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第7話 童貞が悲惨な目に遭ってて笑えるんですけどwww
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「ねえねえ、農田さんって本とか読む派?」
「まあ、ライトノベルとかなら少しは読むよ」
たまたま昼休みに図書室の前を通りかかった私と二也井さんは本の話題に切り替えた。
「底辺高校の図書室に置いてある本って何だろう? エロ本とかかなぁwww」
「どうせ漫画やラノベとかでしょ」
入学してから一度も踏み入ったことがない図書室のドアを開けると、そこは陰キャなキモオタの巣窟と化した汚部屋だった。
決して広いとは言えないスペースの室内にはテーブルと椅子が数個あり、本棚には大量のラノベや漫画、アニメ雑誌が並べられ、至る所にロボットや美少女キャラの古びたフィギュアが置かれている。
正直1秒でも早くこの異様な空間から脱出したかったが、二也井さんは興味津々な様子で辺りを見回していた。
「へぇ~、底辺高校の生徒でも文字は読めるんだね。識字率は発展途上国並みだと勝手に思い込んでたよwww」
「中度の知的障害者でも字の読み書きくらいは出来るんだから底辺高校生でも普通に出来るでしょ」
ぱっと見は池沼にしか見えないチー牛顔のキモオタ軍団が涎を垂らしながら萌えアニメの原作ラノベやエロゲのノベライズ本で自慰に耽っていた。
チラリとキモオタ共を横眼で見遣ると、二也井さんの全身を舐め回すように凝視していた。
キモオタの檻に閉じ込められたような恐怖を覚えた私は二也井さんに対して早急に図書室からの撤退を求めた。
「ねえねえ、早く行こうよ……」
「あ、この漫画懐かしい~♡」
二也井さんは全く私の話には耳を傾けず、だいぶ昔に流行った漫画本を棚から手に取って見せてきた。
「ほらほら、『埼玉ミュウミュウ』だよ♡ 子供の頃、よく決めポーズの真似して遊んだなぁ。埼玉の未来にご奉仕するニャン♡……な~んちゃってwww」
二也井さんは猫みたいに両手をくねくねさせながら『埼玉ミュウミュウ』の主人公の真似をし始める。当然キモオタ共が反応しないわけがない。
「尊い……」
「萌え死にするぅぅ~ッ!!!」
「これこそ究極の2.5次元ですぞwww」
うじゃうじゃとカメラ小僧の如くキモオタ共がスマホ片手に二也井さんを囲って撮影し始める。
「あちゃ~、面倒くさいことになったなぁ……」
呆れ果てる私を余所に二也井さんはキモオタ軍団に手を振ったりと非常に寛容だった。
キモオタを手懐けるのが巧みな二也井さんは一瞬にしてオタサーの姫としての地位に上り詰めた。
「ちょっと……何考えてんの? キモオタなんかに媚びたってメリットないでしょ」
そっと私が耳打ちすると、二也井さんは満面の笑みを浮かべながら言った。
「キモオタの中にも利用価値があるヤツもいるかもしれないからね。男への点数稼ぎはするに越したことないよ」
二也井さんのあざとさには呆れ果てるが、同時に容姿で得できる人が心底羨ましくてしょうがない。
己の醜さに誰よりも無頓着なキモオタ共は自分とは正反対の属性を持った美しい二也井さんの周りを蛾のように集り続けるのだった。
ーーー
ためにならないクソみたいな時間が終わり、放課後を迎えると私は二也井さんと一緒に近くの駅まで行って電車が来るのを待った。
幸い数分で電車は到着し、2人で車内に入ると中はそれほど混雑しておらず、普通に座ることが出来た。
秋の陽ざしが車両の中で、ちらちらと踊る。窓の外の景色が帯となって流れ去り、ひときわ清々しく感じられた。
電車の中で心地よく揺られていると、隣の車両から大量の乗客がどっと押し寄せ過ぎて将棋倒しになりそうな状況になった。
「変なヤツが暴れているぞッ!」
「ま~た電車テロだってよ!」
「治安悪いにも程があんだろwww」
車内は瞬時にして大パニックとなり、人の波が一通り過ぎ去るまでは椅子から立ち上がれないほどだった。
しばらくしてから緑のワイシャツの上に紫色のスーツを纏った金髪チー牛顔の男が隣の車両からやって来た。すると「ボン」と音がし、次の瞬間には隣の車両が荒れ狂う火の海と化していた。
そうした凄惨な状況にもかかわらず、異様な雰囲気を身に纏う金髪チー牛顔は太々しい様子でタバコをふかしながら右手に拳銃を握りしめていた。
