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1章
07話 捜索1
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「いやぁ、しかしよかったな」
「本当にそれね。まさかギルドであんなサービスをしていたなんて」
昨夜、藁をもすがる思いでギルドを訪ねると、どうやら許可証を持っている人間は無償で宿を提供してくれるとのことだった。意外にも放浪しながら、依頼を受けて生活する人間も多いらしい。
また、特別に許可証を持っていない俺もの宿泊許可も降りた。ただ、そう何度も特別扱いを受けるわけにもいかないので、できるだけ早期にデルイの依頼を片付ける必要には迫られている。
そんなわけで、早速二人で向かったのは魔導書狩りの被害にあったとされる森の中の道だった。
「とりあえず現場に来たわけだが、これで何か分かるのか?」
「一応、魔導書狩りを行った際に魔法を使ってたらその残滓が確認できるかもと思ってね。……と言っても前回の被害が1か月前ともなると流石に厳しいわね」
「残ってない感じか?」
「そうね、魔力は感じないわね」
「だったらとりあえず他の証拠を探していく方がメインになるかな」
「そうはしたいけど、どうするのが一番かしら」
「……盗賊団の拠点探しとかか、あるかどうかも分からんが」
「拠点、ね。それが一番かもしれないわ」
「と言っても拠点なんてどこにあるんだろうな。人目につかない場所なのは確かだろうが」
「まぁ、そこらへんは任せないって」
「何か方法があるのか?」
「一応探索魔法が使えるから探そうと思えば探せるけど」
「なんか万能だな、魔法って」
「ただ、広大な範囲になるととてつもなく体力使うから結構な時間がかかりそうなのよね」
「とするとできる限りアタリをつけときたいな」
「そうね。どちらにせよ時間はかかりそうね」
リザは溜息と共に呟く。
「デルイによれば今まで3組も失敗してるんだろ? まぁ覚悟は決めないとな」
「そうね。手っ取り早く囮でも使いたいのだけど」
「囮か……、協力者がいればできそうだけどな」
「そうなると報酬は山分けになりそうだし……いやだわ」
「お前ならそう言うと思ったよ」
「まぁこんな無駄口を叩く暇があれば捜索しろという話なのだけど」
リザはそう言うと再び森の中を見回す。
「それにしても魔導書狩りって何なんだ?」
「何が?」
「いやさ、魔導書だけ狩るってのも効率が悪いだろ。それこそ魔導書収集家みたいなのが図書館に頼まないと盗ろうにも盗れないだろ」
「そう言われても私自身魔導書狩りとかじゃないんだから知らないわよ。まぁでも盗賊業の一環としてしてるだけに過ぎないように思うけどね」
「そうだとしたら逆に魔導書狩り以外の被害とかも調査するのはありじゃないか?」
「それも一つの手ね。というかそれはギルドにいる時に言って欲しかったのだけど……二度手間になるじゃない」
「ブツブツ言うなよ。それ言うんだったらお前がギルドにいる時に思いついとけばよかった話だろ?」
「……うっ、助手の癖に正論言うんじゃないわよ」
「助手だから言うと思うんだが」
「それにしてもどうするか? 一度ギルドの方に戻ってみるか?」
「それがいいかもしれないわね」
******
ということでギルドの方へ戻り、掲示板にある依頼を二人で確認する。
「……こうして見るとあの森での盗賊行為らしいものはあの道が一番多いのね」
「そうみたいだな。というか結構事件起きてるんだな」
「ここ最近は増えてると思うわ。どこでもかしこでも戦争が増えてるし」
「国を追われた人たちが盗賊になっていくのか」
「そんな感じよ」
「そう考えると魔導書を盗る行為は金にもなるだろうから尚更なんだろうな」
「そうね」
「……そう言えば魔導書狩りを頼むのは魔法使いなんだよな」
「大体はそうだと思うけど? そもそも魔法が使えない人が持ってても、それこそ売るくらいしか使い道ないと思うけど」
「てか魔法使いが直々に盗んだ方が早くないか、それ。魔法使えば簡単に盗れるだろ」
「それだと顔を見られるリスクとかもあるからじゃない? 魔法使い、それこそ魔導書を必要とするような人物なんてそうはいないわけだし」
「そんなの記憶とか消せばいいんじゃないか? てかその理論だと盗賊に依頼した時に顔とか諸々バレてるような気がするんだが。盗賊捕まった時にバレるんじゃないか?」
「……ってことは盗賊に記憶消去の魔法をかけてる……」
リザはそう言ってしばらく物思いにふける。そしてーー
