109 / 206
第二章 旅は道連れ
109 海は怖いんです
しおりを挟む
何だかんだあった大陸の東側から、只今バスに乗って海を移動中です。
結構豪快に泳いでいますけど、流石の乗り心地で、揺れはあまり感じません。
ただ!
ただ、私カナヅチなのですよ。
ほぼ揺れない、最高の乗り心地と言えど、揺れるのは揺れます。
落とされない様に、体に力が入ります。
「ジョニーさん、すごい顔色だけど大丈夫か?」
空を飛んでいるディビットが声をかけてきます。
「大丈夫ですよ~、ポニーが私を落とすわけないですし、大丈夫ですよ~」
《落とす様な事せんよ。
安全運転やから安心しとき》
ポニーもそう言ってくれますし、チャックが膝の上で重石になってくれています。
そうそう落ちることはないでしょう。
「落ちないと分かっていても、周りが水だらけだから、どうしても体に力が入ってしまうんですよね」
水が怖いわけでは有りません。
風呂も入るし、若い頃仲間と川やプールでも遊んでいました。
ただ!
海って足がつかないじゃないですか!
足さえつけば溺れないけど、足がつかないと溺れるじゃないですか!
それが怖いんですよ。
プールは大きくてもサイズは限られていますし、人がうじゃうじゃ居るから、万が一溺れても大丈夫じゃないですか。
川は流れがあるけど、水遊びする様な場所は深さもたかが知れてますので怖くないです。
でも海はダメです。
足がつかないし、海水浴場でもない限り、人は密集していません。
それに引き潮に乗ってしまうと、どこまで流されるか分かったもんじゃないんですよ?
更に海の中にはサメだっているし、ダイオウイカに絡まれたらどうするんですか?
ジンベイザメや鯨に丸呑みされるかも知れないんですよ?
泳いで逃げられない私には、本物が出るお化け屋敷より怖いです。
〈考え過ぎだと思う……
変なテレビ番組の見過ぎだとも思う 〉
ティちゃんが何か言っていますけど、怖いもんは怖いんです。
「なんなら、俺がジョニーさんを抱えて飛ぼうか?」
気の利くディビッドの言葉ですけど、抱えて飛んでもらったとしても、海の上ですから、万が一落ちてしまったら…………。
「ありがとうございます。
気持ちだけ受け取りますね。
それより、私の事はさん付けせずに、ジョニーと呼んでください。
家族なんですから」
お礼とついでに、気になってた事も伝えました。
さん付けって、他人行儀ですもんね。
「……わかった、ジョニーと呼ばせて貰う。
それと気が変わったらいつでも言ってくれ」
気遣いの出来る方ですけど、見た目中年男性に抱かれて空を飛ぶ、見た目未成年の男性………ちょっとシュールですよね。
「…………オレだってもっと大きかったら抱えて飛べるのに……」
チャックが可愛いことを言っているので、頭を撫でてあげました。
私達は一気に目的地を目指すのではなく、空からディビッドが島を見つけたら、そちらで休憩を取りながら進んでいます。
ポニー達を休ませないといけませんからね。
島は無人島だったり、人が住んでいたりと色々です。
夜に海を行くのは危ないので、無人島ならそのまま泊まりますし、島民が居れば、ついでに商売もします。
カカルの民の乳製品は何処でも大人気ですよ。
それに内陸部の魔化した動物の肉も、島の住民の口にはなかなか入らない様で、こちらも人気です。
現金や宝石の支払いではなく、島特有の植物や果物、海産物との物々交換です。
意外と特殊進化した果物や、内陸部では滅多に目にすることが無くなった、珍しい植物なども有りました。
アインが大喜びです。
そろそろロスフォータ南の港町へ到着というところで問題が起きました。
《ええーと……あんな、ジョニー………ちょっとディビッドに後ろ見てもろおてよい?》
《後ろ、ですか?》
《なんか知らんけど、シッポになんか食いついとるみたいやねん》
《は?》
ディビッドに頼んで後ろを見てもらったのですけど、
「確かに何か居る。
白くて丸い……魚じゃない生き物。
…すまん、俺は海の生き物のことはよくわからないんだ」
荒野に住む鳥ですからね、海の生物に詳しくないのは当然ですね。
《シッポを振っても取れそうにないですか?》
《さっきからパタパタ動かしとるんやけど、離れそうにないんよ。
近くに陸地無いかな?》
一先ず近くの島へ上陸し、その生き物をどうにかする事にしました。
「こ……これは………」
「珍しいですね」
「……可愛いね」
私、アイン、チャックの反応に対して、
「丸々として美味そうだな」
「柔らかくて美味しそうね」
「これ美味しいの?」
肉食の3人!それは無い!
