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第一章 前半
第32話:面白い
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◆◇◆◇ 技巧のアモン視点 ◆◇◆◇
驚くほど強い人間と出会い、久しぶりにワクワクした戦闘を楽しんだ所だったのですが……そんな浮ついた気持ちは吹き飛んでしまいました。
ワタクシが魔王さまの魔獣ゲルロスを連れ、待機させていた第六魔王軍と合流して三〇分ほど経った頃でしょうか。
ソレは現れました。
絶望を連れて……。
「ワタクシはいったい何ヲ見させラレているノデスか……」
突然現れたのは今まで見たこともないような巨大な漆黒のドラゴン。
ドラゴンは分類上は魔物とは違い魔王軍にも属していない。
そのため、過去には軍を率いて戦ったこともあるのですが、その時のドラゴンが子供に見えるサイズです。
そして、そのドラゴンは大きさだけではなく通常種とは明らかに違っていました。
最上位の知恵持つドラゴンだったようで私に話しかけてきたのです。
≪アモンだったか? おぬしに恨みはないが、我が主と敵対したことを悔やむが良い≫
「ナ、なぜ私の名ヲ知ってイる!?」
突然名前を呼ばれたことに驚いていると、突然天変地異でも起こるのかと思うほどの爆発的な魔力の高まりを感じました。
呑気に話している場合ではありません!
「グヌヌヌ……コ、こんな桁外れナ、デタラメな魔力ガあってたまルものデスカ!!」
しかし現実に目を背けようと、そのバカげた魔力は目の前に確かに存在しました。
無駄だと思いつつも自分の周りに全魔力を注いで防御呪術を展開したその時、そのドラゴンが一言呟きました。
≪塵と化せ『煉獄の裁き』≫
その直後、視界は漆黒の光に包まれた。
どうやらドラゴンブレスを放ったようですが、こんな威力のドラゴンブレスは見たことはもちろん聞いたことすらありません。
その黒き炎の禍々しさは、魔王様の上級呪術をはるかに凌ぐものでした。
漆黒の炎は、オーガもオークもリザードマンも、すべてを分け隔てなく黒き炎で包み込み塵一つ残さず焼き尽くしてしまいます。
ダメ元で張った防御呪術でしたが、余波を受け切ってくれただけでも良しとしなければなりません。
ワタクシの第六魔王軍五万は、その一撃だけで七割ほどが消し飛んでしまったのですから……。
「ナ、ナんだコレは、一体何が起こっテイル……? 夢デモ見テいるのデスカ……」
ワタクシが呆然としていると、今度は無数の魔法陣が現れる。
「ま、マダ何かアルのデスカ……い、イッタイ今度は何ガ始まるト言うのデス……」
暫くすると、今度はその魔法陣から次々と身の丈三メートルに迫る巨大なキングスケルトンが現れるではないですか。
いや、キングスケルトンではない? より強力な、はるかに強い魔物のようです……。
ワタクシの本能があの魔物一体だけでも危険だと訴えかけてきます。
ワタクシは魔剣『クトリ』と『ケトリ』を引き抜き、邪の盾『ゲトナ』と『デケナ』を装備すると、一気にキングスケルトンもどきに斬りかかったのですが……。
「な!? ナんて反応速度デスカ!?」
後ろから切りかかったにも関わらず、そのキングスケルトンもどきは私の本気の一撃を手に持つ大盾で受け止めたのです。
「クッ……こ、こんナばかナ……」
しかも、何度か斬り結んでわかりましたが、力だけではなく技も私に迫るものを持っているではないですか!?
「こんなノガ一〇〇〇匹デスカ……ど、ドウやらサッサト逃げた方ガ賢そうデスネ」
魔力探知を使って数えると、反応はちょうど一〇〇〇あるとわかりました……。
こんなもの、戦っても殺される未来しかありません。
魔王さまはとても恐ろしい方ですが、正直ワタクシはこの邪悪な漆黒のドラゴンの方がずっと恐ろしい……。
しかもワタクシがありったけの魔力を込めた呪具で何とか閉じ込める事に成功した神獣『セツナ』の呪縛を、今度はどこからか現れた一匹の黄金竜があっさり壊していったではないですか。
ワタクシの見間違いでなければ、あれは金色の竜王『セイドリック』ではないでしょうか……。
ワタクシは幻でも見ているのでしょうか……?
竜の中の王。
竜種の頂点と言われている黄金竜セイドリックが……顎で使われている……?
「ア……魔王サマの魔獣ゲルロスガ……」
ワタクシが呆気にとられている間に、魔獣ゲルロスがその金色の竜のブレスで消し炭にされていました。
「イッタイなにが起こってイるのダ……」
何度目かわからない呟き。
ワタクシはもう何もかも終わったと絶望に暮れながらも、この原因を作った漆黒の竜を呆然と見つめ……呆然と……あ、アレ? どこですか……?
これだけのことを行った当の邪竜がさっさと飛び去ってもういないとはどういうことですか!?
ちょっと頭おかしいんじゃないですか!?
あ……す、すこし取り乱してしまいました。
「モウどうにデモなってクダサイ……しカし、も、もしかシテ主と言うのはサッキの人間のコトじゃナイデショウネ……」
ワタクシはうすら寒いものを感じ……さっきのドラゴンと敵対するぐらいならと魔王さまを裏切り逃亡することに決めました。
「さて……魔王さまカラも裏切者とシテ追手がカカるでしょウが……なんだか楽しいことにナッテきましタネ」
ワタクシはこれから起こるであろう、あの者達の巻き起こす騒動を思い浮かべ……。
「これだからコノ世界は面白いのデス」
と一人呟き、しばらく身を隠すことに決めたのでした。
驚くほど強い人間と出会い、久しぶりにワクワクした戦闘を楽しんだ所だったのですが……そんな浮ついた気持ちは吹き飛んでしまいました。
ワタクシが魔王さまの魔獣ゲルロスを連れ、待機させていた第六魔王軍と合流して三〇分ほど経った頃でしょうか。
ソレは現れました。
絶望を連れて……。
「ワタクシはいったい何ヲ見させラレているノデスか……」
突然現れたのは今まで見たこともないような巨大な漆黒のドラゴン。
ドラゴンは分類上は魔物とは違い魔王軍にも属していない。
そのため、過去には軍を率いて戦ったこともあるのですが、その時のドラゴンが子供に見えるサイズです。
そして、そのドラゴンは大きさだけではなく通常種とは明らかに違っていました。
最上位の知恵持つドラゴンだったようで私に話しかけてきたのです。
≪アモンだったか? おぬしに恨みはないが、我が主と敵対したことを悔やむが良い≫
「ナ、なぜ私の名ヲ知ってイる!?」
突然名前を呼ばれたことに驚いていると、突然天変地異でも起こるのかと思うほどの爆発的な魔力の高まりを感じました。
呑気に話している場合ではありません!
「グヌヌヌ……コ、こんな桁外れナ、デタラメな魔力ガあってたまルものデスカ!!」
しかし現実に目を背けようと、そのバカげた魔力は目の前に確かに存在しました。
無駄だと思いつつも自分の周りに全魔力を注いで防御呪術を展開したその時、そのドラゴンが一言呟きました。
≪塵と化せ『煉獄の裁き』≫
その直後、視界は漆黒の光に包まれた。
どうやらドラゴンブレスを放ったようですが、こんな威力のドラゴンブレスは見たことはもちろん聞いたことすらありません。
その黒き炎の禍々しさは、魔王様の上級呪術をはるかに凌ぐものでした。
漆黒の炎は、オーガもオークもリザードマンも、すべてを分け隔てなく黒き炎で包み込み塵一つ残さず焼き尽くしてしまいます。
ダメ元で張った防御呪術でしたが、余波を受け切ってくれただけでも良しとしなければなりません。
ワタクシの第六魔王軍五万は、その一撃だけで七割ほどが消し飛んでしまったのですから……。
「ナ、ナんだコレは、一体何が起こっテイル……? 夢デモ見テいるのデスカ……」
ワタクシが呆然としていると、今度は無数の魔法陣が現れる。
「ま、マダ何かアルのデスカ……い、イッタイ今度は何ガ始まるト言うのデス……」
暫くすると、今度はその魔法陣から次々と身の丈三メートルに迫る巨大なキングスケルトンが現れるではないですか。
いや、キングスケルトンではない? より強力な、はるかに強い魔物のようです……。
ワタクシの本能があの魔物一体だけでも危険だと訴えかけてきます。
ワタクシは魔剣『クトリ』と『ケトリ』を引き抜き、邪の盾『ゲトナ』と『デケナ』を装備すると、一気にキングスケルトンもどきに斬りかかったのですが……。
「な!? ナんて反応速度デスカ!?」
後ろから切りかかったにも関わらず、そのキングスケルトンもどきは私の本気の一撃を手に持つ大盾で受け止めたのです。
「クッ……こ、こんナばかナ……」
しかも、何度か斬り結んでわかりましたが、力だけではなく技も私に迫るものを持っているではないですか!?
「こんなノガ一〇〇〇匹デスカ……ど、ドウやらサッサト逃げた方ガ賢そうデスネ」
魔力探知を使って数えると、反応はちょうど一〇〇〇あるとわかりました……。
こんなもの、戦っても殺される未来しかありません。
魔王さまはとても恐ろしい方ですが、正直ワタクシはこの邪悪な漆黒のドラゴンの方がずっと恐ろしい……。
しかもワタクシがありったけの魔力を込めた呪具で何とか閉じ込める事に成功した神獣『セツナ』の呪縛を、今度はどこからか現れた一匹の黄金竜があっさり壊していったではないですか。
ワタクシの見間違いでなければ、あれは金色の竜王『セイドリック』ではないでしょうか……。
ワタクシは幻でも見ているのでしょうか……?
竜の中の王。
竜種の頂点と言われている黄金竜セイドリックが……顎で使われている……?
「ア……魔王サマの魔獣ゲルロスガ……」
ワタクシが呆気にとられている間に、魔獣ゲルロスがその金色の竜のブレスで消し炭にされていました。
「イッタイなにが起こってイるのダ……」
何度目かわからない呟き。
ワタクシはもう何もかも終わったと絶望に暮れながらも、この原因を作った漆黒の竜を呆然と見つめ……呆然と……あ、アレ? どこですか……?
これだけのことを行った当の邪竜がさっさと飛び去ってもういないとはどういうことですか!?
ちょっと頭おかしいんじゃないですか!?
あ……す、すこし取り乱してしまいました。
「モウどうにデモなってクダサイ……しカし、も、もしかシテ主と言うのはサッキの人間のコトじゃナイデショウネ……」
ワタクシはうすら寒いものを感じ……さっきのドラゴンと敵対するぐらいならと魔王さまを裏切り逃亡することに決めました。
「さて……魔王さまカラも裏切者とシテ追手がカカるでしょウが……なんだか楽しいことにナッテきましタネ」
ワタクシはこれから起こるであろう、あの者達の巻き起こす騒動を思い浮かべ……。
「これだからコノ世界は面白いのデス」
と一人呟き、しばらく身を隠すことに決めたのでした。
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今までありがとうございました!
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
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