「……森に行きましょう。記憶消去の魔法の魔力を辿れることさえできればいいかもしれない。これならわざわざ探索の魔法をかける必要はないから効率的にいけるかも」
「本当にそれね。まさかギルドであんなサービスをしていたなんて」
昨夜、藁をもすがる思いでギルドを訪ねると、どうやら許可証を持っている人間は無償で宿を提供してくれるとのことだった。意外にも放浪しながら、依頼を受けて生活する人間も多いらしい。
また、特別に許可証を持っていない俺もの宿泊許可も降りた。ただ、そう何度も特別扱いを受けるわけにもいかないので、できるだけ早期にデルイの依頼を片付ける必要には迫られている。
そんなわけで、早速二人で向かったのは魔導書狩りの被害にあったとされる森の中の道だった。
「とりあえず現場に来たわけだが、これで何か分かるのか?」
「一応、魔導書狩りを行った際に魔法を使ってたらその残滓が確認できるかもと思ってね。……と言っても前回の被害が1か月前ともなると流石に厳しいわね」
「残ってない感じか?」
「そうね、魔力は感じないわね」
「だったらとりあえず他の証拠を探していく方がメインになるかな」
「そうはしたいけど、どうするのが一番かしら」
「……盗賊団の拠点探しとかか、あるかどうかも分からんが」
「拠点、ね。それが一番かもしれないわ」
「と言っても拠点なんてどこにあるんだろうな。人目につかない場所なのは確かだろうが」
「まぁ、そこらへんは任せないって」
「何か方法があるのか?」
「一応探索魔法が使えるから探そうと思えば探せるけど」
「なんか万能だな、魔法って」
「ただ、広大な範囲になるととてつもなく体力使うから結構な時間がかかりそうなのよね」
「とするとできる限りアタリをつけときたいな」
「そうね。どちらにせよ時間はかかりそうね」
リザは溜息と共に呟く。
「デルイによれば今まで3組も失敗してるんだろ? まぁ覚悟は決めないとな」
「そうね。手っ取り早く囮でも使いたいのだけど」
「囮か……、協力者がいればできそうだけどな」
「そうなると報酬は山分けになりそうだし……いやだわ」
「お前ならそう言うと思ったよ」
「まぁこんな無駄口を叩く暇があれば捜索しろという話なのだけど」
リザはそう言うと再び森の中を見回す。
「それにしても魔導書狩りって何なんだ?」
「何が?」
「いやさ、魔導書だけ狩るってのも効率が悪いだろ。それこそ魔導書収集家みたいなのが図書館に頼まないと盗ろうにも盗れないだろ」
「そう言われても私自身魔導書狩りとかじゃないんだから知らないわよ。まぁでも盗賊業の一環としてしてるだけに過ぎないように思うけどね」
「そうだとしたら逆に魔導書狩り以外の被害とかも調査するのはありじゃないか?」
「それも一つの手ね。というかそれはギルドにいる時に言って欲しかったのだけど……二度手間になるじゃない」
「ブツブツ言うなよ。それ言うんだったらお前がギルドにいる時に思いついとけばよかった話だろ?」
「……うっ、助手の癖に正論言うんじゃないわよ」
「助手だから言うと思うんだが」
「それにしてもどうするか? 一度ギルドの方に戻ってみるか?」
「それがいいかもしれないわね」
******
ということでギルドの方へ戻り、掲示板にある依頼を二人で確認する。
「……こうして見るとあの森での盗賊行為らしいものはあの道が一番多いのね」
「そうみたいだな。というか結構事件起きてるんだな」
「ここ最近は増えてると思うわ。どこでもかしこでも戦争が増えてるし」
「国を追われた人たちが盗賊になっていくのか」
「そんな感じよ」
「そう考えると魔導書を盗る行為は金にもなるだろうから尚更なんだろうな」
「そうね」
「……そう言えば魔導書狩りを頼むのは魔法使いなんだよな」
「大体はそうだと思うけど? そもそも魔法が使えない人が持ってても、それこそ売るくらいしか使い道ないと思うけど」
「てか魔法使いが直々に盗んだ方が早くないか、それ。魔法使えば簡単に盗れるだろ」
「それだと顔を見られるリスクとかもあるからじゃない? 魔法使い、それこそ魔導書を必要とするような人物なんてそうはいないわけだし」
「そんなの記憶とか消せばいいんじゃないか? てかその理論だと盗賊に依頼した時に顔とか諸々バレてるような気がするんだが。盗賊捕まった時にバレるんじゃないか?」
「……ってことは盗賊に記憶消去の魔法をかけてる……」
リザはそう言ってしばらく物思いにふける。そしてーー
「……森に行きましょう。記憶消去の魔法の魔力を辿れることさえできればいいかもしれない。これならわざわざ探索の魔法をかける必要はないから効率的にいけるかも」
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