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Ⅰ ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
【第54話:急用が出来たので】
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~時は少し遡り、ジル視点~
我は主を転移魔法で冒険者ギルド前まで送り届けると、この小さき竜の姿で我自身も冒険者ギルドに向かっていた。
本当ならこの姿でも音速を超える事は可能なのだが、周りに被害が出るからな。
主が嫌がるだろうから控えているのだ。
~
それからしばらくして、特に何事もなくギルドまで後わずかの所まで来ていた。
途中、従魔の証である赤いスカーフを巻いているのにもかかわらず、我を捕まえようと言う不逞の輩がいたので、深き森に転移させておいたりしたが些事だろう。
主の言いつけを守って無闇に傷つけたり破壊したり消滅させたりはしていないのだ。
そんな事を思い返していた時、主の戦闘が終わったようだった。
≪うむ。魔族に逃げられたようだな。まぁ主に危害を加えたわけではないし、帰還魔法へ干渉して捕縛するのは控えておくか≫
千里眼で見ていたが、あの魔族は今のところ主を攻撃したりはしていないようなので、ここで我が捕縛するとまたやり過ぎだと言われてしまうかもしれないからな。
とりあえず我がここで止まっていても仕方ないので、そのまま冒険者ギルドの方に向かうとするか。
~
だが、どうやら主は双子の娘の方に向かったようだった。
あの娘たちなら大丈夫だと思うのだが主は本当に心配症のようだ。
≪ん?急いでいる時は街中でも音速を超えたりしても良いのか?あぁ~なるほど!いつも街中でダメと言っているのはドアラの街だけで、学術都市セデナは当てはまらないと言うことか≫
それならそうと主も最初から言ってくれれば良いものを。人が悪い。
ただ、そうは思いつつも特に急ぐ必要もないので、そののままギルド前をパタパタと飛んで通過しようとしたのだが、
「お、おい!!そこのフェアリードラゴン!お前はコウガの従魔だよな?……って、おりゃぁ何してんだか……いくら魔法郵便に『恒久の転生竜』のドラゴンに渡してくれって書いてるからって……」
男が話しかけて来た。
何かブツブツ言っているが何か我に用事があるようだな。
ここはドアラの街のような制限はないようだし、話しかけて確認しておくか。
≪そこの男。我に何か用か?何か渡すものでもあるのか?≫
「……へっ?……」
≪聞こえなかったのか?我に何か用か?用事がないのなら我は行くぞ≫
我がそう言うとようやく我に帰ったのか、その男は慌てて話しかけてきた。
「い、いや待て、待ってくれ!こ、これだ!これを渡してくれとドアラの街の冒険者ギルドから……カリンとかいう職員から魔法郵便が届いているんだ!」
我も世話になっている宿の娘か。
貰っておいた方が良いだろうと判断した我は、手紙を手で受け取ると広げて内容を確認する。
「ドラゴンってあんな風に器用に手を使えんのかよ……」
何か呟いているようだが独り言のようなので無視して良いだろう。
我は受け取った手紙を広げると読み始める。
≪うむ。いつもコソコソしてる妖精どもの主はあの娘だったか≫
読み進めてみると、どうやらさっき逃した魔族が悪巧みをしていて、それが実行されるとコウガ達にも多大な迷惑がかかるという事だった。
そして手紙の最後に、ジル様がそれを阻止すればコウガに褒められる事間違いなし!と書いてある。
うむ……褒められるのか……。最近は自重しろとばかり言われているからな……悪くない。
≪うむ。しかと受け取った。男よ。礼を言うぞ≫
「へ?……あ、あぁ構わねぇよ」
≪それでは我はちょっと急用が出来たのでちょっと失礼させてもらう。そうだ。男よ、ちょっと伝言を頼まれてはくれぬか≫
男が首肯したので我は主に伝言を頼むと、飛竜のサイズまで体を大きくする。
どうしても大きくなりたい時は、なるべく飛竜サイズまでと言われておるからな。
ドアラの街中では飛竜サイズも禁止と言われているが、ここはセデナの街だから大丈夫だろう。
≪男よ。腰が抜けているようだが大丈夫か?それでは伝言を頼んだぞ≫
そう言って我は冒険者ギルド前から飛び立ったのだった。
