【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

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第一章 中盤

第39話:誰かのオススメ

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 ちょっと嫌な感じの奴に会ってしまったが、気分を切り替えて大ホールへと向かう。
 しかし、その途中のとある大きな魔道具・・・・・・・・・がみんなの興味を一番ひいた。

「うわぁ! この魔道具は面白いですね!」

「「すす、すごいけど、リルラ揺らさないで! ……にゃ」」

 リルラが喜んで飛び跳ねるものだから揺れてリリーとルルーがちょっと怖がっているのが可愛い。

「しかし面白い魔道具ですね~」

 まぁオレはそこまで驚いていないのだが、それは似たようなものに乗ったこと・・・・があるからだ。前世だけどね。

「これは昇降魔道具というものですわ。一〇日一回程度は魔力を充填しないといけないのですけど、とても便利でしょ?」

 そう。これは仕組みこそまったく違うだろうが、用途はまんまエレベーター・・・・・・なのだ。
 乗り込む台座は一〇人ほどは乗れる広さがあり、手すりのようなものを除けばむき出しだ。その台座がパイプのようなものの中をゆっくりとあがっていく。

 ビアンカは自身の通う学院の設備が褒められたのが嬉しいのか、ちょっと嬉しそうに説明している。

「でも……どうして自分で飛ばないのでしょうか?」

 首をコテんとした仕草は可愛いのだが、ナチュラルに常識の無さを披露しているリルラ。
 へ~リルラって飛べるんだ……。
 でも、話を掘り下げるときっと実演しようとするから聞かないけどね。

 とか思ってたらビアンカさんが質問してしまった。

「へ? 自分で飛ぶってどういうことですの?」

「そのままですよ? 見せた方が早いですね。こうやって……」

「ちょっと待てぇぃ!?」

「ふきゃ!?」

 やらかしそうになっているリルラの頭を強引に上から抑え込み、そのまま髪をわしゃわしゃする。

 この世界で人が空を飛ぶ魔法は失われた魔法だ。
 こんな研究施設が併設しているような場所で迂闊にそんな魔法を披露しようものなら大騒ぎになってしまう。

 ちなみにリリーとルルーとオレの三人で、この世界の失われた魔法や魔道具、伝説などについてはかなり勉強した。問題が起きる前にこうして先回りできるようにね……。

「こ、コウガ様! な、なんですか!? ちょ、ちょっとやめてくさいぃ!?」

 リルラの頭をわしゃわしゃしていると、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにジタバタと抵抗をはじめるが、とりあえず放置して先にビアンカさんにフォローを入れる。

「み、みんなこの魔道具なしでも自分で空飛べたら便利なのになぁって夢の話です!」

 この大陸で魔法で空を飛んだ魔法使いは、いずれも歴史に名を残す大魔法使いだけだ。
 絶対に研究機関の人たちが放っておかない。

 なんとか阻止できたようで良かった……。

「ん? リリーとルルーはなんで頭をこっちに突き出しているんだ……?」

「「私たちも……いえ、なんでもない……にゃ」」

 なにをしたいんだか……。

「なんだ。夢の話ですの。そんなことが出来たら大陸中に名を轟かすことになりますわね。まぁいいですわ。もう着きますわよ」

 オレたちが身内でわたわたしているのでちょっと不思議そうにしていたが、もう目的の一〇階に着くようだ。

「さぁ、ここが魔法研究の発表などを行う『王立ウィンドア魔法学院』が誇る大ホールですわよ!」

 そう言って自慢げな大きな手振りで紹介した先、扉の向こうには……なぜか無数の魔物が・・・・・・蠢いていた。

「え? ここも魔物の出現場所なのか? それにしては数が……」

 この叡智の塔は、国が支援する魔法学の研究機関やその付属の学院校舎として使われているが、もともとは旧世紀の遺跡だ。
 しかも、活きた迷宮でもあり、施設内であろうと問答無用で魔物が出現する。
 実際に見学中にも魔物が出現する場所を見せてもらいもした。

 普通に考えればそんな魔物が出現するところは危なくて活用できるものではない。
 だが、徹底的に魔物が出現する法則性を研究して解き明かし、出現するであろう場所に先回りして結界魔法を施すことで、無理やり施設として使っているのだ。
 正直、研究者たちの熱意を超えて狂気を感じる。

 だから一瞬ここも出現場所なのかと思ったのだが……。

「えぇ……な、何ですかこれは……何が起こって……」

 ビアンカさんの狼狽えかたを見る限り、やはり想定外なことが起こっているようだ。

≪主よ。さっき見た場所と違って、魔物の周りに結界は存在せぬぞ≫

 人為的、もしくは偶発的な事故か、それともなにかの陰謀か。
 思わずオレが「やっぱりカリンのお薦めは……」と呟いたのは内緒だ……。

「あっ、あなたたちは逃げなさい!!」

 オレが某受付嬢が叡智の塔へは絶対に行くべきと熱弁していた姿を思い出していると、ビアンカさんが驚き怯えつつもオレたちを庇うように一歩前へと踏み出した。
 きっと戦闘とは無縁の生活を送っているだろうにちょっと驚きだ。

 そういうの嫌いじゃない。

 オレはビアンカさんを守るように位置取ると、槍をくるりと回して構えをとった。

「どこかの貴族のお嬢様かと思ったけど、ちょっとカッコいいじゃないですか」

 もちろんオレだけではない。

「ふふふ。ビアンカさん安心して……にゃ」

「ふふふ。こう見えて私たちはC級冒険者……にゃ」

 オレに続いてリリーとルルーも両手に短剣を構え、舞うように前へと躍り出た。

 さて……リルラやジルが攻撃に参加すると事が大きくなるだろうし、ちょっと三人でなんとかしてみるか。
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