転生王女の破滅回避プラン90! ~無自覚人たらし王女、アリスが来るまでに美形側近を溺愛モードにしていました~

とびぃ

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第9章:【運命の日】タルト裁判と最強の布陣

9-5:チェシャ猫の決定的な証拠

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アリスは、ジャックの予想外の裏切りと、ラビ宰相の法的な却下に、完全にパニックに陥っていた。彼女は、最後の切り札として、証拠となる『タルトの残骸』を提出しようとした。
「で、でも! 証拠があるわ! 庭の隅に、タルトの箱と、残骸が!」
アリスは、そう叫びながら、庭師が持ってきたタルトの箱と、残骸の入った皿を壇上に突きつけた。
「このタルトは、女王陛下の専用品! これを盗んだ犯人がいる証拠よ!」
アリスの告発は、世界の強制力に突き動かされた、最後の足掻きだった。彼女のシナリオでは、このタルトの残骸こそが、ジャックの犯行を証明し、リリアを断罪へと導く、決定的な証拠となるはずだった。
その瞬間。
玉座の間のシャンデリアの上部から、猫の喉鳴りのような、楽しげな声が響き渡った。
「おやおや。アリス嬢。君のシナリオは、実に『退屈』だね。タルトの残骸が、犯行の証拠になるかい? 君の『正義の物語』は、いつも単純すぎて、観客(俺)を飽きさせる」
チェシャ猫が、シャンデリアの上部から、猫のように優雅に、玉座の間へと飛び降りてきた。彼の黒いマントが、風もない室内の空気に、優雅な弧を描く。彼の金色の瞳は、アリスの動揺という『最高のエンターテイメント』を前に、歓喜に満ちて細められていた。
「俺は、この城の『情報屋』であり、リリアの『シナリオライター』だ。そして、俺のシナリオは、君の『退屈な正義』とは違う。俺のシナリオでは、真犯人は、常に『最も醜く、そして最も権威ある者』であると、相場が決まっている」
チェシャ猫は、リリアの顔を仰ぎ見、その歪んだ笑みを向けた。
「リリア。俺の最高の『情報という名の献身』を、今、この場で披露させてくれ。君の『生存』という物語を、誰にも真似できない最高の結末へと導くために」
リリアは、彼の悪戯な意図を理解し、静かに頷いた。彼女にとって、チェシャ猫の情報網は、女王の暴政という『ノイズ』を、社会的に抹殺するための、最高の『広報戦略(PR戦略)』の道具だった。
「チェシャ猫。貴方の持つ『情報』を、この法廷に提示しなさい。貴方が提供する情報が、この裁判の『真実』を証明する、最も合理的な証拠となるだろう」
チェシャ猫は、リリアの承認を得ると、手のひらサイズの小さなクリスタルを取り出した。そのクリスタルは、午後の光を受けて、玉座の間全体に、一つの『魔法写真』を投射した。
その写真に写っていたのは、遠く離れた離宮の、豪華絢爛なスパ・リゾートの一室だ。
そして、写真の中央には、女王レジーナの、あまりにも醜い『つまみ食い』の瞬間が、鮮明に写し出されていた。
女王レジーナは、顔に泥パックを塗り、頭にタオルを巻いた、最も無防備で、最も醜い姿で、テーブルの上に置かれたタルトに、手づかみで食らいついている。彼女の顔には、美の追求という名の狂気と、タルトへの貪欲さが混じり合い、その姿は、玉座に座る高貴な女王の姿とは、似ても似つかない『醜態』そのものだった。
そして、写真の隅には、王配クロードが、優しい笑顔で女王の醜態を見守り、女王の口元についたタルトのクリームを、優しく拭い取ってやっている姿が写っていた。
玉座の間全体が、一瞬、静寂に包まれた。
チェシャ猫は、楽しそうに喉を鳴らした。
「リリア様。この写真が証明するのは、タルトを盗んだ真犯人、つまり、『女王レジーナ陛下、御自身』です。彼女は、公務という名の『美の追求』に没頭するあまり、その間の『公的なタルト』の管理を怠り、手づかみで食らいつくという、最も無様な『食い逃げ犯』となった」
彼の言葉は、女王の醜態を、城全体の『共通の認識』へと昇華させた。この城にいる者たちは皆知っていた。女王のタルトへの執着は、病的なものだということを。
「そして、このタルトは、女王陛下の『公務のための指定甘味』であり、その製造技術は、リリア王女の『最高機密』です。女王陛下は、その公務中に、自らの手でタルトを食べ尽くし、その残骸を庭に放置した。これは、『王室指定甘味の無駄遣い』という、極めて『非効率な行政行為』です」
チェシャ猫は、リリアの『経営哲学』という名の倫理観を使い、女王の醜態を『行政上の大罪』へと昇華させた。
リリアは、壇上で、その写真の光景を見て、静かに、しかし深い満足の笑みを浮かべた。
(最高よ、チェシャ猫。貴方は、女王の『醜態』を、私の『行政の正義』を証明するための、最高の『証拠』として使った。この写真の持つ『社会的抹殺』の力は、ラビ宰相の法的断罪よりも、ジャック団長の武力よりも、遥かに強力だわ)
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