奇怪は祓えない。いずれあなたは霊魂になってしまう》
えっなに? ⋯⋯霊魂?
《まずは起源を辿ってみよう》
ねえ、貴方は一体誰なの? 皧狐の事、知ってるの?
感覚が冴え渡ってくるのを感じる。
駄目だ、このまま意識が浮上していく。
せめて一言でも聞けたらと後悔を募らせたまま、私はゆっくりと目を覚ますことになった。
語りかけてきた人物の言葉の意味は分からない。でも、今は何故か、この声を聞いていると、凄く安心出来ていた。
声に導かれるように、私はそっと目を開ける。
いつまでも眠っている訳には行かない、戻らなければ。
《わたしは全てを許すしか出来ない。だから、立ち向かって欲しい。どんな結末になっても、前を向いて⋯⋯》
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