【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

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第一章 中盤

第65話:こういうパターン?

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 オレたちは固まっているナギさんをその場に残し、受付嬢に案内されて五階奥にある部屋の前に案内された。

 しかしその部屋の扉の前には何か魔力的な結界があるようで、ジルが指向性のある魔法音声でオレに注意を促してきた。

≪主よ。その扉を超えた先に強力な結界が張られておる。恐らく隠蔽系の我の魔法があばかれてしまうがどうする? 我が建屋ごと結界を壊してしま……≫

「はいはい。壊さなくていいから」

 最近マスターしつつある小声で怒鳴るという器用な技を使ってジルを止める。

「もうどうせギルドの上層部にはある程度の情報が共有されてるはずだから、そのまま入っても構わないよ」

 ジルのちいさくなる魔法が解かれると困るが、隠蔽魔法とかれるぐらいなら別に問題ないだろう。

≪そうか。それでは結界が壊れぬように解除しておこう≫

「解除? それは隠蔽魔法を?」

 隠蔽魔法を先に解除するということかな?
 しかし何かその言葉が引っかかったので一応確認しておく。

≪うむ。我の周りには無意識化で反撃魔法結界が張られているので、意識的に解除しておくということだ≫

 あ、危ねぇ……まだオレの知らないそんな恐ろしい仕掛けがあったのか……。
 反撃魔法がどういうものかわからないが、すくなくとも冒険者ギルド本部の危機だったはずだ。いや、最悪王都の危機だった可能性まであるな……。

「コウガさん、どうかされましたか? え? す、すごい汗ですが……? 入室しても大丈夫でしょうか?」

 ジルの指向性を持たせた魔法音声はオレにしか聞こえないのだが、オレの声は違う。気付かれないように小声で返してはいるが、周りが静かなこのような場所ではそれでも何か話していることぐらいはバレてしまう。

「あっ、はい。大丈夫ですので」

「わかりました。それでは……」

 問題ないことを確認した受付嬢が、ノックをしてオレたち『恒久の転生竜』が尋ねてきたことを告げる。

「…………………………」

 もう一度、今度は強めにノックする受付嬢。

「……………………………………………………」

 いないのだろうか? なにも反応がない。

「いらっしゃらないのですか?」

 リルラが代表して尋ねると、受付嬢は引き攣った笑いを浮かべ……。

「えぇと……少々お待ちください!!」

 そう言うと、ポケットからおもむろに鍵を取り出して扉を開けて一人で部屋に入ってしまった。

 どうしたのかとオレたちが顔を見合わせていると、中から怒号と、誰かの「ふぎゃっ!?」と言う叫び声が聞こえてきた。

「グランドマスター!! また昼寝してたでしょう!! と言うか、自分の周りに防音結界まで張っているじゃないですか!?」

 叩かれたのだろうか……叩かれたのだろうな……。

 そして静まる部屋の中……。

「お、お待たせしました~! どうぞ中にお入りくださ~い!」

 息をすこし整えながら扉からひょこんと顔をのぞかせた受付嬢が、オレたちを部屋の中に招き入れてくれた。
 とりあえず、ギルドの受付嬢は絶対に敵に回さないでおこうと心に誓った。


 その部屋はかなり広い執務室で、出迎えてくれたギルドマスターの机の上には山のような書類が積み上がっていた。
 来客用と思われるソファーなどもあるのだが、書類はそのソファーの前にあるローテーブルにまで積み上がっており、どう見ても仕事が回りきっていないようだった。

 そんな状況で寝てたのか? それともそんな状況だから寝てたのか?
 どちらかはわからないが、あまり深入りはしないでおこう……。

「おぉ~よく来たな。待っておったぞ……待っておった?」

 グランドギルドマスターはかなり高齢のお爺さんだ。
 そしてこれは……寝ぼけているな。

「んん……それで……誰じゃったかのぅ……?」

 え? 本当にボケてる?
 え? 冒険者ギルドのトップが?

 禿げ上がった白髪の頭に白く長い髭をたくわえており、見た目はまるで仙人のようなのだが威厳がまったく感じられない……。
 グランドギルドマスターがこの人で、この国の冒険者ギルドは大丈夫なのか?
 いくらトリアデン王国が小国だといっても、この国の冒険者ギルドのトップがこれはやばくない?

「ギルドマスター!! さっき『恒久の転生竜』の方たちだと伝えたでしょう!? ちゃんと起きてくださいよ!!」

 この受付嬢も苦労してそうだな……。
 しかも、これだけ受付嬢が頑張っててもギルドマスター爺さんはまだ寝ぼけているようだ。

 そんな馬鹿みたいなやり取りを呆然と眺めていると、扉の辺りから声がかけられた。
 そこには、さっき一階受付前に置き去りにしたナギさんが立っていた。

「ほうら。俺の助けが必要だろ? こうなるんじゃねぇかと思ったんだよ」

「え? 助けるってこういうパターン?……にゃ」

 ルルーのその言葉はオレもまったく同じ思いだった。
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