【完結】瀧華国転生譚 ~処刑エンド回避のために幼い病弱皇子を手懐けようとしたら見事失敗した~

飛鳥えん

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謝罪とこれから(1)

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「蘇芳様、またいつものようにあなた様も飲まれるので……?」
応えは分かっているがそれでも聞かねば、という様子でなじみの家僕、早勢(はやせ)語が問う。
彼は蘇芳が帆世をクビにしてから、主に花鶏の身の回りの世話をしている初老の男で、蘇芳の動向も、このおかしな毒見のことも江雪に報告を入れているはずであった。

「まあそう迷惑そうにするでない。恐れ多くも主上の居室では、一口の飲み水もその都度、専用の毒見役が口に含んでからでないといけないのだ。まあ別に、実際私でなくても良いのだが。……お前が代るか?」
すっ、と流し目をやると、早勢はべしゃりと音がしそうな勢いで床に頭をこすり付けた。
「いえ、そんな、私はそのような」
蘇芳はふん、と鼻を鳴らした。
(やっぱりこいつ、毒のこと何か知ってんな)
本来、味方側のはずの蘇芳が邪魔をするので、まったく訳が分からないという状況だろう。

「もうよい、下がりなさい。用があったら呼ぶから」
「は、はい」

後ずさるよう男が辞すと、さて、と膝の上に待機させていた杯を見下ろす。
この後家に帰るとまたあの苦行が待っているが、止むをえない。
えい、とばかりに飲み干した。
「なぜ、蘇芳殿はそんな風な飲み方をされるのですか……」
遠慮がちに問われて、蘇芳はおや、と寝台の上に上半身を起こした少年を見やった。
(お、珍し。俺から声かける前に、そっちから話しかけてきたの初めてじゃん)
それだけのことで何となく嬉しくなり、微笑む。
「そんな風とは?」
花鶏は少しだけ迷う素振りの後、
「本当なら、毒見のときは一口だけ確かめるものなのでしょう。でも蘇芳殿は、僕と同じ杯に、いつも同じだけ注いで飲んでいます」
「ああ、そのことですか」
賢い子だな、と素直に思った。
「お気になさらず。私のまあ何というか、拘りというやつですよ。それに殿下の分を半分取ったからと言って、薬の効能は大して変わりませんから、江雪殿に告げ口するのはお許しくださいね」
「そんなことしていません」
少年はぷい、と横を向いてしまった。
「なら良いのですが」
(いや絶対してるじゃん。言っとくけどお前のためなんだぞ、少年)
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