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四章 再会
200 家族との対面
しおりを挟むそれから、町をつくった事を軽く説明して、詳しい事やその他の事は、おいおい複写のスキルを交えて伝えていく事にしました。
「大まかな説明は済んだので、家族を紹介したいのですけど、疲れていませんか?」
目を覚ましたばかりで、今までとは全く違うこの世界の説明や、出会いの場面を一気に伝えたので、疲れているかもしれません。
心配になって尋ねたのですけど、
「横になって話を聞いていただけですよ、疲れる様な事有りませんよ」
と、微笑みます。
死んだと思ったら若返って、連れあいまで若返っていて、いきなり
『ここは違う世界だ、魔法も使えるよ、君のために町もつくったんだ』
なんて言われたら、軽く混乱しそうなのですが………。
少なくても私だったら知恵熱の一つて出しそうですね。
流石リリー、順応力が高いです。
〈え?それで済ませるの? 〉
ティちゃんの突っ込みは聞こえませんでしたよ、うん。
「なら皆と会ってみますか?」
「そうね、さっきはベッドの上でしたし、挨拶もしていないから、きちんと挨拶したいわ。
これから一緒に暮らすのよね?」
私が頷くと、妻は内心を語ってくれました。
「正直言いますと、同世代の……同世代に見える異性と同じ屋根の下と言うのは、気まずい気がしないでもないですよ。
いくら2歳とか、100歳以上の年上の方と言っても、見た目が同じくらいですからね。
でも、あの方達は、あなたが【家族】として迎えた方々ですし、一緒に暮らしている異性が全て、私を邪な目で見るなんて考えるのは自意識過剰ですよね。
それにまだ顔もまともに合わせていないのに、変に意識するのもおかしいでしょ?
だから、ありのままで受け入れようと思うの」
私が真名を付けて絆を繋ぎ、家族に迎えたからと言って、妻とは直接な関係は無いのが現状です。
見知らぬ人をいきなり『今日から家族です』と言って『はいそうですか』とはいきませんよね。
それでもそのまま受け入れようとしてくれている妻は、なんて出来た女性なのでしょう。
「皆の見た目はああですけど、シナトラはリリーの事を母親と呼ぶつもりですし、デイビッドは妻子持ちで、ブルースは種族柄なのか、おじいちゃん過ぎるのか、異性に興味は無さそうです。
チャックや白雪は可愛い子供ですし、コニーは見た目は可愛らしくても、中身はしっかりしていますし。
アインは………アインですから」
アインについてはそれ以外の言葉が出て来ませんね。
「だから、異性とか考えずに、家族として……ひとまずは親戚と同居するとでも考えるのはどうでしょう?」
「そうね、あなたにとって、こちらの世界で一緒に過ごして来た身内でも、私からすればまだまだ初対面ですからね。
あの方達が受け入れてくれるかは分かりませんけど」
少し不安な顔をしていますけど、大丈夫ですよ、彼等は私が何のために今まで頑張って来たのか、ずっと見てきてくれた、手を貸してくれた方々なのですから。
「大丈夫ですよ、行きましょうか」
私は妻に手を出し、ベッドから起こすと、洋ダンスを開けて服を着替える様に告げました。
「ここにある服は、生地からこの町で作ってるんですよ。
今度町をゆっくり案内しますね」
以前の世界からすれば、随分簡素な服を妻は身に付けます。
着替え終わった妻は、自分の姿を見下ろし、小さく頷きました。
何なのでしょう?
妻を連れて客室を出、リビングへ向かいます。
部屋に戻ると言っていましたけど、皆の反応がリビングに有りますから、集まっているのでしょう。
「ん?なんだ、もう話は終わったのか?」
リビングの扉を開けた私に気付いたブルースが尋ねてきます。
「ええ、一気に全てを、と言うのは無理ですから、おいおいとですね」
「ずっと話していて喉が渇いたでしょう、お茶を入れて来ますね」
「あ、お手伝いします」
アインとデイビッドが部屋から出て行きます。
シナトラが座っていた椅子から立ち上がり、部屋の隅にある一人がけのソファーを持ち上げ、いつも私の座っているロッキングチェアの横へ移動させます。
「母ちゃん、母ちゃん、ほらここ、父ちゃんの横に座ると良いよ」
「…母ちゃん?………」
ニコニコ笑って勧めて来るシナトラに、妻が目を白黒させています。
「だからいきなりその呼び方だとビックリするって言ったよね?」
チャックがため息をつきながら突っ込みます。
「だって父ちゃんも良いって言ってたじゃん」
「良いって言っても、先ずは本人に聞いてからじゃないの?
自己紹介もしないうちに馴れ馴れしいと思うんだけど」
「もー、チャック兄ちゃんは細かいんだから」
「何だよ!」
「ほらほら二人とも、ジョニーの奥さんがビックリしてるでしょ?
その辺でやめときなさい」
言い争いを始めたシナトラとチャックを諌めるのはコニーです。
「は~~い」
「ごめんなさい」
形なりは小さくとも、年長のコニーの言う事を素直に聞く二人は良い子ですよね。
まずは座ろうかと、二人で腰を下ろすと、椅子から降りた白雪がちょこちょこと駆け寄って来ます。
白雪は妻の前で立ち止まり、顔を見上げてコテンと首を傾げ、妻に問いかけました。
「お姉さんが今日から、白雪の母さま?」
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