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1章
05話 魔導書狩り
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依頼主のもとへ向かう道中、ふと疑問が頭に浮かぶ。
「……そういえば依頼ってなんだったんだ?」
「すごく今更な話ね。魔導書狩りを探してくれって話よ」
「魔導書狩り?」
「えぇ。魔導書って貴重なものでしょ、それを盗んで売るのよ」
「一人一冊しか作れないもんな。……てかそうなるとすぐ足が付くような気がするけど」
「それが意外と行方が分からなくなるパターンが多いの。今まで見つかったのは、魔法使いが盗賊団に依頼して盗んでもらって、自分が保有しようとしてる場合がばっからしいけど」
貴重なものを手元に置いておきたいと思うのは、どこでも同じなのだろう。
そして、その欲望が起こしてしまう結果も。
「って事は依頼主は魔導書が盗られたのか」
「そこらへんはよく分からない。ただ許可証貰った時少し受付に話を聞いたんだけれど、どうやら依頼主はこの街では有名な魔導書収集家らしいの」
「魔導書収集家?」
「えぇ。昔は魔導書ってのはその人の知り合いか弟子に渡るものだったのだけど、最近は図書館に寄贈されるパターンが多いの。そっちの方がより多くの人に見てもらえるわけだしね。でも中には魔導書を手元に置いておきたいって人もいるわけ。そういう人を対象に図書館が魔導書の貸出をしてるの。で、それの写本を作って手元に置いてる人のことを魔導書収集家って呼ぶの」
「なるほどなぁ。それができるんだったら、わざわざ盗み出す必要なくないか?」
「図書館の貸出サービスを受ける基準って高いのよ。それこそ、魔導書の中には危険なものだっていくらでもある。だからある程度実力を認められないと駄目なわけ」
「つまり、依頼主はかなり魔法に精通してるってわけか」
「そういうことになりそうね。どうせいい学院でも出たんでしょうよ」
リザは吐き捨てるように言う。
相変わらずの学歴嫌いだ。
「でもそんな人間だったら自分で解決した方が早いだろ。……しかも高額な報酬もつけてるんだろ」
「自分の手を汚したくないんじゃないの? それか自分では解決できないと思ったのか」
「後者だった場合、面倒くさいことになりそうだな」
「そうね。まぁその場合は報酬を吊り上げさせてもらいましょう」
「お、おう……」
「歯切れが悪いわね」
「いや、なんていうかまぁ、お前は長生きできるよ」
「世の中賢く生きるのが一番よ。それよりもあれかしら……」
リザの目線の先を見ると、そこには豪邸が見えた。それこそ先ほどのギルドも中々の大きさだったが、豪邸はそれを凌駕していた。
「……しかも金持ちかよ」
隣から聞こえるどす黒い声。
関わると面倒くさそうなので無視をする。
それからもうしばらく歩き、豪邸の入り口の前に立つ。
「そ、それよりもどうやって人を呼び出すんだ……」
「それならここに手を触れればいいのよ」
リザはそう言って扉の傍に置いてある石造の円柱に手を触れる。
「ここに触れると、中の人が客人が来たってことが分かるらしいの」
「珍しく曖昧な表現だな」
「私も使うのは初めてだからね。……あ、開いた」
扉が開くと、中からリザと似たような恰好をしたロリが現れる。
「ちっ、しかも年下かよ……」
隣から聞こえる嫉妬全開の声。
あれだけの才能があるのに、なぜこいつはこんなに嫉妬心全開になれるのかが不思議だ。
「あんたが依頼人?」
「い、いえ違います。私は、あの、デルイ様の弟子でして、あの、その……」
てんぱっているのか口よりも手の方がよく動いていた。
何かこう、庇護欲を掻き立てるタイプだ。
「お前が怖い表情浮かべてるから緊張させてるじゃねえか」
「うるさいわね……、あのこの依頼を引き受けた者なんだけど」
リザはロリに依頼書を渡す。
「あ、なるほどギルドの方ですね。で、ではすぐに案内します。どうぞお入り下さい」
