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1章
10話 VS盗賊
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「あんた達が魔導書狩りを行ってた盗賊かしら?」
「……」
「まぁいいわ。それより突然襲い掛かるのは感心いかないのだけど」
声の節々から怒りを感じた。
漫画表現のようにリザの周りの小石やら何やらが宙に浮かんでいた。
「……っ」
男たちが俺たちとの距離を一気に縮めてくる。その手には斧や刃物などの凶器が握られていた。
「おい、ちょっと……」
「あれくらいどうってことないわよ」
慌てる俺とは対照的に、リザは深く落ち着いていた。
「あんた達は一つ重大なミスをした」
リザの言葉と呼応するように、男たちの動きがその場でピタッと止まる。
「……!?」
突然の出来事に慌てる男たち。
何とか動こうと必死に身体を揺らしているが、その努力も空しく終わる。
リザは動きが止まった男たちのもとへ一歩ずつ近づく。
「魔法使いと戦う時、そいつの一挙手一投足をも見逃してはならないわ。どのような行動が、どのような言葉が魔法の発動条件になっているか分からないから」
リザは男たちの目の前に立つ。
「口は自由に動くはずだから質問に答えてもらいたいのだけど。あなた達が魔導書狩りを行っていたのは自分の意思? それとも誰かからの指示?」
「……」
男たちは答えない。
ただ強い瞳でリザを睨みつけていた。
「そんな目で見られても困るのだけど。そもそも最初にあなた達が攻撃したのだから、むしろこの状況は私の正当防衛みたいなものよ」
「……」
「埒が明かないわね」
リザはそう言うと彼らがいた洞窟の方を見上げる。
「あなた達が4人。私が把握しているのは9人。つまりあそこには後5人いるわけよね」
リザは口角を上げ、薄ら笑いを浮かべる。
あぁ、あれはあれだ。心底性格が悪い人間にしかできないとか言われるあれだ。
「それとも、あなた達が危険な目に合えばあそこから他の仲間が助けてくれるのかしら」
リザは一人の男から刃物を奪うと、そのまま相手の首筋に当てる。
やっていることが完全に悪の組織にいる側にしか許されない行為だ。
「……くっ」
男の一人が声を出した瞬間ーー
「やめろーーーーーー」
「!?」
突然現れた一人の男の子がリザと男たちの間に割り込み、リザから男たちを庇うように両腕を広げる。
「ど、どこから出てきたのよ、一体……」
突然の出来事にリザも困惑を隠せないでいた。
「お、おまえたちはわるいまほーつかいだろ! そうやってまた父ちゃんたちにどろぼーさせるんだ!」
男の子はリザを睨みつけ、大声で叫ぶ。
「リマ、止めるんだ」
男の内の一人が声を荒げて叫ぶ。
「だって……だって……ぜんぶぜんぶあいつが……っ」
突然男の子が倒れる。それをリザが受け止める。
「……今、何か魔法が発動したわね。……なるほど、あなた達が喋らない理由が分かったわ」
「……」
「もし、私があなた達の抱えている問題を解決できるとすれば?」
ニタニタと性格の悪い笑み。
「条件は何だ……?」
「あなた達の持っている情報、それだけよ」
「本当に……それだけか?」
「えぇ。別に私はあなた達に興味があるわけではないし。強いて言うなら、魔導書狩りをしていたことは許せないのだけど、それだって彼曰く、させられた行為なのでしょう? それだったらむしろあなた達は被害者なのだし」
リザは淡白な言葉を吐く。
「まぁ、まずは話してもらうにしてもその面倒くさい魔法を解除してからではないとね」
リザはそう言うと一人の男の胸に手を当てる。
直後、ガラスの割れるような音が聞こえる。
「これでひとまず解除出来たわ。どうせあの洞窟にいる人たちもかけられているのでしょ? とりあえず動けるようにしたか……っ!」
気絶していたはずの男の子の体が突然立ち上がり、リザが奪い去っていたはずの刃物を持ち、リザに襲い掛かる。
「リザ!」
リザに襲い掛かる男の子の体を後ろから抱きかかえる。
間一髪だ。
「ふぅ。危なかったな」
「ば、馬鹿、油断しちゃ……」
「えっ……」
男の子の上半身が180度回転する。
そしてーーその手にあった刃物が、俺の体に刺さっていた。
「う、嘘だ……ろ……」
