新米イケメンα騎士が友父の俺で筆下ろしを熱望してくるので困惑しています

あさ田ぱん

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番外編

【ライアン視点】8.初恋は友達のお父さん〜奇跡の共演〜

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 ルイを私に紹介したのは二つ上のアンジュ王子だった。

「私の大事な弟が、今度王立学園に入学するんだ。ライアン、よろしく頼む」
「弟…?」

 そう言って紹介された男、ブルネットの髪にはしばみ色の目をした『ルイ』は、整った顔をしているものの、着ているものは下男のそれで、明らかに王族ではなかった。
 私の疑問を察知したアンジェはルイの肩を抱いて微笑んだ。

「ルイの父親は城の下働きをしているんだ。乳飲子の頃から父親に負ぶわれて城に来ていて、私とは乳母兄妹のようなもの。でもルイは平民だから、ライアン、助けてやってくれ」
「かしこまりました…」
「ルイ、良かったな!ライアンは現国王、お祖父様の娘の子供で、リファー公爵家の次男だ。まあまあ偉いから大船に乗ったつもりで学園に通うんだぞ!」
  アンジュはルイの背中を嬉しそうに叩く。アンジュのお気に入りらしいルイは、少し困ったように微笑んだ。その態度が気になって、アンジュが去ったあとルイにそれとなく理由を尋ねた。

「私の父は一人で私を育てています。城の下働きで、仕事も楽では無いですし、裕福でもありません。ですから学校には行かず、すぐに働いて父を助けたいとアンジュ殿下にも申し上げたのですが、αは王立学校に行くものだとおっしゃって…」
「そうか…」
   αというのは、生まれながらに才能に恵まれた、非常に希少な人種だ。現在αは王族や貴族にしかいないと言われているが、城の下働きの息子が、α…?実は、隠し子かご落胤なのだろうか…。それで、アンジュがあんなに執心なのか?
 それにしても『父を助けたい』なんて、血で血を洗う王族の末端にいる私にはよく分からない感情だった。こんな、優しげな息子に育てる『父親』って、どんな人物なんだろう…?薄ら疑問に思ったのだが、学園入学後は授業や行事に忙殺され、その事は忘れてしまっていた。



 入学後、初めての夏休み初日、同級生数人でルイの家を訪れることになった。そもそも、その前日に自慢したがりの伯爵家の息子が自宅に私たちを招いたのが発端だった。私達を招いた男は、ルイの家にも行ってみたいと言ったのだ。招かれておいて招かない訳にも行かず、ルイは渋々承諾して、翌日俺たちはルイの家を訪れた。多分、伯爵家の息子はルイをバカにするつもりで…、私はそれを阻止する目的で。

 しかし、その目的を打ち砕いたのは思ってもいない人物だった。

「いつも息子がお世話になっています。仲良くしてくれてありがとう!」

 私たちを出迎えた、ルイの『父親』は嬉しそうに微笑んだ。
   自分たちの父親とは余りにも違うその父親に、多分、その場にいた全員が面食らった。

「学校ってどんな勉強するの?楽しい?ルイはみんなについていけてる…?先生に叱られたりしてない?」
「父さん、そんなこと聞くなよ!もう大丈夫だから、向こうに行っていてくれよ!」
  
   ルイは恥ずかしそうに、俺たちに飲み物や茶菓子をだした父親をリビングから追い出そうとした。自分も、親が友人にそんなことを聞いたら少し面倒だなと煩わしく思うだろう。ルイの態度は理解できたものの『何も追い出さなくても…』と言いそうになって、慌てて口をつぐんだ。
 ルイに背中を押された父親は、眉を下げて少し残念そうな顔をした。その寂しそうな表情を見て、我慢できずに口を開いてしまった。

「あの、折角ですからここにいてください…!」

 そう声をかけると、他の同級生も「そうですよ!」といっしょになってルイの父親を引き止めた。

 引き止められたルイの父親は嬉しそうにルイの隣に座った。それはちょうど、俺の向かいの席だった。

 ルイの父親は、ルイと同じブルネットの髪にはしばみ色の目をしているが、ルイとは随分印象が異なる。
 派手な顔の作りはしていないが、白い肌にぽってりした唇が目を引く。頬は太ってはいないのに柔らかそうで、夏の暑さもあって少し赤みがさしていた。  
 テーブルに肘をついていたからか、ブラウスがテーブルと肘に引っ張られて身体に密着した状態になった。薄いブラウスに、汗で張り付いたのか乳首がツンと浮かんでいる。本当に小さくて摘めるかつまめないか、そのくらいのもの…。
 それに気付くと、たちまち身体の中心に熱が集まってきた。

 ーー俺は一体、何を考えてる…?友達の父親に対して、ありえない!
 例えば……昨日訪れた伯爵家で挨拶した父親は、日に焼けた浅黒い肌に皮脂がてらてらと浮いていた。見たことはないがあの父親の乳首ならちょっと黒くてニキビみたいな白い粉が吹いているだろう。だいたい父親ってそういうもので、子供の頃に見た、私の父親の乳首も少し浅黒く、一本毛がつんと生えていた。同じ『つん』でも全然かわいくない『つん』である。
 つまり、父親の乳首が薄ら浮かんでいたとして…興奮なんてするわけがない。むしろ見せないようにするのが男のマナーだと、不快な気持ちで舌打ちするに決まってる!そう思い至ると、少し熱が引いて行った。助かった…!

 
 帰り際、ルイの父親は俺たちに一つずつ小さな袋を手渡した。

「これ、焼き菓子なんだけど…口に合わなかったら捨てていいから」

 菓子を手渡された時、甘い匂いがして眩暈がした。そして視線を上げながら、さっき見た胸の、小さいけど『つん』としたものをもう一度見られるかもしれないと、期待に胸膨らませた。
 しかし、服の上から『つん』としたものはもう見つけられなかった。さっきは肘とテーブルが起こした奇跡の共演だったらしい…。もう一度、あの奇跡に出会いたかった。出来れば触れて感触を確かめて、ついでに口に含んで吸い上げて舐めまわした…………。

 いやちょっと待て…!
 よくわからない妄想で発生した自分の熱を抑えるため、伯爵家の父親の乳首を想像した。そして秒で萎えたところで、ルイの父親にお礼を言う。

「こちらこそ、ルイと仲良くしてくれてありがとう!」

 笑顔でお礼を返され、戸惑った。だって、ありがとう、なんて…。馬鹿にしようと思っていた連中も少し気まずいままお礼をいって、その場を後にした。


「ルイの父親、Ωなんだって」
「え、と言うことは…?」
「母親でもあるってこと」
「そうか…」

   帰り道、同級生の一人がぽつりと漏らした。何だってそんな事知っているんだ?ルイの父親はΩなのに、チョーカーをしていなかった。Ωだということを知られたくなかったのかもしれない。それなのになぜ勘づいて、ルイから聞き出したんだ?
 私はハッとした。ひょっとしてコイツもさっきの奇跡を目撃したんじゃぁないだろうな…!?それで、ルイの父親がΩだと確認してどうするつもりなんだ?チョーカーもしていない無防備なΩがヒートになったところを夜這いしようなどと、企んでいるとか……?!

 許せない…!夜這いなんて…!
 
 許せないと思ったのに、ルイの父親が夜這いされるところを想像すると、たちまち身体が熱を帯びる。

 緊急冷却剤として伯爵家の父親の乳首を思い出したがまだ足りず、自分の父親の乳首まで追加で引っ張り出してようやく事なきを得た。しかし、自宅に戻ってからその妄想を止められなくなってしまい、結局、自分が夜這い犯になって何度もルイの父親と目合ってしまった。
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