そうロリに促され、リザと共に豪邸の中に足を踏み入れた。
「……そういえば依頼ってなんだったんだ?」
「すごく今更な話ね。魔導書狩りを探してくれって話よ」
「魔導書狩り?」
「えぇ。魔導書って貴重なものでしょ、それを盗んで売るのよ」
「一人一冊しか作れないもんな。……てかそうなるとすぐ足が付くような気がするけど」
「それが意外と行方が分からなくなるパターンが多いの。今まで見つかったのは、魔法使いが盗賊団に依頼して盗んでもらって、自分が保有しようとしてる場合がばっからしいけど」
貴重なものを手元に置いておきたいと思うのは、どこでも同じなのだろう。
そして、その欲望が起こしてしまう結果も。
「って事は依頼主は魔導書が盗られたのか」
「そこらへんはよく分からない。ただ許可証貰った時少し受付に話を聞いたんだけれど、どうやら依頼主はこの街では有名な魔導書収集家らしいの」
「魔導書収集家?」
「えぇ。昔は魔導書ってのはその人の知り合いか弟子に渡るものだったのだけど、最近は図書館に寄贈されるパターンが多いの。そっちの方がより多くの人に見てもらえるわけだしね。でも中には魔導書を手元に置いておきたいって人もいるわけ。そういう人を対象に図書館が魔導書の貸出をしてるの。で、それの写本を作って手元に置いてる人のことを魔導書収集家って呼ぶの」
「なるほどなぁ。それができるんだったら、わざわざ盗み出す必要なくないか?」
「図書館の貸出サービスを受ける基準って高いのよ。それこそ、魔導書の中には危険なものだっていくらでもある。だからある程度実力を認められないと駄目なわけ」
「つまり、依頼主はかなり魔法に精通してるってわけか」
「そういうことになりそうね。どうせいい学院でも出たんでしょうよ」
リザは吐き捨てるように言う。
相変わらずの学歴嫌いだ。
「でもそんな人間だったら自分で解決した方が早いだろ。……しかも高額な報酬もつけてるんだろ」
「自分の手を汚したくないんじゃないの? それか自分では解決できないと思ったのか」
「後者だった場合、面倒くさいことになりそうだな」
「そうね。まぁその場合は報酬を吊り上げさせてもらいましょう」
「お、おう……」
「歯切れが悪いわね」
「いや、なんていうかまぁ、お前は長生きできるよ」
「世の中賢く生きるのが一番よ。それよりもあれかしら……」
リザの目線の先を見ると、そこには豪邸が見えた。それこそ先ほどのギルドも中々の大きさだったが、豪邸はそれを凌駕していた。
「……しかも金持ちかよ」
隣から聞こえるどす黒い声。
関わると面倒くさそうなので無視をする。
それからもうしばらく歩き、豪邸の入り口の前に立つ。
「そ、それよりもどうやって人を呼び出すんだ……」
「それならここに手を触れればいいのよ」
リザはそう言って扉の傍に置いてある石造の円柱に手を触れる。
「ここに触れると、中の人が客人が来たってことが分かるらしいの」
「珍しく曖昧な表現だな」
「私も使うのは初めてだからね。……あ、開いた」
扉が開くと、中からリザと似たような恰好をしたロリが現れる。
「ちっ、しかも年下かよ……」
隣から聞こえる嫉妬全開の声。
あれだけの才能があるのに、なぜこいつはこんなに嫉妬心全開になれるのかが不思議だ。
「あんたが依頼人?」
「い、いえ違います。私は、あの、デルイ様の弟子でして、あの、その……」
てんぱっているのか口よりも手の方がよく動いていた。
何かこう、庇護欲を掻き立てるタイプだ。
「お前が怖い表情浮かべてるから緊張させてるじゃねえか」
「うるさいわね……、あのこの依頼を引き受けた者なんだけど」
リザはロリに依頼書を渡す。
「あ、なるほどギルドの方ですね。で、ではすぐに案内します。どうぞお入り下さい」
そうロリに促され、リザと共に豪邸の中に足を踏み入れた。
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