近くで叫んでいたリザの声がだんだんと離れていく。
そのまま意識は闇の中へ沈んでいった。
「……」
「まぁいいわ。それより突然襲い掛かるのは感心いかないのだけど」
声の節々から怒りを感じた。
漫画表現のようにリザの周りの小石やら何やらが宙に浮かんでいた。
「……っ」
男たちが俺たちとの距離を一気に縮めてくる。その手には斧や刃物などの凶器が握られていた。
「おい、ちょっと……」
「あれくらいどうってことないわよ」
慌てる俺とは対照的に、リザは深く落ち着いていた。
「あんた達は一つ重大なミスをした」
リザの言葉と呼応するように、男たちの動きがその場でピタッと止まる。
「……!?」
突然の出来事に慌てる男たち。
何とか動こうと必死に身体を揺らしているが、その努力も空しく終わる。
リザは動きが止まった男たちのもとへ一歩ずつ近づく。
「魔法使いと戦う時、そいつの一挙手一投足をも見逃してはならないわ。どのような行動が、どのような言葉が魔法の発動条件になっているか分からないから」
リザは男たちの目の前に立つ。
「口は自由に動くはずだから質問に答えてもらいたいのだけど。あなた達が魔導書狩りを行っていたのは自分の意思? それとも誰かからの指示?」
「……」
男たちは答えない。
ただ強い瞳でリザを睨みつけていた。
「そんな目で見られても困るのだけど。そもそも最初にあなた達が攻撃したのだから、むしろこの状況は私の正当防衛みたいなものよ」
「……」
「埒が明かないわね」
リザはそう言うと彼らがいた洞窟の方を見上げる。
「あなた達が4人。私が把握しているのは9人。つまりあそこには後5人いるわけよね」
リザは口角を上げ、薄ら笑いを浮かべる。
あぁ、あれはあれだ。心底性格が悪い人間にしかできないとか言われるあれだ。
「それとも、あなた達が危険な目に合えばあそこから他の仲間が助けてくれるのかしら」
リザは一人の男から刃物を奪うと、そのまま相手の首筋に当てる。
やっていることが完全に悪の組織にいる側にしか許されない行為だ。
「……くっ」
男の一人が声を出した瞬間ーー
「やめろーーーーーー」
「!?」
突然現れた一人の男の子がリザと男たちの間に割り込み、リザから男たちを庇うように両腕を広げる。
「ど、どこから出てきたのよ、一体……」
突然の出来事にリザも困惑を隠せないでいた。
「お、おまえたちはわるいまほーつかいだろ! そうやってまた父ちゃんたちにどろぼーさせるんだ!」
男の子はリザを睨みつけ、大声で叫ぶ。
「リマ、止めるんだ」
男の内の一人が声を荒げて叫ぶ。
「だって……だって……ぜんぶぜんぶあいつが……っ」
突然男の子が倒れる。それをリザが受け止める。
「……今、何か魔法が発動したわね。……なるほど、あなた達が喋らない理由が分かったわ」
「……」
「もし、私があなた達の抱えている問題を解決できるとすれば?」
ニタニタと性格の悪い笑み。
「条件は何だ……?」
「あなた達の持っている情報、それだけよ」
「本当に……それだけか?」
「えぇ。別に私はあなた達に興味があるわけではないし。強いて言うなら、魔導書狩りをしていたことは許せないのだけど、それだって彼曰く、させられた行為なのでしょう? それだったらむしろあなた達は被害者なのだし」
リザは淡白な言葉を吐く。
「まぁ、まずは話してもらうにしてもその面倒くさい魔法を解除してからではないとね」
リザはそう言うと一人の男の胸に手を当てる。
直後、ガラスの割れるような音が聞こえる。
「これでひとまず解除出来たわ。どうせあの洞窟にいる人たちもかけられているのでしょ? とりあえず動けるようにしたか……っ!」
気絶していたはずの男の子の体が突然立ち上がり、リザが奪い去っていたはずの刃物を持ち、リザに襲い掛かる。
「リザ!」
リザに襲い掛かる男の子の体を後ろから抱きかかえる。
間一髪だ。
「ふぅ。危なかったな」
「ば、馬鹿、油断しちゃ……」
「えっ……」
男の子の上半身が180度回転する。
そしてーーその手にあった刃物が、俺の体に刺さっていた。
「う、嘘だ……ろ……」
近くで叫んでいたリザの声がだんだんと離れていく。
そのまま意識は闇の中へ沈んでいった。
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