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さあ出発だ

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『あ!アルジ気がついた!』
『おい、シル、コーが起きたぞ!』

目を開けると胸の上に乗っているアンズと、顔を覗き込んでいるワーウルフの顔が視界に入ってきた。

あれ?話の途中だったのにいきなり戻された?
いつもなら話の区切りまではあの空間に居るのに?

「気がつかれましたか、急に倒れて気を失われたので驚きました」

ワーウルフの呼びかけでシルジットが馬車の中に入って来た。

ん?やっぱり魔族の言葉通じてる?
そしてびっくり、あの人見知りのホッティが、シルジットの背中に張り付いてる。

二人共、薬草やスパイスなど調合するから話が合ったのか?
女性にモテるだけでなく、俺にしか懐かなかったホッティまで、シルジットが良いのかと思うと、ちょっとショックかも。

と思っていたら、シルジットから離れて、そそくさとこちらに来て、俺の隣にやって来た。

心の中で『勝った!』と思い、子供っぽい自分にちょっと恥ずかしくなってしまった。
あまり深掘りしないでおこう、自分の小ささにちょっと恥ずかしくなりながら、話を戻す。

「大丈夫、別に体調悪い訳ではないから。
ちょっと呼ばれただけで……」
「呼ばれた?」
「いや、こっちの話」

女神に呼び出されたとかなんだか話が長くなりそうだし、説明も面倒くさいし、なんだかんだとややこしくなりそうだし、ここは惚けておこう。

それにドラゴンに会いに行くなとか言われたけど、会いに行っちゃいますよ。

だって、例え小さな羽根つきトカゲだったりしても、ドラゴンはドラゴンだし、異世界でドラゴン居るのに会わないなんてないでしょ。

あ!討伐とかはしないよ!
ドラゴン倒して、貴重素材ゲットとか、しないからね。

「ここからどれくらいかかるの?ドラゴンの住む山まで」
話を変えるに限るとばかり、強引に話題を変えた。

「そうですね、私が急いで走ると夜までには着きますけど、皆と一緒なら明日の昼あたりには着くと思われます」

サクラの返事に、やはり馬車を引くのは無理させてるのかな?
と聞いてみたけど、彼女は笑って

「いえ、皆さんが乗っているくらいの荷車など、丁度良い負荷にしかなりませんよ。
普通の速度で走れますし。
ただ、もう一台の馬車との兼ね合いもありますからね。
私だけが早ければいいと言う物ではないでしょう?
私の走りについて来れませんからね、普通の馬は」

サクラの引いている馬車は、俺とアンズ、シルジット、ホッティ、ガーリックが乗っている。
他のメンバーは最初に乗ってきた幌付きの荷馬車に乗って、後からついてきている。

あちらは馬二頭で引いているけど、こちらはサクラだけ。
それでもやっぱり、普通の馬と魔族では、力強さもスピードも比べ物にならない程に差がある。

「じゃあ無理のない速度で進もうか」
「はい」
「おう」
「わかりました」
『了解ー』
皆がそれぞれ返事して再度出発。

あ、因みにシルジットが魔族の言葉わかった理由は……簡単な事だ。
ガーリックが同時通訳していただけの事だった……。

ニュアンスは前から何となく通じてたしね。
同時通訳してもらえると、これからも話がスムーズに進むから、後でガーリックにお願いしておこう。






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