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第三章 追憶と悔恨
【第102話:昇格試験 その1】
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オレ達は冒険者ギルドの建物の横に設けられている修練場にやってきていた。
そこには大勢のギルド職員とギルドから依頼された多くの冒険者たちが修練場を囲むように配置され、何やら複雑な文様が刻まれた長いロープを握りしめていた。
「さぁ、これでほぼ準備は整いましたぞ。『暁の刻』の方々も準備はよろしいですかな?」
と、ワーグナーさんが聞いてくる。
「えっと?準備と言われてもオレ達は何の準備をすれば良いんですか?」
オレはこれから始まる試験がどういったものかも知らないのに、準備が良いかと言われても何の準備かわからないと伝える。
すると、ワーグナーさんは、
「あぁ!申し訳ありません。普通はゴールドランクの試験時にプラチナランクの試験内容も説明を受けるのです。すっかり忘れておりました……」
と言って頭をさげてきた。
オレ達は異例のアイアンやブロンズランクからプラチナランクへの昇格なので何が始まるのかさっぱりわかっていなかった。
「そういう事ですか。気にしていませんので、これから何が始まるのか教えてもらえますか?」
オレがそう言うとワーグナーさんは、わかりました と試験の説明をはじめてくれる。
「まず最初に魔力量を計測させて頂きます。これについては瞬間的なものと持続的なものと2種類の計測をいたします」
「それはどうやって測るんでござるか?」
「これについては簡単です。ギルドにて計測用の魔道具を用意しております。ただ、これは水準に達しているかを測定する魔導具なので上限まではわかりません。ですので、もし仮にこの情報が洩れても実害の無いように配慮しております」
(なるほど。どのみちプラチナランクとわかった時点で魔力量が高いのはわかっているから心配する必要もなさそうだな)
「ですので、この最初の試験は即結果がでます。まぁプラチナランクに推薦される方でここで引っかかることはまずないと思います」
そう言って何気にプレッシャーをかけてくるワーグナーさん。
「そして第二に、今から当ギルドの選抜した冒険者と模擬戦を行っていただきます。これについてはギルド魔法によって大幅に強化された相手との戦いとなりますので油断しないようにお願いします」
知識によると、ギルド魔法というのは冒険者ギルドにのみ受け継がれている集団で行使する魔法で、何人もの魔力を束ねて通常では使用できないような効力を発揮する魔法を発現させるものらしい。
ただ、通常は個々で魔力を纏って戦った方が戦力としては上回るので、戦争などではあまり実用的ではないらしい。
そしてオレがその説明を聞いて模擬戦でも怪我してしまわないかと少し心配になっていると、
「あの……模擬戦は良いのですが、怪我とか大丈夫なのでしょうか……?」
とリリルが同じような事を考えていたようで心配そうにそう確認する。
すると、ワーグナーさんは
「大丈夫ですよ。こちらの選抜メンバーの技量は高いですし、ギルド魔法で行う強化は防御力も桁違いに上昇させますので」
と自信満々にこたえる。
(ここまで自信満々なんだ。きっと大丈夫だろう……大丈夫だよね……?)
そして最後に
「そして第三に、プラチナランクに挑まれる方は皆様固有能力をお持ちだと思いますので、それを確認させて頂きます。これについては闇属性魔法の使い手に修練場を囲ってもらいます。職員も上役のものだけで確認して、厳重に秘匿させて頂きますのでご安心ください」
そして 何か質問はございますか?と締めくくる。
「オレたち3人はいいんですが、パズとキントキ……従魔達も同じ内容で受けるんですか?」
オレは修練場に移動中にシルバーランク以上は従魔もランク分けされると聞いたので質問してみる。
「はい。こちらは必須ではないですが、ランクの取得に成功すれば従魔も1パーティーメンバーとして扱われるようになりますので、報酬などをランクに応じて別途請求できるようになりますぞ」
「おぉ!キントキも絶対受けるでござる!」
(従魔を一人分として報酬をもらえるならお得だな。もちろんパズも受けさせよう)
「畏まりました。それでは質問もないようですので、これよりプラチナランクの試験を開始させて頂きます!」
こうしてオレ達の昇格試験は開始されるのだった。
そこには大勢のギルド職員とギルドから依頼された多くの冒険者たちが修練場を囲むように配置され、何やら複雑な文様が刻まれた長いロープを握りしめていた。
「さぁ、これでほぼ準備は整いましたぞ。『暁の刻』の方々も準備はよろしいですかな?」
と、ワーグナーさんが聞いてくる。
「えっと?準備と言われてもオレ達は何の準備をすれば良いんですか?」
オレはこれから始まる試験がどういったものかも知らないのに、準備が良いかと言われても何の準備かわからないと伝える。
すると、ワーグナーさんは、
「あぁ!申し訳ありません。普通はゴールドランクの試験時にプラチナランクの試験内容も説明を受けるのです。すっかり忘れておりました……」
と言って頭をさげてきた。
オレ達は異例のアイアンやブロンズランクからプラチナランクへの昇格なので何が始まるのかさっぱりわかっていなかった。
「そういう事ですか。気にしていませんので、これから何が始まるのか教えてもらえますか?」
オレがそう言うとワーグナーさんは、わかりました と試験の説明をはじめてくれる。
「まず最初に魔力量を計測させて頂きます。これについては瞬間的なものと持続的なものと2種類の計測をいたします」
「それはどうやって測るんでござるか?」
「これについては簡単です。ギルドにて計測用の魔道具を用意しております。ただ、これは水準に達しているかを測定する魔導具なので上限まではわかりません。ですので、もし仮にこの情報が洩れても実害の無いように配慮しております」
(なるほど。どのみちプラチナランクとわかった時点で魔力量が高いのはわかっているから心配する必要もなさそうだな)
「ですので、この最初の試験は即結果がでます。まぁプラチナランクに推薦される方でここで引っかかることはまずないと思います」
そう言って何気にプレッシャーをかけてくるワーグナーさん。
「そして第二に、今から当ギルドの選抜した冒険者と模擬戦を行っていただきます。これについてはギルド魔法によって大幅に強化された相手との戦いとなりますので油断しないようにお願いします」
知識によると、ギルド魔法というのは冒険者ギルドにのみ受け継がれている集団で行使する魔法で、何人もの魔力を束ねて通常では使用できないような効力を発揮する魔法を発現させるものらしい。
ただ、通常は個々で魔力を纏って戦った方が戦力としては上回るので、戦争などではあまり実用的ではないらしい。
そしてオレがその説明を聞いて模擬戦でも怪我してしまわないかと少し心配になっていると、
「あの……模擬戦は良いのですが、怪我とか大丈夫なのでしょうか……?」
とリリルが同じような事を考えていたようで心配そうにそう確認する。
すると、ワーグナーさんは
「大丈夫ですよ。こちらの選抜メンバーの技量は高いですし、ギルド魔法で行う強化は防御力も桁違いに上昇させますので」
と自信満々にこたえる。
(ここまで自信満々なんだ。きっと大丈夫だろう……大丈夫だよね……?)
そして最後に
「そして第三に、プラチナランクに挑まれる方は皆様固有能力をお持ちだと思いますので、それを確認させて頂きます。これについては闇属性魔法の使い手に修練場を囲ってもらいます。職員も上役のものだけで確認して、厳重に秘匿させて頂きますのでご安心ください」
そして 何か質問はございますか?と締めくくる。
「オレたち3人はいいんですが、パズとキントキ……従魔達も同じ内容で受けるんですか?」
オレは修練場に移動中にシルバーランク以上は従魔もランク分けされると聞いたので質問してみる。
「はい。こちらは必須ではないですが、ランクの取得に成功すれば従魔も1パーティーメンバーとして扱われるようになりますので、報酬などをランクに応じて別途請求できるようになりますぞ」
「おぉ!キントキも絶対受けるでござる!」
(従魔を一人分として報酬をもらえるならお得だな。もちろんパズも受けさせよう)
「畏まりました。それでは質問もないようですので、これよりプラチナランクの試験を開始させて頂きます!」
こうしてオレ達の昇格試験は開始されるのだった。
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