41 / 137
第一章 旅立ち
【第41話:冒険者たち】
しおりを挟む
いくらか話して落ち着いたオレ達は、少し遠くで勝利に沸いている冒険者たちのもとに向かう事にした。
冒険者の所に近づいて行くと徐々にざわめきが起こり、たどり着いた頃にはちょっとした歓声が沸きあがった。
何事かと思って驚いていると、あの冒険者のリーダー格の男が近づいてきて、
「おぉ!お前たちが街を救った英雄パーティーか!」
と大声で話しかけてきた。
すると、それを皮切りに次々と声を掛けられる。
「よく闇の眷属の企てに気付いてくれたな!マジでありがとな!」
「おぉ!さっきのお前たちがやったのか!凄いな!」
「その従魔恐ろしいな……。でも、ありがとうよ」
「見た目そこらのガキなのに信じられん強さだな。しかし、よくやってくれたよ!」
「そっちの赤髪の子紹介してくれー!」
などなど、驚きと共に概ね感謝をされるのだった。
(よし!最後の奴はしっかり特定しておいた!)
そうこうしているともう一度リーダー格の男が出てきて自己紹介がされる。
「ようやく落ち着いてきたな。オレはテリトンの街を拠点にしているゴールドランク冒険者でジーニスという。よろしくな!」
そう言って右手を差し出してくる。
(この人がガイルさんが言ってた今街にいる唯一のゴールドランク冒険者か)
と思い出しながらオレも握手に応え、
「オレはユウトと言います。一応冒険者でアイアンです」
と、挨拶を返す。
「はぁ!?アイアンランク~!?おいおいおい。あれでアイアンとかブロンズってありえねーだろ」
と、突っ込まれる。
「そう言われても冒険者になったの自体がつい先日なので…」
もう自分が普通のスペックじゃないのはよくわかったので、この反応は仕方ないと思うが、嘘は言ってないのでどうしようもなかった。
「な…どうやらその顔は本当みたいだな…。って事は冒険者やる前から強かった口か」
たまにそういう奴はいるが…と、ようやく納得してくれたのだった。
一通り挨拶と自己紹介を終えると、とりあえずギルドへの報告をしたいから街に戻ったら一緒にギルドにくるように頼まれる。
「わかりました。オレもそのつもりだったので大丈夫です」
と承諾の返事をする。
オレも最初から冒険者ギルドには行くつもりだったので、冒険者たちと一緒に騒ぎながら街道を行くのだった。
~
冒険者はほとんど徒歩だったので、オレ達もペースを合わせて歩く事になる。
途中色々な人に話しかけられるが、元々人を覚えるのがあまり得意でないオレは、その半分も人の顔と名前を覚えきれなかった。
パズに興味を持った冒険者もたくさんいたのだが、三白眼でふてぶてしく歩くその姿に冒険者たちは本気でビビっていたようだった。
(筋肉の塊のような強面冒険者たちが、チワワに本気でビビってる光景がシュールすぎる…)
と、その光景に何とも言えない気持ちになるのだった。
ちなみにこの時聞いた話によると、この討伐自体は有志で行われたものらしい。
闇の眷属は人類共通の敵という認識のようで、冒険者なら戦って当たり前といった感じだった。
その自分の命を顧みず、街を守るために戦って当然といった姿はとても尊いものに見えた。
オレの中では小説などのイメージが強くて『冒険者=荒くれ者』となっていたのだが、みんな意外とちゃんとしていて好感が持てる人たちばかりだった。
そしてその姿を見ていると、自分が使徒だという意味やこれからどうするべきなのかを考えさせられるのだった。
その後4時間ほどかけて街が見える所まで戻ってくると、既に日が暮れかかっていた。
ただ、綺麗な夕日はとても幻想的で、オレ達にお疲れさまと労ってくれているようだった。
~
街に入ると事態を知った人たちが歓迎の出迎えをしてくれた。
街の人々の感謝の声が少し照れくさかったが、守れたんだと実感させてくれる。
そしてジーニスが、
「それじゃぁお前らはセグイットの酒場か、どっかデカい酒場押さえといてくれや」
と言って他の冒険者とわかれる。
どうもこの後打ち上げのような流れらしい。
と、他人事のように思っていると、
「お前ら主役なんだから、ちゃんと来いよ!」
など声を掛けられたので、オレ達も参加しないといけなさそうだった。
そこから少し歩いて冒険者ギルドに到着すると、日は沈みきってすっかり暗くなっていたのだった。
~
冒険者ギルドに入ると職員がいるカウンターの前までやってくる。
「マスターはいるか!ゴブリンの討伐は成功したと伝えて呼んできてくれ!」
とジーニスが職員に伝えると、職員も安堵の表情を浮かべて急いでギルドマスターを呼びに行くのだった。
ちなみにリリルには街に向かう途中で粗方の経緯を聞いておいたので、オズバンさんを安心させてあげてと先に宿に向かわせており、今この場にはいなかった。
しばらくカウンターの前で待っていると、ギルドマスターではなく職員だけが戻ってくる。
そして、
「すみません。落ち着いて話せる場所で報告を聞きたいという事なので、3Fの部屋に行ってもらえませんか?」
と伝えてきた。
それを聞いたジーニスは
「わかった。それじゃぁササッと報告済ませてうめーもん食いに行こうぜ!」
と、楽し気に話しかけてくるのだった。
~
3Fまであがったオレ達は一番奥の部屋の前で立ち止まる。
そして案内をしてくれた職員がノックをすると、
「入っていいわよ」
と、女の人の声で返事が返ってくるのだった。
冒険者の所に近づいて行くと徐々にざわめきが起こり、たどり着いた頃にはちょっとした歓声が沸きあがった。
何事かと思って驚いていると、あの冒険者のリーダー格の男が近づいてきて、
「おぉ!お前たちが街を救った英雄パーティーか!」
と大声で話しかけてきた。
すると、それを皮切りに次々と声を掛けられる。
「よく闇の眷属の企てに気付いてくれたな!マジでありがとな!」
「おぉ!さっきのお前たちがやったのか!凄いな!」
「その従魔恐ろしいな……。でも、ありがとうよ」
「見た目そこらのガキなのに信じられん強さだな。しかし、よくやってくれたよ!」
「そっちの赤髪の子紹介してくれー!」
などなど、驚きと共に概ね感謝をされるのだった。
(よし!最後の奴はしっかり特定しておいた!)
そうこうしているともう一度リーダー格の男が出てきて自己紹介がされる。
「ようやく落ち着いてきたな。オレはテリトンの街を拠点にしているゴールドランク冒険者でジーニスという。よろしくな!」
そう言って右手を差し出してくる。
(この人がガイルさんが言ってた今街にいる唯一のゴールドランク冒険者か)
と思い出しながらオレも握手に応え、
「オレはユウトと言います。一応冒険者でアイアンです」
と、挨拶を返す。
「はぁ!?アイアンランク~!?おいおいおい。あれでアイアンとかブロンズってありえねーだろ」
と、突っ込まれる。
「そう言われても冒険者になったの自体がつい先日なので…」
もう自分が普通のスペックじゃないのはよくわかったので、この反応は仕方ないと思うが、嘘は言ってないのでどうしようもなかった。
「な…どうやらその顔は本当みたいだな…。って事は冒険者やる前から強かった口か」
たまにそういう奴はいるが…と、ようやく納得してくれたのだった。
一通り挨拶と自己紹介を終えると、とりあえずギルドへの報告をしたいから街に戻ったら一緒にギルドにくるように頼まれる。
「わかりました。オレもそのつもりだったので大丈夫です」
と承諾の返事をする。
オレも最初から冒険者ギルドには行くつもりだったので、冒険者たちと一緒に騒ぎながら街道を行くのだった。
~
冒険者はほとんど徒歩だったので、オレ達もペースを合わせて歩く事になる。
途中色々な人に話しかけられるが、元々人を覚えるのがあまり得意でないオレは、その半分も人の顔と名前を覚えきれなかった。
パズに興味を持った冒険者もたくさんいたのだが、三白眼でふてぶてしく歩くその姿に冒険者たちは本気でビビっていたようだった。
(筋肉の塊のような強面冒険者たちが、チワワに本気でビビってる光景がシュールすぎる…)
と、その光景に何とも言えない気持ちになるのだった。
ちなみにこの時聞いた話によると、この討伐自体は有志で行われたものらしい。
闇の眷属は人類共通の敵という認識のようで、冒険者なら戦って当たり前といった感じだった。
その自分の命を顧みず、街を守るために戦って当然といった姿はとても尊いものに見えた。
オレの中では小説などのイメージが強くて『冒険者=荒くれ者』となっていたのだが、みんな意外とちゃんとしていて好感が持てる人たちばかりだった。
そしてその姿を見ていると、自分が使徒だという意味やこれからどうするべきなのかを考えさせられるのだった。
その後4時間ほどかけて街が見える所まで戻ってくると、既に日が暮れかかっていた。
ただ、綺麗な夕日はとても幻想的で、オレ達にお疲れさまと労ってくれているようだった。
~
街に入ると事態を知った人たちが歓迎の出迎えをしてくれた。
街の人々の感謝の声が少し照れくさかったが、守れたんだと実感させてくれる。
そしてジーニスが、
「それじゃぁお前らはセグイットの酒場か、どっかデカい酒場押さえといてくれや」
と言って他の冒険者とわかれる。
どうもこの後打ち上げのような流れらしい。
と、他人事のように思っていると、
「お前ら主役なんだから、ちゃんと来いよ!」
など声を掛けられたので、オレ達も参加しないといけなさそうだった。
そこから少し歩いて冒険者ギルドに到着すると、日は沈みきってすっかり暗くなっていたのだった。
~
冒険者ギルドに入ると職員がいるカウンターの前までやってくる。
「マスターはいるか!ゴブリンの討伐は成功したと伝えて呼んできてくれ!」
とジーニスが職員に伝えると、職員も安堵の表情を浮かべて急いでギルドマスターを呼びに行くのだった。
ちなみにリリルには街に向かう途中で粗方の経緯を聞いておいたので、オズバンさんを安心させてあげてと先に宿に向かわせており、今この場にはいなかった。
しばらくカウンターの前で待っていると、ギルドマスターではなく職員だけが戻ってくる。
そして、
「すみません。落ち着いて話せる場所で報告を聞きたいという事なので、3Fの部屋に行ってもらえませんか?」
と伝えてきた。
それを聞いたジーニスは
「わかった。それじゃぁササッと報告済ませてうめーもん食いに行こうぜ!」
と、楽し気に話しかけてくるのだった。
~
3Fまであがったオレ達は一番奥の部屋の前で立ち止まる。
そして案内をしてくれた職員がノックをすると、
「入っていいわよ」
と、女の人の声で返事が返ってくるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる