誤召喚された異世界でチート魔法使いと旅をします

桐戸李泉

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1章

12話 目覚め

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「あ、あれは……」
「召喚獣よ。おそらくこうなった時の対策はしていたんでしょうね」
「反撃の魔法といい、一応慎重派なんだろうな」
「の割には色々と詰めが甘いわね。まっ、私に依頼を発見されたのが運の尽きよ」
「で、どうするんだ?」
「どうするって……あれをぶっ飛ばしてデルイの許へ向かうしかないでしょ」
「それはそうなんだが……」
「とりあえず私が片付けてくるから、あんたたちはここにいて」

 そう言い終わると、リザは洞窟から飛び降りる。

「えっ、おまっ……」

******

(……いったぁ)

 足に強い衝撃。
 少し格好つけすぎたと後悔する。
 召喚獣たちーー辺りの気配からしておおよそ100ほどだろうかーーは、一斉に私の方へ意識を向けていた。
 闇夜に赤い瞳とぬめりとした白い牙が光っている。
 こうした対峙が久しぶりだからだろうか、心臓がバクバクと鳴る。
 決して恐怖ではない。
 むしろ、快楽の海に溺れたかのような高揚感で頭はいっぱいだった。
 手に汗が滲む。
 余計な考え事は捨ててしまおう。
 目の前にいるのは、私を邪魔するものだけだ。
 結局のところ、頭に残った感情は、復讐と憎悪それと興奮だった。
 
******

 洞窟の外側で巨大な爆発音が響く。
 間違いない、リザの仕業だろう。
 どうにか助けに行きたいが、魔法の一つも使えない俺では、足手まといにしかならないだろう。
 どうしようもない無力感に苛まれる。
 だがどうだろうか?
 別に俺は、俺の意思でここにきたわけではない。
 勝手にこんな場所に連れてこられただけ。
 そうであるなら、別に無力感に苛まれる必要なんてない。
 むしろ、俺は守ってもらう資格があるのだ。

 
 ……なんて考えられたら、どれだけ楽だっただろうか。
 無性に自分に腹が立つ。
 こんな所で、守られるに過ぎない自分に。
 そんな環境に甘えようとしていた自分に。
 結局、俺は何処かリザを頼りにし過ぎていたのだろう。
 ここで出て行ってしまえば、むしろ邪魔になるだけかもしれない。
 それでも、迷惑をかけてしまったとしても、ここで甘えている自分よりよっぽど許せるような気がした。
 ようは自己満足。
 最低の考え方だ。
 それでも、多少くらいは許して欲しい。
 俺がどれだけあいつの自己満足に付き合わされてきたことか。
 そう考えると、無性に腹が立ってきた。
 近くにある刃物を手に取る。

「……これ、少し借りますね」

 そして勢いよく、洞窟の外に飛び出す。

「……えっ」

 思ったより高さがあった。
 地面に着陸すると同時にとんでもない衝撃が体全身を走る。
 やばい、傷が開いたかもしれない。
 今更になって、冷静さが頭に戻って来る。

「……あんた何してるのよ?」

 大きな音がしたせいだろうか、リザは呆れた顔でこちらを見ていた。

「て、手伝いに来たんだよ」
「は、はぁ……」

 リザは片手間に召喚獣を吹っ飛ばしていた。
 どうやら、俺の出番は必要ないらしい。
 少し恥ずかしくなる。
 
「あ、危ないわよ!」

 リザの突然の大声。
 顔を上げると召喚獣一匹がこちらに飛びかかっていた。

「……!?」

 反射で右手を召喚獣に向ける。
 その瞬間、右手に何か熱い、こみ上げてくるものがあった。

「……嘘」

 リザの驚きの声。

「……なんだよ……これ」

 俺に襲い掛かっていた召喚獣は、遥か遠くへ吹っ飛んでいた。 

「あんたどうして……」

 放心状態になるリザ。
 それをチャンスだと感じたのか、召喚獣が一斉にリザを襲う。

「リザ!」
「……大丈夫よ」

 リザが腕を振ると、召喚獣が消滅する。
 やっぱりこいつは、強さのバランスを壊しているような気がする。
 立ち上がり、リザの隣に立つ。

「俺、さっき魔法を使えてなかったか?」
「そうみたいね」
「これなら多少は役に立てそうだな」
「そうね。というか別に私はストレス発散してただけなのだけど」
「うるせえな。じゃあ俺にもさせろ。こちとらどんだけストレスが溜まってると思ってるんだよ」
「しょうがないわね。少しだけ分けてあげるわよ」
「分けるってな……」
「ほどほどに期待してるわ……じゃあ、ちゃっちゃと終わらせましょう」
「おう」
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