シッポに食いついていたのは、ゴマフアザラシの赤ちゃんでした。
これは卑怯です、トキメキます。
つぶらな黒い瞳がウルウルしています。
キューキュー鳴いてプルプルしています。
卑怯です、あざといとか言うんでしたっけ?
庇護欲を駆り立てます。
「灰色アザラシの幼体ですね。
白い体なのは珍しいですから、魔力持ちなのでしょう。
本来ならもっと沖合の、人の住まない場所に生息する生き物です」
ゴマフアザラシでは無い様です。
本来なら全身黒色なのだそうです。
地球とは生態系が違うようですね。
生息地は岩礁地帯で、人(獣人含む)が住まない、分け入らない場所だそうです。
濡れた岩が黒く見えるので、体が黒くなったけど、元々の体の色はグレーだったので、黒アザラシではなく、灰色アザラシと呼ばれるそうです。
私の中でアザラシは、寒い地域に住んでいるイメージですけど、こちらでは人の居ない場所なら何処にでも居るそうです。
「人が天敵なのですか?」
「そうですね、皮は水を弾くので、装飾品で重宝されますし、油はよく燃えるので燃料に、肉は美味しいですし、骨は軽くて丈夫なので、加工品に使われます。
つまり余すところなく利用できるので、乱獲されてしまい、絶滅の危機に晒されたそうです」
余すとこなく使えて乱獲されたとは、地球のクジラみたいですね。
この世界の造船技術ですと、岩礁地帯に生息していれば、乱獲されることもないでしょう。
絶滅しなくてよかったですね。
結構豪快に泳いでいますけど、流石の乗り心地で、揺れはあまり感じません。
ただ!
ただ、私カナヅチなのですよ。
ほぼ揺れない、最高の乗り心地と言えど、揺れるのは揺れます。
落とされない様に、体に力が入ります。
「ジョニーさん、すごい顔色だけど大丈夫か?」
空を飛んでいるディビットが声をかけてきます。
「大丈夫ですよ~、ポニーが私を落とすわけないですし、大丈夫ですよ~」
《落とす様な事せんよ。
安全運転やから安心しとき》
ポニーもそう言ってくれますし、チャックが膝の上で重石になってくれています。
そうそう落ちることはないでしょう。
「落ちないと分かっていても、周りが水だらけだから、どうしても体に力が入ってしまうんですよね」
水が怖いわけでは有りません。
風呂も入るし、若い頃仲間と川やプールでも遊んでいました。
ただ!
海って足がつかないじゃないですか!
足さえつけば溺れないけど、足がつかないと溺れるじゃないですか!
それが怖いんですよ。
プールは大きくてもサイズは限られていますし、人がうじゃうじゃ居るから、万が一溺れても大丈夫じゃないですか。
川は流れがあるけど、水遊びする様な場所は深さもたかが知れてますので怖くないです。
でも海はダメです。
足がつかないし、海水浴場でもない限り、人は密集していません。
それに引き潮に乗ってしまうと、どこまで流されるか分かったもんじゃないんですよ?
更に海の中にはサメだっているし、ダイオウイカに絡まれたらどうするんですか?
ジンベイザメや鯨に丸呑みされるかも知れないんですよ?
泳いで逃げられない私には、本物が出るお化け屋敷より怖いです。
〈考え過ぎだと思う……
変なテレビ番組の見過ぎだとも思う 〉
ティちゃんが何か言っていますけど、怖いもんは怖いんです。
「なんなら、俺がジョニーさんを抱えて飛ぼうか?」
気の利くディビッドの言葉ですけど、抱えて飛んでもらったとしても、海の上ですから、万が一落ちてしまったら…………。
「ありがとうございます。
気持ちだけ受け取りますね。
それより、私の事はさん付けせずに、ジョニーと呼んでください。
家族なんですから」
お礼とついでに、気になってた事も伝えました。
さん付けって、他人行儀ですもんね。
「……わかった、ジョニーと呼ばせて貰う。
それと気が変わったらいつでも言ってくれ」
気遣いの出来る方ですけど、見た目中年男性に抱かれて空を飛ぶ、見た目未成年の男性………ちょっとシュールですよね。
「…………オレだってもっと大きかったら抱えて飛べるのに……」
チャックが可愛いことを言っているので、頭を撫でてあげました。
私達は一気に目的地を目指すのではなく、空からディビッドが島を見つけたら、そちらで休憩を取りながら進んでいます。
ポニー達を休ませないといけませんからね。
島は無人島だったり、人が住んでいたりと色々です。
夜に海を行くのは危ないので、無人島ならそのまま泊まりますし、島民が居れば、ついでに商売もします。
カカルの民の乳製品は何処でも大人気ですよ。
それに内陸部の魔化した動物の肉も、島の住民の口にはなかなか入らない様で、こちらも人気です。
現金や宝石の支払いではなく、島特有の植物や果物、海産物との物々交換です。
意外と特殊進化した果物や、内陸部では滅多に目にすることが無くなった、珍しい植物なども有りました。
アインが大喜びです。
そろそろロスフォータ南の港町へ到着というところで問題が起きました。
《ええーと……あんな、ジョニー………ちょっとディビッドに後ろ見てもろおてよい?》
《後ろ、ですか?》
《なんか知らんけど、シッポになんか食いついとるみたいやねん》
《は?》
ディビッドに頼んで後ろを見てもらったのですけど、
「確かに何か居る。
白くて丸い……魚じゃない生き物。
…すまん、俺は海の生き物のことはよくわからないんだ」
荒野に住む鳥ですからね、海の生物に詳しくないのは当然ですね。
《シッポを振っても取れそうにないですか?》
《さっきからパタパタ動かしとるんやけど、離れそうにないんよ。
近くに陸地無いかな?》
一先ず近くの島へ上陸し、その生き物をどうにかする事にしました。
「こ……これは………」
「珍しいですね」
「……可愛いね」
私、アイン、チャックの反応に対して、
「丸々として美味そうだな」
「柔らかくて美味しそうね」
「これ美味しいの?」
肉食の3人!それは無い!
シッポに食いついていたのは、ゴマフアザラシの赤ちゃんでした。
これは卑怯です、トキメキます。
つぶらな黒い瞳がウルウルしています。
キューキュー鳴いてプルプルしています。
卑怯です、あざといとか言うんでしたっけ?
庇護欲を駆り立てます。
「灰色アザラシの幼体ですね。
白い体なのは珍しいですから、魔力持ちなのでしょう。
本来ならもっと沖合の、人の住まない場所に生息する生き物です」
ゴマフアザラシでは無い様です。
本来なら全身黒色なのだそうです。
地球とは生態系が違うようですね。
生息地は岩礁地帯で、人(獣人含む)が住まない、分け入らない場所だそうです。
濡れた岩が黒く見えるので、体が黒くなったけど、元々の体の色はグレーだったので、黒アザラシではなく、灰色アザラシと呼ばれるそうです。
私の中でアザラシは、寒い地域に住んでいるイメージですけど、こちらでは人の居ない場所なら何処にでも居るそうです。
「人が天敵なのですか?」
「そうですね、皮は水を弾くので、装飾品で重宝されますし、油はよく燃えるので燃料に、肉は美味しいですし、骨は軽くて丈夫なので、加工品に使われます。
つまり余すところなく利用できるので、乱獲されてしまい、絶滅の危機に晒されたそうです」
余すとこなく使えて乱獲されたとは、地球のクジラみたいですね。
この世界の造船技術ですと、岩礁地帯に生息していれば、乱獲されることもないでしょう。
絶滅しなくてよかったですね。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる