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第一章 黒猫の半獣人
10初めて一撃当てた
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カチャリ
「!!」
眠ってたけどドアから音がして飛び起きたオレは、ユノスティアスがドアを開けると同時に飛び出した。
「はいはい、まだダメだ、ほら戻りなさい」
ガシッと胴回りを瞬時に掴まれて浴室に戻されるとまたガチャリと内側から鍵をかけたユノスティアスは、そのまま便器に向かうと羽織ってたガウンの前を開けて雄を片手に持ちながらしっこをし始めた。
すごく久々にみたそれに、一瞬オレはギョッとしたものの、こっそり自分の雄を見下ろして比べてしまう。
もうオレは身体の変化が止まって随分経つ。だからオレの雄はもうこれ以上大きくはならないと思う。
昔よりは大きくなったけど、やはりユノスティアスほどじゃない。
きっと身体も大きいから、デカいんだ。
そう思うことにして今度はユノスティアスの服のポケットにある鍵を取ろうと狙う。用を足してる時は一番隙が出る。だから今が一番狙いどき。そろそろと背後に回って、パッと死角から飛びかかったのに、片手でいなされて床に張り倒された。
しかも立て続けに顔にビシャっと何かがかかる。
ジョロロロ……
「?! ──!! プふぅー!ヴヴーッフギャー!!」
床に転がされたオレの顔面から身体にかけてしっこをかけてきたユノスティアスに、オレは悲鳴をあげて飛び退いた。最悪だ。最低すぎる。
「フ、ひとの排泄中に狙う卑怯者にはピッタリのお仕置きだろう」
タオルケットで身体を拭いてもしっこの匂いは乾くと余計に臭ってくる。全身からユノスティアスのしっこの匂いがして、早く洗い流したくて風呂の浴槽に入ったのにお湯がない。なんで?いつもお湯があるのに!
「ヴーッ!ギャヴ!!ヴーッ!」
「湯は昨日抜いてしまったからね、運んで貰わないと。──お前がベルを鳴らして呼んでも良いが、私は何も言わないよ?」
「……っ!!」
ユノスティアスの言葉の途中で既にベルを鳴らしてたオレは焦ったが、使用人がもうドアの向こうに立ってノックしていた。本当にいつも直ぐ来る。どうなってるんだ。
「ユノスティアス様、すみません。鍵を開けていただけませんか?」
慌ててユノスティアスを見たら、今度は便座に前屈みで座って頬杖をつきながら用を足してる。うんちなんかしてる場合じゃない!ドアを開けろ!
「ヴーッ!ギャヴー!」
「鍵なら右のポケットにある」
ユノスティアスの羽織っている服を引っ張ってポケットを探ると鍵があったからそれでドアをガチャガチャして開けた。
「失礼します──!? ──ッ?!?!」
いつもユノスティアスみたいに無表情な使用人が、ドアを開けて入った途端に部屋中の様子を見て驚いた顔になった。
オレが手足の傷が開いたまま暴れ回ったから浴室中が血まみれだったのもあるが、奥の角でうんち中のユノスティアスが見えたのが衝撃だったらしい。更にもっと固まっていた。
「ヴーッ!ヴッ」
「あ、あの……ユノスティアス様……御用はなんでしょうか……」
「私は特に無い。滑り台が勝手にベルを鳴らした」
「ヴーッヴッ!ヴーッ!」
「左様でございましたか。では失礼致します」
「ギャヴー!!」
開けたドアのそばに立ったまま使用人に向かって必死に浴槽を指差すオレを完全に無視して、目線を下にしたままユノスティアスに話しかけてた使用人は、最後にオレをギロリと凄い顔で睨んでからドアを静かに閉めて行ってしまった。
「……ヴッ……」
やっぱりオレは使用人に嫌われている。
久しぶりにそれを実感してちょっとだけ落ち込んだ。
十三年振りに帰ったら少しは変わるかと思ったら全然変わらない。半獣人だから、空気のように見えない存在として扱われる。
悪い事したら謝らないといけないと、保育園の先生に教わったが、居るだけで悪い事してるなら居ない方が良いだろう、お互いの為にも。
サッと目の前の閉められたドアを開けて出ようとドアノブを引っ張ったら、バンと凄い勢いで閉められた。
いつの間にかユノスティアスが背後に立っていて、びっくりして固まってたら右手の鍵を取り上げてドアに鍵をまたかけられた。
「ヴーッ!」
オレに背を向けたので、すかさず飛びかかったが、ユノスティアスはビクともしないでスタスタ歩いて浴槽のそばにある台の上のベルを鳴らした。
「ヴッ?」
直ぐ来る使用人がやっぱりまた直ぐ来た。今度は違う声の使用人。ドアを開けようとする前に先にユノスティアスが「風呂に入る湯を運んでくれ」と言ったので、返事をして下がっていく。
何でさっき言えば良いのに言わない!
