1 / 5
プロローグ
しおりを挟む
ヴィクトリア・モンクレイ。
モンクレイは長い歴史を持つ伝統ある家の一つだ。
その中でこの世に生まれた五番目の末っ子であるヴィクトリアはとんでもない我儘お嬢様だった。
「今日の食事はなんだか、薄い味が多いわね」
長い食事用のリフェクトリーテーブルで一人、一切れの肉を口にして最初に発した言葉だ。
「も、申し訳ありません!!」
一連の流れを見ていたシェフとメイドは、すぐに走って新しいお皿と新鮮な料理を目の前に置く。
しかし、ヴィクトリアはその料理をジッと見つめたあと、振り返って悪魔じみた笑みを浮かべる。
「あなた名前は?」
「メールです」
「明日から来なくていいわ。荷物をまとめる準備を始めたほうがいいわよ」
「⋯⋯え!? お、お嬢様!?」
彼女は生まれてからずっとこの調子である。
全てが自分中心な言動。
傲慢、我儘。
⋯⋯彼女を表す単語にするならば、まさに悪女だ。
「私の言う事が分からないなんて、本当にメイドなの?もっと勉強した方がいいと思うわよ」
メールは泣き崩れ、他のメイドに強制退場をさせられる。
「本当に⋯⋯この家はモンクレイよ? 王国に長い歴史を持つ名家よ? それが、子供の言うことも分からないなんて⋯⋯どうかしているわね」
彼女は僅か8歳である。
幼少の頃から厳しい淑女教育に勉学も。
様々な種類の教育施された彼女だが、勉学の方はからっきし。
だがそれを除いても、気高き血統、優れた一族。
この2つ以外にも、誰もが彼女をこう評価する。
艶やかに輝く紫色の髪。
相手を恐怖に陥れる程の強いルビー色の眼光。
総合的に青白い肌にシャープな顔立ち、そんな優れた彼女が少し睨んだだけで、相手を怖がらせるにはもってこいな顔である。
「おまけにメイドや執事ですらこのレベルなワケだから⋯⋯この国の未来も危ういわね」
なんでもできるという評価から、彼女は毎日のようにメイドや執事、全方面に向かって悪女丸出しの行動をしていた。
本人の気付かないところで付いたあだ名が──
"稀代の悪女"と呼ばれている。
もはやその言葉に負けずとも、他の兄弟たちはヴィクトリアを毛嫌いしている。
もはや手が付けられず、今から社交界に出すのが怖いとまで言われていた。
「はぁ⋯⋯まぁ、及第点くらいね」
立ち上がったヴィクトリアはメイドに目配せをすると、すぐにド派手な毛皮のコートを羽織り、その場を後にした。
「それではヴィクトリア様、何かあれば⋯⋯こちらのベルを押してくださませ」
「ええ」
ヴィクトリアは部屋に入り、扉をパタンと優しく締める。天蓋付きベッドの少し手前まで向かい、次の瞬間──別人のようにベッドへとヘッドダイビングをし始めた。
あぁーーー!!!疲れたぁぁぁ!!
今日も悪女公務お疲れ様です!
「はぁ。夢は覚めないみたいね」
ヴィクトリアはベッドで枕に顔を埋めながら、そうボヤくのだった。
モンクレイは長い歴史を持つ伝統ある家の一つだ。
その中でこの世に生まれた五番目の末っ子であるヴィクトリアはとんでもない我儘お嬢様だった。
「今日の食事はなんだか、薄い味が多いわね」
長い食事用のリフェクトリーテーブルで一人、一切れの肉を口にして最初に発した言葉だ。
「も、申し訳ありません!!」
一連の流れを見ていたシェフとメイドは、すぐに走って新しいお皿と新鮮な料理を目の前に置く。
しかし、ヴィクトリアはその料理をジッと見つめたあと、振り返って悪魔じみた笑みを浮かべる。
「あなた名前は?」
「メールです」
「明日から来なくていいわ。荷物をまとめる準備を始めたほうがいいわよ」
「⋯⋯え!? お、お嬢様!?」
彼女は生まれてからずっとこの調子である。
全てが自分中心な言動。
傲慢、我儘。
⋯⋯彼女を表す単語にするならば、まさに悪女だ。
「私の言う事が分からないなんて、本当にメイドなの?もっと勉強した方がいいと思うわよ」
メールは泣き崩れ、他のメイドに強制退場をさせられる。
「本当に⋯⋯この家はモンクレイよ? 王国に長い歴史を持つ名家よ? それが、子供の言うことも分からないなんて⋯⋯どうかしているわね」
彼女は僅か8歳である。
幼少の頃から厳しい淑女教育に勉学も。
様々な種類の教育施された彼女だが、勉学の方はからっきし。
だがそれを除いても、気高き血統、優れた一族。
この2つ以外にも、誰もが彼女をこう評価する。
艶やかに輝く紫色の髪。
相手を恐怖に陥れる程の強いルビー色の眼光。
総合的に青白い肌にシャープな顔立ち、そんな優れた彼女が少し睨んだだけで、相手を怖がらせるにはもってこいな顔である。
「おまけにメイドや執事ですらこのレベルなワケだから⋯⋯この国の未来も危ういわね」
なんでもできるという評価から、彼女は毎日のようにメイドや執事、全方面に向かって悪女丸出しの行動をしていた。
本人の気付かないところで付いたあだ名が──
"稀代の悪女"と呼ばれている。
もはやその言葉に負けずとも、他の兄弟たちはヴィクトリアを毛嫌いしている。
もはや手が付けられず、今から社交界に出すのが怖いとまで言われていた。
「はぁ⋯⋯まぁ、及第点くらいね」
立ち上がったヴィクトリアはメイドに目配せをすると、すぐにド派手な毛皮のコートを羽織り、その場を後にした。
「それではヴィクトリア様、何かあれば⋯⋯こちらのベルを押してくださませ」
「ええ」
ヴィクトリアは部屋に入り、扉をパタンと優しく締める。天蓋付きベッドの少し手前まで向かい、次の瞬間──別人のようにベッドへとヘッドダイビングをし始めた。
あぁーーー!!!疲れたぁぁぁ!!
今日も悪女公務お疲れ様です!
「はぁ。夢は覚めないみたいね」
ヴィクトリアはベッドで枕に顔を埋めながら、そうボヤくのだった。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる