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第一章
第38話:テステステス
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その項目は通用ゲートの設置というもの。
この浅井ダンジョンではない。
軽トラダンジョンの方の設定項目だ。
これを使えば最悪、異邦人を倒さなくても軽トラダンジョンを経由して外に出られるのではないか?
オレはダンジョンを報告しなかった罪で罰せられるかもしれない。
ゲート付近にいた探索者を見捨てることになるかもしれない。
でも……ここにいるみんなの命が救えるのなら!
そう覚悟を決めようとしたのだが、しかしその想いは無駄になってしまった。
通用ゲートを使えるのはオレだけだった……。
一瞬オレ一人なら……と頭に浮かび、自己嫌悪に陥る。
きっとみんなにこの能力のことを話せば、オレだけでも逃げろと言う気がする。
でも、それは絶対に嫌だ。
探索者たるもの、不測の事態に陥った時に一人でも助かるのならば、助けを呼ぶために、情報を持ち帰るために逃げろと習う。そうだが……そんなの知ったことか!
一時的になら、オレの作業部屋を使って皆を部屋に避難させることは出来るだろう。
だけど、あれは出口が固定されてしまう。
延命処置にしかならない。
それでも最悪追い詰められれば使うつもりではいるし、異邦人を倒せるのなら躊躇なく使うが、今のところこの状況を打破出来るような案は思いついていない。
なにか、なにかないのか……。
ん……そうだ。さっき考えてたじゃないか。
通用ゲートを通れるのは確かにオレだけかもしれない。
でも、もし通用門で無理やりダンジョンブレイクが起こせるのならば……魔物の数で押しつぶせるんじゃないか?
奴はとんでもなく強いのだろう。
実力はAランクにも届くという百花をも圧倒してみせたのだ。
まともにやっても勝てないのはわかっている。
でも奴は一人だ。
それに椿さんの矢を無視するのではなくシールドで防いでいる。
つまり攻撃を喰らえば傷つくはずだ! ……傷つくといいな。
と、とにかく、少数で戦っても勝てる見込みは薄い。
それならば物量で押してやる。
タスク2の方に制限時間はない。
タスク1にだけ制限時間が設けられていたということは、おそらくダンジョンが侵食される直接の原因は混沌石だったはずだ。
リソースなら何故か最近とんでもなく貯まっているんだ。
時間をたっぷり掛けていいのなら、勝てる見込みがあるだろう。
異邦人くんさ~。悪いけど、これから何時間か予定を空けておいてくれ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
オレは考えを纏めると、すぐに各種準備を行い、分析スキルを解除した。
止まっていた周囲の様子が一気に動き出す。
一瞬強烈な目眩に襲われるが、ここで倒れるわけにはいかない。
分析スキルを使った副作用的なものだろうか。
気にはなるが、今は考察は後だ。
出来るだけ素早く考えた作戦を皆に伝え、行動に移さなければいけない。
ただ、忌々しいことに異邦人は言葉を理解している様子だった。
大声をあげて伝えるわけにはいかない。
では、どうすればいいか?
レベル20で使えるようになったこれを使うことにした。
≪テステステス。霧島です。只今、個別メッセージのテスト中≫
「「「え? は? き、霧島さん!?」」」
「ぶふっ!?」
やべ。椿さんがポーション吹き出してしまった……。
隣では森羅さんが大きく口を開けて固まっている。
美少女がそんな顔しちゃ駄目だぞ? オレが悪いのはわかってるから言わないけど。
≪えっと、驚かせてしまってすみません。異邦人が言葉を理解しているようなので、この方法で伝えます。そのまま聞いて下さい≫
みんな経験豊富な探索者だけあって、すぐに何事もなかったかのように装ってくれた。
隣にいる森羅さんはまだちょっと挙動不審だけど、新人探索者だから仕方ない。
まぁここは異邦人から離れているから大丈夫だろう。
≪状況が切迫しているので一気に話します。みんなの声は聞こえないですが、小さな声でいいので声に出して話してくれれば、ある方法で読むことが出来ます。最後に質問や修正点があれば纏めて受け付けますので、まずは私の練った作戦を聞いて下さい≫
最初は森羅さんも使えるという通話ができる式神を飛ばしてもらおうかと思ったのだが、異邦人に盗み聞きされる危険があるためやめにした。
そこで活きてくるのが臨時管理者権限によるダンジョンログへのアクセスだ。
さっきたまたま思考加速中に気付いたのだが、ダンジョンログの中にみんなが話した内容が記載されていたのだ。だから、既にもう百花と森羅さんの会話ログが抽出されて第三の視界に表示されてあったりする。
≪さっき周囲のゴブリンを倒していたらレベル20になったのですが、その時にいくつかスキルを覚えたんです。その中に起死回生の一手に繋がるかもしれないものがあったので……≫
そこから要点を掻い摘んで、出来るだけシンプルにやることを一気に説明した。
「(こんな小さな声で聞こえるのかな? 今はもう時間がありませんし、打つ手ももうありません。百花は……霧島さんに賭けます! 失敗しても恨んだりしませんので、思いっきりやっちゃってください!)」
≪ありがとうございます! では、さっそく行動を開始します! 異邦人に「ばたんきゅ~」って言わせてやりましょう!≫
「(え? ばたんきゅー?)」
ついテンション上がって昔好きだったゲームの負け台詞を使ってしまった……。
通じなくてちょっと恥ずかしかったが、とにかくこれで了承は得られた!
≪それでは作戦を開始します!!≫
この浅井ダンジョンではない。
軽トラダンジョンの方の設定項目だ。
これを使えば最悪、異邦人を倒さなくても軽トラダンジョンを経由して外に出られるのではないか?
オレはダンジョンを報告しなかった罪で罰せられるかもしれない。
ゲート付近にいた探索者を見捨てることになるかもしれない。
でも……ここにいるみんなの命が救えるのなら!
そう覚悟を決めようとしたのだが、しかしその想いは無駄になってしまった。
通用ゲートを使えるのはオレだけだった……。
一瞬オレ一人なら……と頭に浮かび、自己嫌悪に陥る。
きっとみんなにこの能力のことを話せば、オレだけでも逃げろと言う気がする。
でも、それは絶対に嫌だ。
探索者たるもの、不測の事態に陥った時に一人でも助かるのならば、助けを呼ぶために、情報を持ち帰るために逃げろと習う。そうだが……そんなの知ったことか!
一時的になら、オレの作業部屋を使って皆を部屋に避難させることは出来るだろう。
だけど、あれは出口が固定されてしまう。
延命処置にしかならない。
それでも最悪追い詰められれば使うつもりではいるし、異邦人を倒せるのなら躊躇なく使うが、今のところこの状況を打破出来るような案は思いついていない。
なにか、なにかないのか……。
ん……そうだ。さっき考えてたじゃないか。
通用ゲートを通れるのは確かにオレだけかもしれない。
でも、もし通用門で無理やりダンジョンブレイクが起こせるのならば……魔物の数で押しつぶせるんじゃないか?
奴はとんでもなく強いのだろう。
実力はAランクにも届くという百花をも圧倒してみせたのだ。
まともにやっても勝てないのはわかっている。
でも奴は一人だ。
それに椿さんの矢を無視するのではなくシールドで防いでいる。
つまり攻撃を喰らえば傷つくはずだ! ……傷つくといいな。
と、とにかく、少数で戦っても勝てる見込みは薄い。
それならば物量で押してやる。
タスク2の方に制限時間はない。
タスク1にだけ制限時間が設けられていたということは、おそらくダンジョンが侵食される直接の原因は混沌石だったはずだ。
リソースなら何故か最近とんでもなく貯まっているんだ。
時間をたっぷり掛けていいのなら、勝てる見込みがあるだろう。
異邦人くんさ~。悪いけど、これから何時間か予定を空けておいてくれ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
オレは考えを纏めると、すぐに各種準備を行い、分析スキルを解除した。
止まっていた周囲の様子が一気に動き出す。
一瞬強烈な目眩に襲われるが、ここで倒れるわけにはいかない。
分析スキルを使った副作用的なものだろうか。
気にはなるが、今は考察は後だ。
出来るだけ素早く考えた作戦を皆に伝え、行動に移さなければいけない。
ただ、忌々しいことに異邦人は言葉を理解している様子だった。
大声をあげて伝えるわけにはいかない。
では、どうすればいいか?
レベル20で使えるようになったこれを使うことにした。
≪テステステス。霧島です。只今、個別メッセージのテスト中≫
「「「え? は? き、霧島さん!?」」」
「ぶふっ!?」
やべ。椿さんがポーション吹き出してしまった……。
隣では森羅さんが大きく口を開けて固まっている。
美少女がそんな顔しちゃ駄目だぞ? オレが悪いのはわかってるから言わないけど。
≪えっと、驚かせてしまってすみません。異邦人が言葉を理解しているようなので、この方法で伝えます。そのまま聞いて下さい≫
みんな経験豊富な探索者だけあって、すぐに何事もなかったかのように装ってくれた。
隣にいる森羅さんはまだちょっと挙動不審だけど、新人探索者だから仕方ない。
まぁここは異邦人から離れているから大丈夫だろう。
≪状況が切迫しているので一気に話します。みんなの声は聞こえないですが、小さな声でいいので声に出して話してくれれば、ある方法で読むことが出来ます。最後に質問や修正点があれば纏めて受け付けますので、まずは私の練った作戦を聞いて下さい≫
最初は森羅さんも使えるという通話ができる式神を飛ばしてもらおうかと思ったのだが、異邦人に盗み聞きされる危険があるためやめにした。
そこで活きてくるのが臨時管理者権限によるダンジョンログへのアクセスだ。
さっきたまたま思考加速中に気付いたのだが、ダンジョンログの中にみんなが話した内容が記載されていたのだ。だから、既にもう百花と森羅さんの会話ログが抽出されて第三の視界に表示されてあったりする。
≪さっき周囲のゴブリンを倒していたらレベル20になったのですが、その時にいくつかスキルを覚えたんです。その中に起死回生の一手に繋がるかもしれないものがあったので……≫
そこから要点を掻い摘んで、出来るだけシンプルにやることを一気に説明した。
「(こんな小さな声で聞こえるのかな? 今はもう時間がありませんし、打つ手ももうありません。百花は……霧島さんに賭けます! 失敗しても恨んだりしませんので、思いっきりやっちゃってください!)」
≪ありがとうございます! では、さっそく行動を開始します! 異邦人に「ばたんきゅ~」って言わせてやりましょう!≫
「(え? ばたんきゅー?)」
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通じなくてちょっと恥ずかしかったが、とにかくこれで了承は得られた!
≪それでは作戦を開始します!!≫
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