堅物王子の側妃は降嫁と言われたので王宮騎士になって返り咲く

あさ田ぱん

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一章

10.奸計 

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 アナベルが夜会用に着ていた丈の長い法衣は詰襟で、腰に絞りがある、脱ぎづらい仕様のものだった。一回目の吐精で汚れたそれを、ギルフォードに少々乱暴に脱がされた。露わになった胸の突起を、指で潰され、摘まれ、たまらずあえかな声を上げると、今度は口に含まれて強く吸われた。
 口では「やめて」といったけど、アナベルからも何度も口付けをねだってしまい……結局、2回目も達してしまった。

 事後、アナベルはギルフォードに簡単に体を拭ってもらい、ギルフォードの上着を被せられた。そしてそのまま抱きかかえられ、後宮の自室まで戻った。

「会場にいたモール辺境伯も、さぞ心配されていることだろう。私から人を送っておくから安心しなさい 」

 ギルフォードは人の手配や、着替えや飲み物など、召使いに色々言付けてから、帰っていった。
 
 ギルフォードが帰った後も、アナベルは眠れなかった。目をつぶると、ギルフォードの大きな手や、唇を思い出してしまうのだ……。

 ……あの時、ギルフォードはアナベルを吐精させただけで、服だって脱がなかった。

(ギルフォード様はきっと、治療のおつもりだったのだ。それなのに私ときたら、恥ずかしい……)

 でもアナベルはギルフォードの腕の中で起こった出来事を何度も反芻しながら、朝を迎えた。



 翌朝、召使い達はアナベルを浴室に連れて行き、有無を言わさず服を脱がせた。アナベルの上半身には花が散ったように、鬱血した跡が浮き上がっている。

(昨日の……!)

 召使いたちは、お互いに何やら目配せして、バタバタと浴室を出て行く。

(これはあくまで治療の一環だったけど…誤解されただろうか…?)

 召使い達に、昨日の情事の跡を見られてしまい、羞恥心で眩暈がした。召使たちは出ていってしまったので、自分で身体を清めて浴室を出た。

 身綺麗にして部屋に戻ると、すでにエリザベートが待っていた。
 エリザベートは応接用のソファーに座り、扇で口元を隠している。



「私はあなたに、何と指示しましたか?」

「皇后陛下が、薬を飲ませたら、ギルフォード殿下を連れて行けとおっしゃいました 」

「そうです。それを、あろうことか、自分で薬を飲んでしまった。結果が良かったからいい、というものではありません!」

「申し訳ありません…でも… 」

 殿下を騙すことは出来ない…。そう言おうとしたが、エリザベートが扇を畳んでテーブルに打ち付けたので、アナベルは二の句が継げなかった。

「言い訳は結構、失敗していたら、鞭打ちの罰を与えねばなりませんでした!」

「む、鞭?!」

 エリザベートは怯えるアナベルに構うことなく続ける。

「ふ…。しかし、あなたのやり方で良かったのかもしれません。ずいぶんと、耽っていたと聞きました。これであの堅物も、後宮を解散しようなどと、世迷言は言わなくなるでしょう…。あなたはこのまま、身体を使ってギルフォードを籠絡なさい。後宮の必要性を、身を持って解らせなければなりません 」

(籠絡?自分の息子を……?!)

 エリザベートは、ギルフォードが後宮を解散しようとしていることを知って、その計画を阻止しようとしている、ということだろうか…。
 確かに、エリザベートは後宮を牛耳るヘリオプシス公爵家の出身だ。蜜月な関係の後宮がなくなったら、ヘリオプシス家は大きな打撃を受けるだろう。

(だからと言って、実の息子を罠に嵌めるなんて……!)


 アナベルはハッとした。エリザベートの奸計に、既に加わっている自分に気付いたのだ。

 ギルフォードを裏切っている…。その事実にアナベルは打ちのめされた。
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