ふふふ……褒められるだろうか。
我は主を転移魔法で冒険者ギルド前まで送り届けると、この小さき竜の姿で我自身も冒険者ギルドに向かっていた。
本当ならこの姿でも音速を超える事は可能なのだが、周りに被害が出るからな。
主が嫌がるだろうから控えているのだ。
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それからしばらくして、特に何事もなくギルドまで後わずかの所まで来ていた。
途中、従魔の証である赤いスカーフを巻いているのにもかかわらず、我を捕まえようと言う不逞の輩がいたので、深き森に転移させておいたりしたが些事だろう。
主の言いつけを守って無闇に傷つけたり破壊したり消滅させたりはしていないのだ。
そんな事を思い返していた時、主の戦闘が終わったようだった。
≪うむ。魔族に逃げられたようだな。まぁ主に危害を加えたわけではないし、帰還魔法へ干渉して捕縛するのは控えておくか≫
千里眼で見ていたが、あの魔族は今のところ主を攻撃したりはしていないようなので、ここで我が捕縛するとまたやり過ぎだと言われてしまうかもしれないからな。
とりあえず我がここで止まっていても仕方ないので、そのまま冒険者ギルドの方に向かうとするか。
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だが、どうやら主は双子の娘の方に向かったようだった。
あの娘たちなら大丈夫だと思うのだが主は本当に心配症のようだ。
≪ん?急いでいる時は街中でも音速を超えたりしても良いのか?あぁ~なるほど!いつも街中でダメと言っているのはドアラの街だけで、学術都市セデナは当てはまらないと言うことか≫
それならそうと主も最初から言ってくれれば良いものを。人が悪い。
ただ、そうは思いつつも特に急ぐ必要もないので、そののままギルド前をパタパタと飛んで通過しようとしたのだが、
「お、おい!!そこのフェアリードラゴン!お前はコウガの従魔だよな?……って、おりゃぁ何してんだか……いくら魔法郵便に『恒久の転生竜』のドラゴンに渡してくれって書いてるからって……」
男が話しかけて来た。
何かブツブツ言っているが何か我に用事があるようだな。
ここはドアラの街のような制限はないようだし、話しかけて確認しておくか。
≪そこの男。我に何か用か?何か渡すものでもあるのか?≫
「……へっ?……」
≪聞こえなかったのか?我に何か用か?用事がないのなら我は行くぞ≫
我がそう言うとようやく我に帰ったのか、その男は慌てて話しかけてきた。
「い、いや待て、待ってくれ!こ、これだ!これを渡してくれとドアラの街の冒険者ギルドから……カリンとかいう職員から魔法郵便が届いているんだ!」
我も世話になっている宿の娘か。
貰っておいた方が良いだろうと判断した我は、手紙を手で受け取ると広げて内容を確認する。
「ドラゴンってあんな風に器用に手を使えんのかよ……」
何か呟いているようだが独り言のようなので無視して良いだろう。
我は受け取った手紙を広げると読み始める。
≪うむ。いつもコソコソしてる妖精どもの主はあの娘だったか≫
読み進めてみると、どうやらさっき逃した魔族が悪巧みをしていて、それが実行されるとコウガ達にも多大な迷惑がかかるという事だった。
そして手紙の最後に、ジル様がそれを阻止すればコウガに褒められる事間違いなし!と書いてある。
うむ……褒められるのか……。最近は自重しろとばかり言われているからな……悪くない。
≪うむ。しかと受け取った。男よ。礼を言うぞ≫
「へ?……あ、あぁ構わねぇよ」
≪それでは我はちょっと急用が出来たのでちょっと失礼させてもらう。そうだ。男よ、ちょっと伝言を頼まれてはくれぬか≫
男が首肯したので我は主に伝言を頼むと、飛竜のサイズまで体を大きくする。
どうしても大きくなりたい時は、なるべく飛竜サイズまでと言われておるからな。
ドアラの街中では飛竜サイズも禁止と言われているが、ここはセデナの街だから大丈夫だろう。
≪男よ。腰が抜けているようだが大丈夫か?それでは伝言を頼んだぞ≫
そう言って我は冒険者ギルド前から飛び立ったのだった。
ふふふ……褒められるだろうか。
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