新米イケメンα騎士が友父の俺で筆下ろしを熱望してくるので困惑しています

あさ田ぱん

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番外編

【ライアン視点】9.初恋は友達のお父さん〜閨教育〜

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「ライアンお前、今何歳だ?」
「十五です」
「そうか…」

   私の父親であるアディソン・リファー公爵は窓の外を見つめ、何か考え事をした後、私に向き直った。

「すると精通はしているな?」
「はい」
「では夏休みの間に…閨について学べ。教師は手配しておく」
「はい…」

   所謂、『閨教育』を受けろという事らしい。
 私も次男とはいえ、公爵家の子息であり、現国王陛下の孫でもある。念の為、という事だろう。

「経験豊富で、後腐れない美女を選んでやろう」

 教師には未亡人など、後腐れのないかつ経験豊富な婦人が選ばれるということか。後腐れがないなら、男のΩでも閨の教師になる可能性はあるのだろうか…?例えば、ルイの父親のような。

「あくまで教師だ。ライアン、…惚れるなよ?」

 惚れるな、か…。じゃあ、ルイの父親ではだめだ…。

 何故、ダメか。そもそも、私は何故、ルイの父親を思い浮かべていたんだ…?

 また冷静になるために、伯爵家の父親を想像し更に目の前の父親を見つめた。
 父は貴族らしく夏でもウエストコートを着用しており、乳首は浮いていない。

 ーールイの父親に、先日のお礼だといってウエストコートとチョーカーをプレゼントする、というのはどうだろう…?そうすれば、あのような卑猥なものを晒すことはないだろう。プレゼントはあくまでお礼と、卑猥なものを周囲に晒さないためだ。
 でも、チョーカーは青がいい。私の瞳の色…。
 



 その後、プレゼントのことで頭がいっぱいになり、閨教育の事は忘れていたのだが、数日後、夜自室に戻って、否応なしにそのことを思い出した。

「お待ちしておりました」

 待っていたのは、三十手前くらいの豊満な美女だった。挨拶をすませると、テーブルを挟んで向かい合って座る。その美女はテーブルの上に胸を置いて肘をつくと、胸元を強調させ妖艶に微笑んだ。

「オリビアと申します」
「オリビア…」

  ………オリビアは、私の母の名前だ。ちなみに父は母を溺愛している。

 私の父親ではあるが、、アイツ、何考えてる!?自分は愛する妻と同じ名前の女に興奮を覚えたのかもしれないが、息子が母の名に興奮するわけがないだろうが!むしろ萎えすぎて陰嚢がしぼむ!!!!

「オリビア先生…」
「早速、寝台で講義いたしますか…?」

  ないない!同じ名前の女なんて、名前を呼ぶたび母の顔が瞼の裏にちらついてしまう。「最近外国語の成績が下がっていると聞きました。こんな本を読んでいるからではなくて…?」と、こっそり隠しておいたちょっとだけいやらしい本を私の部屋から探し出し叱責し、目を吊り上げる、あの母の顔が…!
 そんな状態で勃つわけがないだろう!私は、いや男は繊細なんだ…っ!

「今日、体調が悪く、大変申し訳ないのですが…」
「まあ、どの辺が…?ひょっとして、ここ…♡?」

 オリビアは俺の股間を弄った。服の前から陰嚢を持ち上げるように刺激するが、びくともしない。

「公爵はこれがお好きなのに…変ね~」

   アイツ…、まさか俺より先にこの女と…?!
 あー、より一層萎えてしまう。どこの世界に父親と女を共有して興奮する男がいるんだ?!ないない、ないないないない!!
 
 彼女はさらに近付いて、大きくて柔らかい胸をすり寄せてきた。その先端は尖っているようで、ドレスの上から形が確認でき、手の甲に当たる。
 ルイの父親とは違い、経産婦らしい大きな乳首だった。それも、俺の萎えに拍車をかけた。

 オリビアは俺の股間が全く立ち上がらない様子に、「本当に具合が良くないんですね…」と困惑したのち、日を改めようと言って帰って行った。



****

 
 その後、私の抗議によって父は反省したらしいのだが…。

「でもよく考えてみろ?愛しい人がその息子と………!それはそれは、とんでもない背徳感で興奮するだろう?!」

 父は鼻息荒く、持論を捲し立てた…。

   ーー最悪だ。とんでもない変態を身近に見つけてしまった…!実の息子に妻を寝取られて興奮するなど…あり得なさすぎるうえ、この父親の血を引いているなんて…!その妻である母には同情を禁じ得ない!




 そうして閨教育がなくなりほっとしたのも束の間、アンジュ王子から宮廷でお茶会を開くから来いとの知らせが届いた。

   王子からの招待を断るわけにもいかず、少し早めに会場へ行くと、広間ではまだ下男たちが数人、椅子を動かしたり花を飾ったり準備をしていた。その中に、ルイの父親を見つけて、自然と足がそちらへ向く。

 ルイの父親は椅子に乗って花を生けていた。白い肌に、花が映える…。
「あの、ルイのお父上…」
   そう言えばずっと、名前を聞いていなかった。聞いておけば、名前を呼べたのに。
 呼ばれて振り向いたルイの父親は、バランスを崩して椅子から落ちそうになった。咄嗟に腰を掴んでルイの父親の体を支える。

「す、すみません…!」
「いえ…」

   Ωは華奢だと聞いていたが、ルイの父親は羽が生えているように軽かった。その重みが心地良すぎてそう感じたのかもしれない。体を支えた直後、彼の甘い香りがふわりと鼻を刺激し、先日の閨教育事件で俺の陰嚢は干し柿のように萎んでいたのだが、みるみる力を取り戻した。そのうえ中心が反応しそうになり、慌てて体を離す。

「ありがとうございました。あれ…?」
「先日は、ありがとうございました。ライアン・リファーです」
「あ、やっぱり…!えーと、こちらこそあんな所へ来ていただいてありがとうございました」
  
 名前、覚えられていなかった。あの時は四人いたし、特に目立って会話を交わしたわけではない。覚えられていなくても仕方がないが、思いの外、心を抉られた。

「ひょっとして、今日のお茶会に?」
「え、ええ…」
 
 私は口を濁した。今日行われるお茶会は身分の高い妙齢の男女が集まる。たぶん、来年成人を迎えるアンジュ王子のお相手探しに違いない。そして、私も…。何となくそれを、ルイの父親に知られたくなかった。
 口を濁した私を見て、ルイの父親は首を傾げた。
   今日はブラウスの上に作業用のエプロンをつけていて、しっかり胸が隠れており、先日のような奇跡は起こらないようだ。でも、先日の閨の教師と同じかもう少し年上かもしれないのに、華奢な体に白いエプロンがとてもかわいらしい…。もしも、ルイの父親が閨の教師だったら、私は…。
 
「あの、もしよろしければ私がお教えいたしますが…」
「え…?」

   まさか、閨教育を…………?
 確かに彼はΩで、出産経験者で…教師の資格はあるが…。

「どうぞこちらです」

 私はフラフラと、彼の後に着いて行った。

 教えてほしい。手取り足取り…時に私が貴方の足を取って持ち上げたり広げたりして……!

   
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