【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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四章 再会

193 閑話 とある場所での話し合い

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ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー


いきなり訳の分からない人達が出てきます。
本当の閑話です、飛ばしても差し障り有りませんけど、水面下の動き?
何故いきなりそうなったかの説明?
今回はそう言った類のお話です


ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー




世界の果てに、全ての世界を管理している場所がある。
ある日そこで働く一人の男性が、会議室に呼び出された。
室内には上司と、別部署の女性がテーブルについている。

「あー君って確か、少し前までキリ番当選者の案内担当だったよね?」
「はあ、今は別部署ですけど」
「それでだ、地球から送ったキリ番の中年男性って覚えてる?
確か……10年ぐらい前かな?」
「いえ、覚えがありません」

確かにキリ番当選者の案内人をやってはいたが、仕事はそれだけではない。
その上過去の仕事を、それも短い時間しか関わらない相手など、記憶に残っている筈もない。

「そーか、覚えてないか。
ならナビゲーションに強制アクセスする?」
ナビゲーションとは、別の世界へ転生や転移をさせる時に、相手によって渡す事のあるAIだ。

「何か問題があったのですか?」
「うん、ちょっとね。
そのキリ番当選者が転移した場所でトラブルが起こっているんだけど…。
あ、彼女が管理担当している星でね、どうもそのキリ番当選者が巻き込まれる様なんだ。
折角第二の人生を送ってるのに、悲願達成せずに人生終わるのって、悪いじゃない。
だから、ほんの少しチャンスをあげようかと」

転生や転移した相手には関わらないのが基本なのだが、目的も果たさず亡くなるのは、新しい人生が無駄になる事になる。
新しい人生での貢献度なども踏まえて、チャンスを与える事も無くはない。

「因みにどう言った経緯なのですか?」
漢が尋ねる。

「亡くなった奥さんを甦らせる為に転移した中年男性だね」
「覚えています」

思わず上司の言葉に被せてしまう。
10年前じゃなく、まだ2年も経っていない。
あの風変わりな男性は、とても記憶に残っている。

「奥さんを甦らせる事は出来るんだけど、その後で、トラブルに巻き込まれて命落としそうなんだよね。
しかも奥さんと命繋ぐから、蘇った奥さんも亡くなるし。
しかもその男性、複数の【真名】も握っているから、場合によってはその相手も道連れになるな」

それは少しばかり可愛そうかなと思うけど、無闇に関わりを持つ事は禁止されている筈。
それを分かっていて、この上司は何がしたいのだろうと、男性は考える。

「その真名を握られているうちの一つがドラゴンなの。
あの世界のドラゴンは生態系のバランスや、魔素のバランスの為の装置だから、使用期限切れ(寿命)ならいいんだけど、それ以前に壊されると困るのよね」
と、管理者の女性が言う。

「それに暴露してしまうなら、そのトラブルで行く行くはいくつもの種族の歴史が終わってしまうし、滅びる国も複数出てしまいそうなの。
暗躍している国だけが終わるのならまだしも、一つの地域を除いた周辺諸国も巻き込まれるのよね。
その暗躍している国に、対抗戦力が有ると知らしめる…いわば彼は抑止力になるのよ。
その中年男性が巻き込まれる事によって、静観するモノ達が積極的に動き出すようだし。
だからちょっとしたきっかけを作ってみたら、巻き込まれる流れになったのよね」

……奥さんとのんびり暮らしたいと言っていたのに、随分と大きなトラブルに巻き込まれてしまう様ですね。


「……それで、どうすると言うのでしょうか」
男性が問うと、上司は答える。
「調べてみると、彼らは戦略的、戦力的には問題無い。
それだけ周りに能力の高いモノが集まっているからね。
今でも何とかなりそうではあるけど、相手は国だから数が足りない様だ。
せめて彼らと変わらぬ力量を持った者が後一人居れば、問題解決にかなり有利だろうと計算される。
しかしあの世界で今から信頼できる戦力を探すのは、時間的に猶予は無い」

2年を10年と言った上司だから、猶予は無いと言っても、数年は大丈夫なのでは無いのだろうか……と思ったのだが、管理者の女性が頷くのを見ると、本当に時間が無いようだ。

「どうすれば…と言いますか、何をさせれば良いのですか?」
「そこでだ、思いついたのが…………」




「と、上司に言われたのだが、彼はもう復活の魔法を入手しただろうか?」

〈あとちょっと心を揺らされれば、ゲージは貯まるから、復活の魔法をオープンさせられるよ 〉

宙に浮かんだ映像に映る、自分がカスタマイズして転移者に渡したAIの、ナビゲーションシステムと会話をする男性。

「復活召喚は一回きりの回数制限をかけているから、それを解除する。
しかし秩序を守る為にも、2回目は劣化版とする様に言われた。
また、本来なら回数制限を解除したら無制限に呼べる様になるのだが、そこは伏せておく事」

〈了解~。
まあ、あの人って存外素直だから、こっちがもう一回だけだと言ったら、聞き入れてくれると思うよ 〉

AIだから、進化の仕方は使う者次第なのだが、随分と軽くなったな、と思いながら男性は続ける。

「但し、管理からの接触があった事は伏せないといけないし、他者にバレてもいけない。
それが他の管理者であっても。
それにどんなに善人だと思っていても、ふとした欲望に取り憑かれる事もあるから、諸々の事がバレない様に誤魔化してくれ」

〈どうやって? 〉

「それは任せる」

〈え~、まあ、やってみるけど。
オープンにしていいのは、もう一人喚(よぶ)事が出来るよってのと、劣化版という事、トラブル対策に戦力を喚ぶ様に、ってところで良いの? 〉

「トラブルの件も伏せる様に。
戦力を喚ぶのも誘導するだけで、明言しない事」

〈え~、難しい事言うね。
もし戦力にならない人を喚んだらどうなるの? 〉

「………どうなるんだろうな」

大っぴらに介入出来ないのだから仕方ないと分かっていても、自分をここまで育ててくれた相手をかなり気に入っているナビゲーションは、不満に思う。

〈んじゃま、何とか誤魔化して、戦力強化のための召喚を誘導して、末永く幸せになってもらう様に考えるよ 〉

渡した相手に併せてカスタマイズはしたが、随分と人間臭く進化してるなと、男性は面白く思った。

「それではよろしく。
次の連絡は任務終了後の回収時だな。
持ち主の為にも頑張ってくれ」

〈はいは~い。
回収が少しでも先になる様に、頑張って誘導するよ 〉

最後まで軽いノリのナビゲーションシステムとの接続を切った男性は、次の仕事へと向かって行った。





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