1 / 1
アルバイト
しおりを挟む
この街の一角に、不思議なお店があります。
この街1番の物知りなおばあさんに聞いてみても、「そんな店は知らない」と言うのです。
そんな誰にも知られていないお店がある日アルバイトを募集していました。
ちょうど学校は夏休みで、部活も所属していない私は暇でしたから、興味本位で応募してしまったのです。
すると今月の12日、午前の11時に面接があると書かれた手紙が家に届きました。
今日が10日ですから、あと2日あります。
私はこれといって用事も無いので趣味の読書を楽しみました。
そうしてる内に2日なぞあっという間に過ぎてしまったのです。
その店は私の家からさほど遠くなく、5分もあれば着くような距離でした。
私はいざその店を前に立つと不気味な空気に圧倒され、アルバイトに応募したことを少し後悔しました。
いざ意を決して店のドアを開けました。
重たいドアを開けてまず目に着いたものは数え切れない程の書籍でした。
中には日本語ではない言語で書かれた書籍もありました。
どこか懐かしいような、図書館の匂いがしました。
私はどうすれば良いのか分からず、店内を歩きました。
しばらく歩いていると、後ろから聞き馴染みのある低い声で呼び止められたのです。「そこの君」と。
私は声の主を確認すべく、後ろを振り返りました。するとそこには私のよく知る人物、原田さんがいたのです。
私と原田さんは兄弟のような関係で、また私の尊敬する人でもありました。
「原田さん」
私は名前を呼びました。
「やあ、遥斗くん。何をお求めかな。」
原田さんは普段私と会話をする時となんら変わりもありませんでした。
「いえ、申し訳ありませんが、私は客ではありません。私は今日アルバイトの面接でここに来たのです。」
「そうか。そんな事、すっかり忘れていたよ。こちらへどうぞ」
原田さんはそう言うと奥のドアを開け、僕を案内してくれました。
奥のドアをくぐり、私はまた驚きました。
そこにはお洒落な音楽の流れるバーがあったのです。私が立ったままでいると原田さんはカウンターの中に入り、「そこの椅子にでも掛けて」と言いました。
私は、「失礼します」と一言言ってからすわりました。
「遥斗君だったら面接する必要は無いかな。でも一応、形だけ。」
原田さんは面接にありきたりな質問をいくつか出して、私はそれに対してありきたりな答えで返しました。
そして、原田さんは最後に一つ、と指を立てました。
「ここに来るお客さんは皆特殊なんだ。」
「特殊?」
「そのうち分かるさ」
どうしても気になった私は原田さんに問い詰めようと思いましたが、やめました。
「これで面接は終わり。じゃあ、水曜と木曜の5時からでいいね」
「じゃあ、採用という事でいいんですか?」
「勿論。」
原田さんはそう言うとティーカップを磨き始めました。私は何故かその様子をずっと見ていたくなる気持ちになりました。原田さんの手つきが、とても綺麗だったからです。
この街1番の物知りなおばあさんに聞いてみても、「そんな店は知らない」と言うのです。
そんな誰にも知られていないお店がある日アルバイトを募集していました。
ちょうど学校は夏休みで、部活も所属していない私は暇でしたから、興味本位で応募してしまったのです。
すると今月の12日、午前の11時に面接があると書かれた手紙が家に届きました。
今日が10日ですから、あと2日あります。
私はこれといって用事も無いので趣味の読書を楽しみました。
そうしてる内に2日なぞあっという間に過ぎてしまったのです。
その店は私の家からさほど遠くなく、5分もあれば着くような距離でした。
私はいざその店を前に立つと不気味な空気に圧倒され、アルバイトに応募したことを少し後悔しました。
いざ意を決して店のドアを開けました。
重たいドアを開けてまず目に着いたものは数え切れない程の書籍でした。
中には日本語ではない言語で書かれた書籍もありました。
どこか懐かしいような、図書館の匂いがしました。
私はどうすれば良いのか分からず、店内を歩きました。
しばらく歩いていると、後ろから聞き馴染みのある低い声で呼び止められたのです。「そこの君」と。
私は声の主を確認すべく、後ろを振り返りました。するとそこには私のよく知る人物、原田さんがいたのです。
私と原田さんは兄弟のような関係で、また私の尊敬する人でもありました。
「原田さん」
私は名前を呼びました。
「やあ、遥斗くん。何をお求めかな。」
原田さんは普段私と会話をする時となんら変わりもありませんでした。
「いえ、申し訳ありませんが、私は客ではありません。私は今日アルバイトの面接でここに来たのです。」
「そうか。そんな事、すっかり忘れていたよ。こちらへどうぞ」
原田さんはそう言うと奥のドアを開け、僕を案内してくれました。
奥のドアをくぐり、私はまた驚きました。
そこにはお洒落な音楽の流れるバーがあったのです。私が立ったままでいると原田さんはカウンターの中に入り、「そこの椅子にでも掛けて」と言いました。
私は、「失礼します」と一言言ってからすわりました。
「遥斗君だったら面接する必要は無いかな。でも一応、形だけ。」
原田さんは面接にありきたりな質問をいくつか出して、私はそれに対してありきたりな答えで返しました。
そして、原田さんは最後に一つ、と指を立てました。
「ここに来るお客さんは皆特殊なんだ。」
「特殊?」
「そのうち分かるさ」
どうしても気になった私は原田さんに問い詰めようと思いましたが、やめました。
「これで面接は終わり。じゃあ、水曜と木曜の5時からでいいね」
「じゃあ、採用という事でいいんですか?」
「勿論。」
原田さんはそう言うとティーカップを磨き始めました。私は何故かその様子をずっと見ていたくなる気持ちになりました。原田さんの手つきが、とても綺麗だったからです。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる