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第二章 激動
【第54話:世界の理】
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目的の宿の近くまで来た時、見覚えのある馬車がちょうど街に入ってくるのが見えた。
馬車を護衛していた一人がこちらに気付き馬を走らせて近くまで来ると、
「ユウト!よくやってくれたな!凄い大活躍だったらしいじゃないか!」
と、騎士隊長のメンフィスさんが馬上から話しかけてきたのだった。
~
馬車もその後を追ってオレ達の近くまでやって来ると、馬車の窓が開けられ
「ユウト様!す、凄いです!百を超える魔物を倒したとか!?私も見たかったですぅ~!まるで本に出てくる英雄のようだったとかぁ~!」
と、興奮して例のキラキラした目で話しかけられる。
(うっ…ユリ様…なんかスイッチ入るとキャラが完全に変わるよな…)
と、少しひきながらも
「…い、いえ。何とか間に合いお役に立てて良かったです」
と少し謙遜して答えるのだが、興奮したユリ様に根掘り葉掘り色々質問攻めにあうのだった。
~
しばらくしてようやく隙を見つけたオレは、
「ユリ様!大きな声ではまだ言えないのですが、実はまだ安心できる状態ではないのです」
と伝える。
すると、メンフィスさんが
「ん?どういう事なのだ?」
と聞いてくるので、オレはリリルと二人でお告げの事も含めて闇の眷属の軍勢の事を説明するのだった。
~
「なるほど…。しかし…、私たち騎士団の手助けは本当にいらないのか?」
と、少し心配そうに聞いてくるメンフィスさん。
すると、なぜかパズが
「ばぅ!」
僕たちにまかせてよ!と吠えるのだが、メンフィスさんに理解できるわけもなく、結局オレが
「パズも任せてって言ってますし大丈夫ですよ。ありがとうございます」
と伝えてあげる。
「そうか…。街を救ってもらったばかりか、この地方一帯の危機を君たちに任すことになってしまうな。だが、私からもお願いする」
と言って、深く頭をさげるのだった。
そしてユリ様も、
「さ、先ほどは取り乱してしまいすみませんでした!それにお急ぎの所をお引止めしてしまい…」
と申し訳なさそうに謝ってくる。
するとメイが
「大丈夫でござる!我らはパズ殿の滑る馬車で目的地までひとっ飛びでござるゆえ!」
と答えると、みんなが無言で『えぇ~~…』って視線を向けるのだった。
(まだ時間的に余裕があるんだしこのままキントキに頑張ってもらおう…)
~
お互いの無事を祈り、ユリ様一行とわかれる事になったのだが、
「そうだ!ユリ様。街には必ず帰ってきますので、その時にお婆さんの治療をさせてください」
と伝えると、ユリ様は
「ありがとうございます!絶対戻ってきてくださいね!絶対ですよ!」
と、馬車の窓から身を乗り出して約束をするのだった。
~
少し時間を取ってしまったが、もうメアリの泊まっている宿の近くまできていたので、急いで向かおうとすると
「話は終わった?」
と、話しかけられる。
振り向いた少し先にはその目当てのメアリが立っていたのだった。
「あ。メアリ!ちょうど良い所に!」
とオレが話しかけると、
「もうさっきユリ様に説明しているのを聞いたわよ。えらい事になってるようね…」
と、少し表情を硬くする。
「そうだな。ちょっと次から次へとほんと勘弁してほしいよ。それでメアリにお願いがあるんだが…。エルフの里への連絡をお願いできるか?」
と頼むのだが、予想外の事を告げられるのだった。
「ごめんなさい。私、追放者だからエルフの里には帰れないの…」
追放者とは穏やかではない話だと思い、どういう事か理由を聞いても良いか尋ねてみる。
すると、少しの間を置いたのち かまわないわと、ポツリポツリと話し始めるのだった。
~
「私には年の離れた妹がいたの。その妹が正体不明の男たちに殺されそうになった」
その罰よと、メアリは詳しく話し始める。
妹はまだ20歳の若いエルフで名は『エリン』という。
古の民が崇める新緑の神『グリサス』から加護を得ており、集落ではとても大事に育てられていた。
しかし、妹は自由とは無縁の生活を余儀なくされ、次第に外の世界に憧れを抱くようになる。
その姿を不憫に思ったメアリは、エリンをこっそり連れ出して一番近くの街であるこのコルムスの街にやってくる。
エリンは始めてみる街や行きかう人々に目を輝かせ、それはもう喜んだらしい。
そして街を出て里に戻ろうとした時にそいつらは現れた。
『世界の理を壊す者』
そう名乗ったその人間たちは不気味な闇を身に纏い、二人に襲い掛かってくる。
里ではそれなりの強さを誇っていたメアリだったが、多勢に無勢な上に見た事もない術を使う彼らの攻撃を捌ききれず、妹に怪我をさせてしまう。
それでも風の魔法を駆使して何とか集落まで逃げ延びる事に成功したのだが、その者たちは集落の中にまで追ってきたのだった。
集落の腕利きのエルフが一致団結して何とか追い払うが、その代償に何名かのエルフが犠牲になる。
エルフの長老たちもメアリの優しさから起こった自体なのはわかってはいたが、犠牲者が出た上にエリンはその傷が治ったあとも意識を取り戻せないでいた。
そう。まるでリリルのお母さんのように…。
馬車を護衛していた一人がこちらに気付き馬を走らせて近くまで来ると、
「ユウト!よくやってくれたな!凄い大活躍だったらしいじゃないか!」
と、騎士隊長のメンフィスさんが馬上から話しかけてきたのだった。
~
馬車もその後を追ってオレ達の近くまでやって来ると、馬車の窓が開けられ
「ユウト様!す、凄いです!百を超える魔物を倒したとか!?私も見たかったですぅ~!まるで本に出てくる英雄のようだったとかぁ~!」
と、興奮して例のキラキラした目で話しかけられる。
(うっ…ユリ様…なんかスイッチ入るとキャラが完全に変わるよな…)
と、少しひきながらも
「…い、いえ。何とか間に合いお役に立てて良かったです」
と少し謙遜して答えるのだが、興奮したユリ様に根掘り葉掘り色々質問攻めにあうのだった。
~
しばらくしてようやく隙を見つけたオレは、
「ユリ様!大きな声ではまだ言えないのですが、実はまだ安心できる状態ではないのです」
と伝える。
すると、メンフィスさんが
「ん?どういう事なのだ?」
と聞いてくるので、オレはリリルと二人でお告げの事も含めて闇の眷属の軍勢の事を説明するのだった。
~
「なるほど…。しかし…、私たち騎士団の手助けは本当にいらないのか?」
と、少し心配そうに聞いてくるメンフィスさん。
すると、なぜかパズが
「ばぅ!」
僕たちにまかせてよ!と吠えるのだが、メンフィスさんに理解できるわけもなく、結局オレが
「パズも任せてって言ってますし大丈夫ですよ。ありがとうございます」
と伝えてあげる。
「そうか…。街を救ってもらったばかりか、この地方一帯の危機を君たちに任すことになってしまうな。だが、私からもお願いする」
と言って、深く頭をさげるのだった。
そしてユリ様も、
「さ、先ほどは取り乱してしまいすみませんでした!それにお急ぎの所をお引止めしてしまい…」
と申し訳なさそうに謝ってくる。
するとメイが
「大丈夫でござる!我らはパズ殿の滑る馬車で目的地までひとっ飛びでござるゆえ!」
と答えると、みんなが無言で『えぇ~~…』って視線を向けるのだった。
(まだ時間的に余裕があるんだしこのままキントキに頑張ってもらおう…)
~
お互いの無事を祈り、ユリ様一行とわかれる事になったのだが、
「そうだ!ユリ様。街には必ず帰ってきますので、その時にお婆さんの治療をさせてください」
と伝えると、ユリ様は
「ありがとうございます!絶対戻ってきてくださいね!絶対ですよ!」
と、馬車の窓から身を乗り出して約束をするのだった。
~
少し時間を取ってしまったが、もうメアリの泊まっている宿の近くまできていたので、急いで向かおうとすると
「話は終わった?」
と、話しかけられる。
振り向いた少し先にはその目当てのメアリが立っていたのだった。
「あ。メアリ!ちょうど良い所に!」
とオレが話しかけると、
「もうさっきユリ様に説明しているのを聞いたわよ。えらい事になってるようね…」
と、少し表情を硬くする。
「そうだな。ちょっと次から次へとほんと勘弁してほしいよ。それでメアリにお願いがあるんだが…。エルフの里への連絡をお願いできるか?」
と頼むのだが、予想外の事を告げられるのだった。
「ごめんなさい。私、追放者だからエルフの里には帰れないの…」
追放者とは穏やかではない話だと思い、どういう事か理由を聞いても良いか尋ねてみる。
すると、少しの間を置いたのち かまわないわと、ポツリポツリと話し始めるのだった。
~
「私には年の離れた妹がいたの。その妹が正体不明の男たちに殺されそうになった」
その罰よと、メアリは詳しく話し始める。
妹はまだ20歳の若いエルフで名は『エリン』という。
古の民が崇める新緑の神『グリサス』から加護を得ており、集落ではとても大事に育てられていた。
しかし、妹は自由とは無縁の生活を余儀なくされ、次第に外の世界に憧れを抱くようになる。
その姿を不憫に思ったメアリは、エリンをこっそり連れ出して一番近くの街であるこのコルムスの街にやってくる。
エリンは始めてみる街や行きかう人々に目を輝かせ、それはもう喜んだらしい。
そして街を出て里に戻ろうとした時にそいつらは現れた。
『世界の理を壊す者』
そう名乗ったその人間たちは不気味な闇を身に纏い、二人に襲い掛かってくる。
里ではそれなりの強さを誇っていたメアリだったが、多勢に無勢な上に見た事もない術を使う彼らの攻撃を捌ききれず、妹に怪我をさせてしまう。
それでも風の魔法を駆使して何とか集落まで逃げ延びる事に成功したのだが、その者たちは集落の中にまで追ってきたのだった。
集落の腕利きのエルフが一致団結して何とか追い払うが、その代償に何名かのエルフが犠牲になる。
エルフの長老たちもメアリの優しさから起こった自体なのはわかってはいたが、犠牲者が出た上にエリンはその傷が治ったあとも意識を取り戻せないでいた。
そう。まるでリリルのお母さんのように…。
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