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閑話
飛びぶどう
しおりを挟む筋肉痛で先生を呼んで、朝食を一緒にする事になった。
「いや、美味しかったの~。朝から野菜たっぷりのスープにパン、突撃豚のベーコンにドロドロ卵焼きを絡めて食べるのがまた最高じゃった!」
ドロドロの卵焼きは名前の通りドロドロしていて、口の中に入れるとドロドロを通り越してネチョネチョしてくる。
噛めば噛むほどネチョネチョするが、何か水分を取ると急にネチョネチョがなくなるのだ。面白いが僕はあまり好きではない。
「さぁ先生、お待ちかねの飛びぶどうですよ!」
す、凄い!!風船みたいだ!!
飛びぶどうは、茎のところが一本一本長く太めの糸のようになっている。その糸の様な茎の先に、普通のぶどうより少し大きい実が付いていてプカプカと浮いているのだ。実の色は普通のぶどうと同じ紫とフサスグリの様な真っ赤がある。
「おぉ!これじゃ!美味しそうに浮かんでおるの!
夏の雨をたっぷり貯めて甘くなったかの?どれどれ一粒、いただくとしよう!」
先生は一粒とると口の中にふわりと放り込んだ。
「ん~!美味いの!」
「…僕もいただきます!」
紫を一粒とってみる。手を離すと上に浮かんでいきそうになったので慌てて捕まえる。
口の中に入れるとまだ口の中でプカプカしていて面白い。噛もうと思うがプカプカ浮いていると噛むのが難しい。
飛びぶどうの実を噛むと中から甘い汁が弾け出てきた!どうやら飛びぶどうの中は甘いぶどうジュースが入ってるようだった。
こっちに来てスィーツとか夢のまた夢で、久しぶりに食べた甘いものに悶絶してしまった。
「ん~!!美味しい!!甘い!!もう一粒!」
次は赤い実を一粒とって口の中に放り込んだ。実を噛むと今度はなんとスイカの味だった!
美味しい!美味しい!!紫の実も赤い実もどっちも美味しい!!
俺は実を夢中になって食べ続けて、最後の2つになった時にふと気がついた。
同時に食べたらどうなるんだろう?
俺は何も考えず2色の実を一緒に口に入れ噛んだ。
「まっずい!!!!なんで?!ぺっ!ぺっ!水!」
「はっはっはっ!」
「ホッホッホッ、皆一度はやる事じゃの~。
その2つは同時に食べると最高に合わないんじゃよ。
一つ賢くなったの。ホッホッホ。」
俺は最後の2つの実をそんな食べ方をしてしまって酷く後悔し、目に少し涙が浮かんだのは内緒だ...。
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