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あなたのお名前なんて〜の
しおりを挟む移動中に、どうしても気になっていた事を尋ねた。
「ハラミは私が名づけました。
野原で出会った美しい人でハラミです。
自分でもなかなかのセンスではないかと思いますよ」
成る程、優しい人になってと優人と名付ける、とかそう言うノリ?
違うか?
じっくり見ないと気づかないけど、聞こえてくる言葉と口の動きが微妙に違って、吹き替え映画みたいになってるから、僕にはハラミと聞こえても実際は違うのかも。
しかしこの質問はヤバかったみたい。
スケエリアが怖い笑顔を浮かべてる……。
*****
日が暮れる前に、家を建てて回っていると言うオーガを見つけた。
焚き火のそばで、大柄の男二人と小柄な男が酒盛りしている。
「ん?こんな所に人族とは珍しいな」
「本当だ。
この辺は薬草とか食べれる木ノ実とか少ないのにな」
酒を呑んでるイケメン二人がこちらを見る。
またイケメンかよ…。
「俺に仕事頼みに来たのかな?」
俺達に背中を向けて座っていた小柄な男が、振り向いて聞いてくる。
イヤだ、恥ずかしかなるくらいの美少年。
そうか、そうかと大柄二人が頷く。
「よく分かったな、俺がここに居るって。
前居た沼の側より、やっぱ川の近くが良いからな。
コイツらが住処作ってくれるって言うからここに移ったんだ」
何でだか自分の事知ってる前提で話を進める美少年。
『ふぁー、おはようアルジ』
寝て居たアンズが起きた。
え?ずっと大人しかったのって寝てたの?
『…ん?…んん⁈この気配…』
「こりゃまた珍しい、人族とスライムが一緒に居る」
「本当だ」
『あーーー!やっぱりドワーフかよ!』
ドワーフってイメージだと、小柄でガタイの良い、酒好きのヒゲもじゃ中年男だよね。
…もしかしなくても…。
『お前が剣なんかを作ってるから負けちまっただろ!
まあアルジいい奴だし、好きだから良いけどさ』
ああ、アンズは可愛い。
アンズに答えたのはやっぱり美少年。
うん、そうだね、僕もいい加減に慣れよう、この変な世界に。
「そう言ってもなあ、頼まれるんだから仕方ないだろ。
使えもしない武器頼むなんて、人族って馬鹿だなあって思ってたんだけど、使える奴が居たんだ」
そうだよね、騎士でさえアルミの鎧なんだから、使えない武器や防具を注文するっておかしいって思うよね。
「ああ、それ僕なんですけど、魔王になる為に、他の世界から召喚されたんです。
重すぎる物でない限り、金属の武器や防具は使えますよ」
現状使えない武器はあるだろうけど、訓練次第で何でも使えるようになるよね、多分。
「へえ。そう言えばそれ鉄製だよな」
「流石にフルアーマーだと動けませんけどね。
武器は使い慣れている形の刀です」
「へえー、嬉しいね、作ったからには実用して欲しいからね」
そりゃあ武器や防具を観賞用にされるより、使ってもらう方が作り甲斐有るよね。
「おお、スキヤキが楽しそうだ」
「ぶっっ!」
「そりゃあ俺達だって、誰も住まない家建てたって面白くないわけだろ?」
「そりゃそうだ」
三人がうんうんと頷く。
俺が吹き出した事は気づかれなかったみたい。
セーーフ!
「え…っと…スキヤキさん?
ステキナナマエデスネー。
ご自分で付けられたのデスカ?」
「ん?良い名前だろう?
これはな、鉄の作り方を教えてくれた人族が付けてくれたんだ。
何でも鉄を焼いて物を作るのが好きな奴って意味らしいぞ」
鉄って焼くんじゃなくて、溶かすんじゃなかったっけ?
「おお、お前そんな立派な名前なんだ。
俺達は家造りの師匠が、大工道具を使った名前付けてくれたんだぞ」
それってもしかして、もしかしなくても…。
オークの純血種ってどう見ても鬼って言うか鬼人?だからきっとアレでしょ?
「穴を開けるキリを上手く使う鬼だから、合わせてオニギリだ」
「俺はトンカチを使った名前で、仕事が早いからトンソクってわけだ」
やっぱりオニギリ。
でもトンソクは想像外。
美女のハラミ
美少年のスキヤキ
イケメンのオニギリにトンソク…
もしかしてこの世界の魔族って、食べ物の名前を付けるのがセオリーなの?
いや、でも、俺も食べ物の名前付けちゃったけど、偶然だからね。
でもさ、でもさ、俺には食べ物の名前に聞こえるけど、きっとこの世界的には普通の名前…なんだろうな…多分…。
残念度がどんどん増してくるんだけど…
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