8 / 26
1章
06話 依頼
しおりを挟む
豪邸は側だけでなく、当然、内装も豪邸だった。
テレビで紹介される高級ホテルのような赤い絨毯が続く廊下。
壁には所々絵画が飾られており、こうして客室に案内されている間に、何人もの召使らしき人とすれ違った。
召使には全員、獣耳が生えていた。リザ曰く、獣人は公式に認められた奴隷のような種族らしい。過去に人類との間に取引があったそうだが、話が長くなるそうなので、今回は割愛してもらった。
「こ、こちらになります」
ロリの案内された部屋に入ると、テーブルの向こう側の椅子に一人の男性が座っていた。日ごろから良いものを食べているのだろう、随分と恰幅の良い姿だ。
「やぁやぁ、よく来てくれたね。まぁ座り給え」
男性に促され、目の前の椅子に座る。めっちゃふかふかして座り心地がいい。
テーブル越しに向かい合うと、男性が口を開く。
「まずは自己紹介としようか。僕はデルイ。学院《アテナル》を卒業し、この街で魔導書の収集をさせてもらってる。こちらは弟子のノノだ」
突然自分のことが話題に上がってびっくりしたのか、体を少し強張らせながらロリ、もといノノが会釈をする。
威風堂々とした佇まいデルイと少しオドオドとしたノノ。
学院《アテナル》とは凄い所なのだろう。隣から流れる黒いオーラから何となく察する。
「私はリゼ。で、こちらが助手のユウトです」
「助手? まぁいいか、では依頼についての話を進めていこうか」
「そうですね。……その前に何点か質問よろしいですか?」
「ん? なんだね?」
「まず、依頼の内容の確認なのですが、魔導書狩りを捕まえるということでよろしいでしょうか」
「あぁ、そうだね。いやぁ、彼等には困ったものだよ。僕が図書館から借りた魔導書をどんどん奪っていくものだから、これを解決しないことには本は貸せないと言われてしまってね」
「あぁ、そういう事情が……。ところで、失礼だとは思いますがどうしてご自身で解決なさらないんですか? 学院《アテナル》と言えば、三大学院の一つ、相当魔法の腕は確かなはずだと」
「いや、仰る通りで。本来ならば僕が解決したいところなんだが、これでもそれなりの身分を持っているからね、もしものことがあるといけないからね。まぁ、僕の我儘と言ったらそこまでの話になってしまうよ。そういう意味もあって報酬は結構出させてもらってるよ」
「なるほど。ではもう一つ。本来、依頼を受けた人間が依頼主に会う必要は無いと聞きましたが、どうしてこのように話し合いの場を設けなさったのですか?」
「それも僕の我儘と言ってしまうとそれまでの話になるんだけど、それなりの報酬金を渡すわけだから人となりを見たいと思ってね。それと、どうしても危険な任務だ。今まで3組がこの依頼を受けたんだが、みんな失敗してしている。だから、こうして実際話して、任せられるかどうかを試させてもらってるんだ」
「……なるほど。だから、なんですね?」
リザが指を鳴らすと座っている椅子から文字が浮かび出し、燃えるように消えていく。
「これがどんな魔法かは知りませんが、これに気づくかどうかも試しているというわけですね」
「そ、そうだね……、いや、驚いたよ。これに気づいたのは君が初めてだ」
「あぁ、そうだったんですね。魔力が駄々洩れだったので、気になってたんですよ。これで私はこの依頼を受けるにふさわしい人物であると認めてもらえるでしょうか?」
「も、勿論だよ。では早速取り掛かってくれるかな」
「えぇ」
リザは立ち上がる。
「ユウト、行くわよ」
「お、おう」
「あ、あの、出口まで案内します」
来た時と同じように、ノノが先頭に立ち、豪邸を出る。
「また終わったら報告に来るって伝えといてくれるかしら?」
「は、はい」
******
「というかお前、よく気づけたな」
「あの魔法のこと? あんなもん気づいて当然でしょ。隠蔽魔法もかかってないんだから」
「でもお前が初めてって言ってたぞ」
「そんなわけないと思うのだけどね。というかあんなちんけな魔法を使ってる人物が学院《アテナル》を出てるなんて到底信じがたいけど」
「試すって言ってたし、わざとなんだろ」
「そうだと言いのだけど。もし、あれが全力の魔法だったら、あの子が不憫で仕方ない」
「あの子? あぁ、ノノのことか」
「そうそう。私の方がよっぽど教えてあげられるわ」
「で、これからどうするんだ?」
「早速やっていきたいところなのだけど……」
リザが空を見上げる。
デルイの許へ向かう時は青かった空もいつの間にかオレンジに染まり始めている。
「明日から本格的にした方がよさげだな」
「そうね。……でもどうしようかしら、お金が無いのよね」
「とりあえずギルドに相談してみたらどうだ? 俺らと似たようなパターンの人とかそれなりにいそうだし」
「そうしてみましょうか」
テレビで紹介される高級ホテルのような赤い絨毯が続く廊下。
壁には所々絵画が飾られており、こうして客室に案内されている間に、何人もの召使らしき人とすれ違った。
召使には全員、獣耳が生えていた。リザ曰く、獣人は公式に認められた奴隷のような種族らしい。過去に人類との間に取引があったそうだが、話が長くなるそうなので、今回は割愛してもらった。
「こ、こちらになります」
ロリの案内された部屋に入ると、テーブルの向こう側の椅子に一人の男性が座っていた。日ごろから良いものを食べているのだろう、随分と恰幅の良い姿だ。
「やぁやぁ、よく来てくれたね。まぁ座り給え」
男性に促され、目の前の椅子に座る。めっちゃふかふかして座り心地がいい。
テーブル越しに向かい合うと、男性が口を開く。
「まずは自己紹介としようか。僕はデルイ。学院《アテナル》を卒業し、この街で魔導書の収集をさせてもらってる。こちらは弟子のノノだ」
突然自分のことが話題に上がってびっくりしたのか、体を少し強張らせながらロリ、もといノノが会釈をする。
威風堂々とした佇まいデルイと少しオドオドとしたノノ。
学院《アテナル》とは凄い所なのだろう。隣から流れる黒いオーラから何となく察する。
「私はリゼ。で、こちらが助手のユウトです」
「助手? まぁいいか、では依頼についての話を進めていこうか」
「そうですね。……その前に何点か質問よろしいですか?」