腹立ったオレは上半身に飛びついたままユノスティアスの頭を叩こうとしたら両腕を掴まれて床に投げ飛ばされた。
ドガン!!
派手な音を立てて床がへこんでヒビ割れして、床材がオレの背中にいくつか刺さったが、腹が立って仕方なかったから痛みもない。直ぐに起き上がってユノスティアスに突進、と見せかけて飛び上がり、顔面に膝蹴りを喰らわす。
ゴッ!と鈍い音が膝越しに感じて、アレ?とオレは思った。
ひょっとして、いま、初めてユノスティアスに仕返しを出来たかもしれない。
ちょっとだけ嬉しくなったけど、それは一瞬だけ。
その後直ぐに右腕の肩関節を外されて、猛烈な勢いで壁に向かって殴り飛ばされて、崩れた瓦礫を浴びながら床に倒れて血を吐いた。先に刺さってた背中の床材が更に変な所に深く刺さったせいで、ゲブゲプと口から血が出てきて息が吸えない。
ゴポゴポと喉奥から泡立つ音がしてこれはまずい、とわかったけど、どうにも出来ない。
苦しい。視界が狭い。耳が聞こえにくい。
「……全く、本当に聞かん坊になったな。……ジェイド」
最後に霞む視界の先で、ユノスティアスの笑った目元が見えた気がした。
「!!」
眠ってたけどドアから音がして飛び起きたオレは、ユノスティアスがドアを開けると同時に飛び出した。
「はいはい、まだダメだ、ほら戻りなさい」
ガシッと胴回りを瞬時に掴まれて浴室に戻されるとまたガチャリと内側から鍵をかけたユノスティアスは、そのまま便器に向かうと羽織ってたガウンの前を開けて雄を片手に持ちながらしっこをし始めた。
すごく久々にみたそれに、一瞬オレはギョッとしたものの、こっそり自分の雄を見下ろして比べてしまう。
もうオレは身体の変化が止まって随分経つ。だからオレの雄はもうこれ以上大きくはならないと思う。
昔よりは大きくなったけど、やはりユノスティアスほどじゃない。
きっと身体も大きいから、デカいんだ。
そう思うことにして今度はユノスティアスの服のポケットにある鍵を取ろうと狙う。用を足してる時は一番隙が出る。だから今が一番狙いどき。そろそろと背後に回って、パッと死角から飛びかかったのに、片手でいなされて床に張り倒された。
しかも立て続けに顔にビシャっと何かがかかる。
ジョロロロ……
「?! ──!! プふぅー!ヴヴーッフギャー!!」
床に転がされたオレの顔面から身体にかけてしっこをかけてきたユノスティアスに、オレは悲鳴をあげて飛び退いた。最悪だ。最低すぎる。
「フ、ひとの排泄中に狙う卑怯者にはピッタリのお仕置きだろう」
タオルケットで身体を拭いてもしっこの匂いは乾くと余計に臭ってくる。全身からユノスティアスのしっこの匂いがして、早く洗い流したくて風呂の浴槽に入ったのにお湯がない。なんで?いつもお湯があるのに!
「ヴーッ!ギャヴ!!ヴーッ!」
「湯は昨日抜いてしまったからね、運んで貰わないと。──お前がベルを鳴らして呼んでも良いが、私は何も言わないよ?」
「……っ!!」
ユノスティアスの言葉の途中で既にベルを鳴らしてたオレは焦ったが、使用人がもうドアの向こうに立ってノックしていた。本当にいつも直ぐ来る。どうなってるんだ。
「ユノスティアス様、すみません。鍵を開けていただけませんか?」
慌ててユノスティアスを見たら、今度は便座に前屈みで座って頬杖をつきながら用を足してる。うんちなんかしてる場合じゃない!ドアを開けろ!
「ヴーッ!ギャヴー!」
「鍵なら右のポケットにある」
ユノスティアスの羽織っている服を引っ張ってポケットを探ると鍵があったからそれでドアをガチャガチャして開けた。
「失礼します──!? ──ッ?!?!」
いつもユノスティアスみたいに無表情な使用人が、ドアを開けて入った途端に部屋中の様子を見て驚いた顔になった。
オレが手足の傷が開いたまま暴れ回ったから浴室中が血まみれだったのもあるが、奥の角でうんち中のユノスティアスが見えたのが衝撃だったらしい。更にもっと固まっていた。
「ヴーッ!ヴッ」
「あ、あの……ユノスティアス様……御用はなんでしょうか……」
「私は特に無い。滑り台が勝手にベルを鳴らした」
「ヴーッヴッ!ヴーッ!」
「左様でございましたか。では失礼致します」
「ギャヴー!!」
開けたドアのそばに立ったまま使用人に向かって必死に浴槽を指差すオレを完全に無視して、目線を下にしたままユノスティアスに話しかけてた使用人は、最後にオレをギロリと凄い顔で睨んでからドアを静かに閉めて行ってしまった。
「……ヴッ……」
やっぱりオレは使用人に嫌われている。
久しぶりにそれを実感してちょっとだけ落ち込んだ。
十三年振りに帰ったら少しは変わるかと思ったら全然変わらない。半獣人だから、空気のように見えない存在として扱われる。
悪い事したら謝らないといけないと、保育園の先生に教わったが、居るだけで悪い事してるなら居ない方が良いだろう、お互いの為にも。
サッと目の前の閉められたドアを開けて出ようとドアノブを引っ張ったら、バンと凄い勢いで閉められた。
いつの間にかユノスティアスが背後に立っていて、びっくりして固まってたら右手の鍵を取り上げてドアに鍵をまたかけられた。
「ヴーッ!」
オレに背を向けたので、すかさず飛びかかったが、ユノスティアスはビクともしないでスタスタ歩いて浴槽のそばにある台の上のベルを鳴らした。
「ヴッ?」
直ぐ来る使用人がやっぱりまた直ぐ来た。今度は違う声の使用人。ドアを開けようとする前に先にユノスティアスが「風呂に入る湯を運んでくれ」と言ったので、返事をして下がっていく。
何でさっき言えば良いのに言わない!
腹立ったオレは上半身に飛びついたままユノスティアスの頭を叩こうとしたら両腕を掴まれて床に投げ飛ばされた。
ドガン!!
派手な音を立てて床がへこんでヒビ割れして、床材がオレの背中にいくつか刺さったが、腹が立って仕方なかったから痛みもない。直ぐに起き上がってユノスティアスに突進、と見せかけて飛び上がり、顔面に膝蹴りを喰らわす。
ゴッ!と鈍い音が膝越しに感じて、アレ?とオレは思った。
ひょっとして、いま、初めてユノスティアスに仕返しを出来たかもしれない。
ちょっとだけ嬉しくなったけど、それは一瞬だけ。
その後直ぐに右腕の肩関節を外されて、猛烈な勢いで壁に向かって殴り飛ばされて、崩れた瓦礫を浴びながら床に倒れて血を吐いた。先に刺さってた背中の床材が更に変な所に深く刺さったせいで、ゲブゲプと口から血が出てきて息が吸えない。
ゴポゴポと喉奥から泡立つ音がしてこれはまずい、とわかったけど、どうにも出来ない。
苦しい。視界が狭い。耳が聞こえにくい。
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