【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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三章 町をつくる様です

176 三兄弟

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2日後にもう一つのダンジョンへ行ってみて、一、二階なら普通に狩りのできる人なら問題ない事を、キチンと確認して来ました。
少しダンジョン内の道を整備し、階段を作ったりして、ゆくゆくは、一、二階だけですが、住民の食糧調達の場兼ストレス発散の場に開放する事に決めました。


引越し先の地ならしをしたり、公園の遊具を鍛治師さんや加工師さんや、他の国の大工さんに発注したり(うちの町の大工さんは、私の引っ越し先を建てるのに忙しいので外部発注です)ヨーコーに新しいレシピを教えたり、畑の収穫を手伝ってみたり、噴水の魔石の調整をしてみたり、白雪に癒されたり、たり、たり、たり………。


そんなこんなな日々を十日程送った頃、リーガルリリーに支店を出したいと、問い合わせのあった商会の方との面談の日が訪れました。

先に会ったのは、食品関係を主に取り扱う【クラーラル商会】です。

商業ギルドの応接室で、ショタコフスキーさんと待っていると、ダンゴさんが案内してきたのは、3人の犬の亜人さんです。
一番体つきの良い方が最初に口を開きました。

「お初にお目にかかります、クラーラル商会のアルモンドと申します。
この度はお時間をいただきありがとうございます」
「スターチオです、初めまして」
「カシウです、宜しくお願いします」

ご兄弟の様で、顔つきは似通っています。
3人とも明るい茶髪で、耳は大型の洋犬…多分レトリバー系?の垂れミミです。

「初めまして、この町の町長のジョニーです」
「ボクは初めましてでは無いですけど、一応この町のギルド長のショタコフスキーです。
まあ、どうぞ掛けてください」

5人が腰を下ろすと、ダンゴさんがお茶を配り、入り口近くの椅子に腰掛けました。

会話はこの町の事、コレからまだ発展しそうなので、ぜひ商会の支部を置きたいという事から始まりました。
クラーラル商会は、この大陸から南東にある別の大陸が本拠地で、海路を巡り、他の大陸や小さな島国まで、沢山の場所で支店を出しているそうです。

この大陸でも、大森林の西側に有る国のうち、四つの国で支店を開いているとか。
山脈の東でも、最近支店を一軒開いたそうです。

「港の街に出店しようと思っていたのですけど、この町の話を聞きまして、将来性のあるこの場に支店を…と思い至り、お時間をいただく事になりました」
将来性ときましたか。
まあ、まだまだ色々手を広げていこうと思ってはいますけどね。

「まだ開発途中の町です。
港街程発展はしないかもしれませんよ」
賑やかで良い町にして行くつもりですけど、どう転ぶかは分かりません。
期待外れになる事も有るでしょうから、ここは“ヨイショ”に乗らず、慎重に答えましょう。
なにせ相手は世界を股にかけた(?)大手の商会ですからね。

「いえ、この町は発展しますよ。
海外からの玄関口で有る港から遠く離れているにも関わらず、ましてや町ができて半年も経たないうちに、既にこの大陸では珍しい物を作り出そうとしているそうですね」
……ガラスの事ですね。
え?もう知られてるの?
商人の耳の早さは凄いですね。

「まだ完成はしていないんですけどね」
「それでもガラスは、この大陸では西側の一部で独占していて、物自体も内部消費で使い切り、外に出回っていない貴重品ですし、他の大陸でも、流通させる程出回っていません。
ましてや言い方は悪いですけど、外交から離れた内陸の町で作られているという事に、私は驚きを感じますよ」

あー、やっぱり完全に無いわけではなく、有るには有るんですね、出回っていないだけで。

「しかも装飾品に使う物で有って、それを窓に嵌めるなど、聞いた事無いですよ」
え?窓ガラスって他の大陸でも無いんですか?

「まあ、私達はそちらは専門外ですから、取り引きを…とは申しませんけど」
「それよりも、あの食べ物の数々ですよ!」
アルモンドさんの言葉を遮って、ぽっちゃりスターチオさんが声を上げます。

「あの【ごはん屋】のメニュー、全制覇しましたけど、どれもこれも美味い!」
【ごはん屋】とはヨーコーの食堂です。
店の名前を付けてくれと言われて、分かりやすい名前を付けました。
家族には不評でしたけど、分かりやすいのが一番ですよね?

「あの品々は貴方が考案したメニューなんですよね?」
「え、ええ、まぁそうですね」
「しかも数日前に行ったら、またメニューが増えてたし、これからも増えるんですか?」
「そのつもりですけど」
「スッっっばらしい!!」

テーブルを挟んで座っていたのですけど、スターチオさんは立ち上がり、グイグイと前のめりに寄ってきます…顔が近い………。

「煩い、少し落ち着け」
「うごっ!」
表情の薄いカシウさんの拳が、スターチオさんの脇腹に決まりました。
あれは痛いぞ……。

「すみません、コイツ食いしん坊で。
でも舌は確かですから、コイツが美味いと感じた店は、必ず流行るんですよ。
まあ、既に流行っていますけど」
スターチオさんはグルメの様ですね。
でも、褒められると単純に嬉しいです。

「話を商談に戻しましょうか」
アルモンドさんが“商人っぽい笑顔”を浮かべました。

いや、戻すも何も、話を逸らしたのは貴方ですよね?
突っ込みませんけど、内心で思うくらい大丈夫ですよね。





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