「ん? なんだね?」
「まず、依頼の内容の確認なのですが、魔導書狩りを捕まえるということでよろしいでしょうか」
「あぁ、そうだね。いやぁ、彼等には困ったものだよ。僕が図書館から借りた魔導書をどんどん奪っていくものだから、これを解決しないことには本は貸せないと言われてしまってね」
「あぁ、そういう事情が……。ところで、失礼だとは思いますがどうしてご自身で解決なさらないんですか? 学院《アテナル》と言えば、三大学院の一つ、相当魔法の腕は確かなはずだと」
「いや、仰る通りで。本来ならば僕が解決したいところなんだが、これでもそれなりの身分を持っているからね、もしものことがあるといけないからね。まぁ、僕の我儘と言ったらそこまでの話になってしまうよ。そういう意味もあって報酬は結構出させてもらってるよ」
「なるほど。ではもう一つ。本来、依頼を受けた人間が依頼主に会う必要は無いと聞きましたが、どうしてこのように話し合いの場を設けなさったのですか?」
「それも僕の我儘と言ってしまうとそれまでの話になるんだけど、それなりの報酬金を渡すわけだから人となりを見たいと思ってね。それと、どうしても危険な任務だ。今まで3組がこの依頼を受けたんだが、みんな失敗してしている。だから、こうして実際話して、任せられるかどうかを試させてもらってるんだ」
「……なるほど。だから、なんですね?」
リザが指を鳴らすと座っている椅子から文字が浮かび出し、燃えるように消えていく。
「これがどんな魔法かは知りませんが、これに気づくかどうかも試しているというわけですね」
「そ、そうだね……、いや、驚いたよ。これに気づいたのは君が初めてだ」
「あぁ、そうだったんですね。魔力が駄々洩れだったので、気になってたんですよ。これで私はこの依頼を受けるにふさわしい人物であると認めてもらえるでしょうか?」
「も、勿論だよ。では早速取り掛かってくれるかな」
「えぇ」
リザは立ち上がる。
「ユウト、行くわよ」
「お、おう」
「あ、あの、出口まで案内します」
来た時と同じように、ノノが先頭に立ち、豪邸を出る。
「また終わったら報告に来るって伝えといてくれるかしら?」
「は、はい」
******
「というかお前、よく気づけたな」
「あの魔法のこと? あんなもん気づいて当然でしょ。隠蔽魔法もかかってないんだから」
「でもお前が初めてって言ってたぞ」
「そんなわけないと思うのだけどね。というかあんなちんけな魔法を使ってる人物が学院《アテナル》を出てるなんて到底信じがたいけど」
「試すって言ってたし、わざとなんだろ」
「そうだと言いのだけど。もし、あれが全力の魔法だったら、あの子が不憫で仕方ない」
「あの子? あぁ、ノノのことか」
「そうそう。私の方がよっぽど教えてあげられるわ」
「で、これからどうするんだ?」
「早速やっていきたいところなのだけど……」
リザが空を見上げる。
デルイの許へ向かう時は青かった空もいつの間にかオレンジに染まり始めている。
「明日から本格的にした方がよさげだな」
「そうね。……でもどうしようかしら、お金が無いのよね」
「とりあえずギルドに相談してみたらどうだ? 俺らと似たようなパターンの人とかそれなりにいそうだし」
「そうしてみましょうか」
0
あなたにおすすめの小説
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
戦えない魔法で追放された俺、家電の知識で異世界の生存率を塗り替える
遊鷹太
ファンタジー
安全を無視したコスト削減に反対した結果、
家電メーカーの開発エンジニア・三浦恒一は「価値がない」と切り捨てられた。
降格先の倉庫で事故に巻き込まれ、彼が辿り着いたのは――魔法がすべてを決める異世界だった。
この世界では、魔法は一人一つが常識。
そんな中で恒一が与えられたのは、
元の世界の“家電”しか召喚できない外れ魔法〈異界家電召喚〉。
戦えない。派手じゃない。評価もされない。
だが、召喚した家電に応じて発現する魔法は、
戦闘ではなく「生き延びるための正しい使い方」に特化していた。
保存、浄化、環境制御――
誰も見向きもしなかった力は、やがて人々の生活と命を静かに支え始める。
理解されず、切り捨てられてきた男が選ぶのは、
英雄になることではない。
事故を起こさず、仲間を死なせず、
“必要とされる仕事”を積み上げること。
これは、
才能ではなく使い方で世界を変える男の、
静かな成り上がりの物語。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます
水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。
勇者、聖女、剣聖――
華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。
【戦術構築サポートAI】
【アンドロイド工廠】
【兵器保管庫】
【兵站生成モジュール】
【拠点構築システム】
【個体強化カスタマイズ】
王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。
だが――
この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。
最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。
識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。
「今日からお前はレイナだ」
これは、勇者ではない男が、
メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。
屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、
趣味全開で異世界を生きていく。
魔王とはいずれ戦うことになるだろう。
だが今は――
まずは冒険者登録からだ。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる