【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

文字の大きさ
40 / 107
第一章 中盤

第40話:ストーンゴーレム

しおりを挟む
 昇降魔道具エレベーターから降りたオレたちを待っていたのは、ゴーレム系の無数の魔物だった。
 そのほとんどはストーンゴーレムで、二メートル近い体のほとんどが石で出来ているのでなかなかの迫力だ。それに、こちらに向かってくる歩みを見る限り、その動きは思いのほか機敏に見える。
 ストーンゴーレム以外にも、羽のないガーゴイルのような姿をした巨大な魔物も遠くに見えるし、さらにその奥には大ホールの天井に手が届くのではないかというような石の巨人のような魔物までいる。

「なかなかの数だな」

「コウガ様、コウガ様! 私も参加したいです!」

 ちょっとした遭遇イベント程度にしか思っていなさそうなリルラが嬉しそうに確認してきたので、加減するように念を押してから許可をだした。

「じゃぁまずはオレとリリー、ルルーの三人で切り込むから、抜けてきそうなものとか手が回らなそうなのを頼む。でも加減を忘れないようにな!」

 と言って切り込もうとすると、ビアンカさんが慌てて止めに入った。

「なにを言っているのですか!? ストーン系の魔物には武器がほとんど効かないのを知らないのですか!?」

 まぁ確かに普通の武器だと効き目は薄いし、武器が破損する恐れがあるので前衛泣かせの魔物ではある。だけどオレたちの武器だと話が違ってくる。
 オレの雷槍ヴァジュランダはもちろん、リリーとルルーが使っている短剣でも同じだ。

 それは二人が今使っている短剣が、先の戦いで騙された偽物の秘宝級ではなく、本物の秘宝級の短剣だからだ。

 その名を『鋼の四重奏スチールカルテッド』。
 短剣四本で発動するセット装備だ。
 一定範囲内でこの四つの短剣で攻撃を重ねていくと、数を重ねれば重ねるほど、切れ味が増していくというリリーとルルーのためにあつらえたような効果を持っている。
 先日試し斬りで大きな岩も斬っていたのでストーンゴーレムなんて余裕だろう。

 ちなみに『恒久の転生竜』の装備は、すべて秘宝級の武器や防具に刷新されている。
 ジルがとんでもない量の装備を次元収納に溜め込んでいたので、それをすこし放出した。
 本当は伝説級のものを使おうとしたのだが、そんなのを持っているのがバレたら余計に命を狙われて危ないということになり、妥協して秘宝級のものを渡してある。

 武器のランクは下級、中級、上級、最上級、秘宝級、遺物級、伝説級、神話級と分けられているのだが、遺物級以上は国宝レベルだということなので、個人で所有されている最高ランクの秘宝級を渡す形になった。

 ただオレの槍は……やっぱり強い武器って浪漫があるからな。槍だけは偽装魔法をかけてもらって神話級の雷槍ヴァジュランダを使い続けることにした。
 オレの場合はだいたいジルと一緒にいるから問題ないだろう。

「知っていますよ。でも武器がいいので大丈夫です。じゃぁ、ちょっと片付けてくるのでビアンカさんはここで待っていてください」

 ビアンカさんにそう言い残し、オレはゴーレムの群れへと駆け出した。

「ま、待ってください! ちょっと武器がいいからってゴーレム相手に攻撃が通るわけが……へ?」

 ゴーレムたちを槍の間合いにとらえて横薙ぎの払いを一閃。
 上下二つに斬り裂かれたストーンゴーレムたちがバラバラと崩れ去った。

 よし。やはりまったく問題ないな。
 どんどん倒していこう。

黒闇穿天こくあんせんてん流槍術りゅうそうじゅつ、【閃光せんこう】!」

 ガガガガガガガガガガガガガガガッ!

 ステータスの上がったオレの【閃光せんこう】は、一息で一五の突きを繰り出せるようになった。数体のストーンゴーレムを一瞬で粉微塵に砕くと、次は【雲海うんかい】を繰り出してゴーレムの群れに突っ込み、当たる側から粉砕していく。

「な、なんなのですの!? 彼はいったい! ……え!? 双子の女の子も短剣でゴーレムを倒していますわ!?」

 リリーとルルーの武器はもちろん短剣だ。ゴーレムを倒すには一番不向きと言っていいような武器で次々とゴーレムを仕留めていく姿に驚愕している。

「えっえっ? あ、ありえないですわ……この人たちはいったい……」

 ストーンゴーレムを短剣で倒すだけでも普通はありえないのに、次々とスパスパ斬り裂いていく姿に二度見して驚くビアンカさん。

 しかし、オレたちがゴーレムの群れを圧倒しているのをみて最初こそ呆然としていたが、我に返ると慌てて呪文の詠唱を始めだした。

「私も負けていられませんわ!」

 責任感が強いのだろう。腰にさげていた短めの杖を掲げると、魔力を高めて魔法を詠唱し始めた。

≪野に眠りし万物の源『水』よ≫
≪仮初の奇跡を以って『槍』と成し、我に仇名す敵を穿うがて!≫

 ビアンカの朗々と読み上げる詠唱により、短杖の前に三つの魔法陣が現れる。

≪『けがれなき槍』!≫

 その魔法は水の槍を放って敵を貫く攻撃魔法だった。
 水しぶきをあげ回転しながら飛ぶ三つの『水槍』は、横から回り込もうとしていた一体のストーンゴーレムに全弾命中して吹き飛ばした。

「やったわ!」

 しかし残念ながら、倒れたストーンゴーレムは何事もなかったかのように起き上がってしまう。
 ビアンカの魔法が弱いわけでない。
 それこそ短剣じゃないが、ストーンゴーレムに水属性魔法はあまり効果的とは言えないのだ。

「うそ……」

 特にゴーレム系の魔物は、中途半端に壊しても一定時間で自己修復してしまう。
 ビアンカの魔法によって欠けていた肩やひびの入っていた胴体も既に直りかけていた。

 戦力的には問題ないがちょっと不味いかな。
 近寄ってくる複数のストーンゴーレムにビアンカが恐怖で固まってしまっている。

 オレはとりあえずビアンカに接近していたストーンゴーレム二体に【雷鳴らいめい】を放って破壊すると、放心状態のビアンカに安心させるように声をかけた。

「ビアンカさん大丈夫だ! うちの最大戦力・・・・の二人が側にいるから安心して!」

 オレは近くで静観しているリルラちびっこジルちび竜に溜息をつく。
 いくらオレ達が危険に陥らない限り極力手を出すなと常々言っているとはいえ、もうすこしだけ融通が利かないだろうか……。

「とりあえず数が多くて面倒だからリルラも参戦だ! 手加減忘れないように!」

「はい! やっと私の出番ですね! 任せて下さい!」

 さっきからずっとうずうずしていたのはわかっていた。
 でも、嬉しそうなリルラを見ると……ちょっと不安だ。

「あとジル! ビアンカも仲間だから敵が近寄ったら適当に撫でてやってくれ!」

≪承知した。ビアンカも仲間として守ろう≫

 うちの二大戦力に参戦してもらったので、もう時間の問題だろう。
 後はやり過ぎてしまわないようにだけ注意しなければ……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...