3発の銃声が響くと、物言わぬ骸と化した乗客のサラリーマン3人がバッタバッタと倒れ込んだ。
「僕にはもう失うものはない。傷つけるものもない。僕の人生はまさに喜劇だ」
厨二病を拗らせたような独り言をブツブツと呟きながら金髪チー牛顔は再び拳銃を無造作にぶっ放した。
パン、パン、パン。
乾いた音とともに車内の窓ガラスや座席に次々と穴が開く。
「動くなッ!」
金髪チー牛に銃を突きつけられ、私たちはその場で硬直した。
だが、二也井さんは自分のスカートを捲るとガーターベルトに収納されたナイフを取り出し、銀に光る切っ先をチー牛の首筋に突きつける。
ナイフの鋭い刃先がチー牛の首筋に食い込んでうっすらと血がにじむ。
「お、おのれ……孤独な男をゴミのように扱ってきたヤツらに報いを受けさせてやる~ッ!」
そう言うと、チー牛は拳銃を構えたまま一歩前に出て乱射する。
次の瞬間、二也井さんの背後で窓ガラスが粉々に砕け散る。
二也井さんは渾身の力を振り絞って肢体を前へ投げ出しながらナイフをチー牛の顔面目掛けて放つ。前のめりに倒れこむ二也井さんの頭上すれすれをチー牛が発射した弾がかすめると、ナイフがチー牛の右目を貫く。
「うぎゃあああああああああああああああ~ッ!!!」
チー牛は射抜かれた右目を押さえると、激痛のあまり発狂しながら床に崩折れるのだった。
「二也井さ~んッ!」
私はとっさに飛び出して二也井さんの身体を両腕で抱きしめる。
「農田さん……怪我はない? もう大丈夫だからね♡」
そう言われて大粒の涙が盛り上がり、私は二也井の胸の中で声を殺して泣きじゃくるのだった。
ーーー
「まったく、チー牛顔の男って何で凶悪犯が多いのかしらね~? 怖くて電車に乗る気も起きないわ」
貴腐寺院さんはスラックス姿で足を組みながら物騒な世の中を嘆いていた。
「ホントそれ。チー牛の非モテ野郎は日頃から同性に見下されてるもんだから、自分より弱い女や子供で鬱憤を晴らすんだよねwww」
「チー牛を見たら犯罪者予備軍だと思って、すぐ逃げなきゃねwww」
貴腐寺院さんを中心とする喪女グループの傘下である百貫デブの出武杉 太美さんとjkのコスプレをしたアラサーにしか見えない現役jkの戸島 不気美さんはボロクソにチー牛をdisりまくる。
「チー牛にだって、いい男はいるんだぞ! たぶん……」
絵に描いたようなチー牛顔の童手井くんは自信なさげにチー牛を擁護する。
「いやいや、チー牛顔の男って例外なく中度以上のロリコン池沼アスペじゃないの。そんでもって童貞か、素人童貞のどっちかで常にモテないルサンチマンを爆発させながらネットで死ぬまで女叩きに勤しむんでしょwww」
貴腐寺院さんに完全論破された童手井くんは狼狽しながらも、みみっちい男としてのプライドを維持するために罵詈雑言を浴びせかける。
「う、うるさいぞ! このブス! へちゃむくれ! 男女! アバズレ! 貧乳! 寸胴! 女らしくしないなら女なんか止めちゃえ~ッ!」
思わずカッとなってしまった童手井くんは後になって口は禍の門だということをまざまざと思い知らされるのだった。
ーーー
「う~、どうして僕がこんな目に……」
童手井くんは貴腐寺院さんたちの怒りを買い、冬らしい寒さになってきた屋外でブルマを穿かされていた。ちなみに童手井くんが穿かされているブルマは私の所持品であり、正直なところ勝手に使われるのは抵抗がある……。
「もぉ~、お尻に食い込んできちゃうよ……」
男子のお尻にはややきついらしく、すぐに臀部の谷間に食い込んでしまう。
「童手井くん、もう返さなくていいから……」
「えぇ、もらっていいの?」
「さよなら、私のブルマ……」
私は童手井くんに汚染されたMyブルマに別れを告げる。
「女を見下す愚かなクソ童貞の童手井くんには女子の大変さを身をもって体験してもらうわ!」
そう言うと、貴腐寺院さんは有無を言わさず童手井くんのピチピチブルマの股間部分を連続蹴りする。
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~ッ!!!」
男子にとっては阿鼻叫喚の地獄絵図が目の前で繰り広げられ、通りすがりの男子生徒たちは思わず自分の股間を抑える。
「男子にも分かりやすく月に1回必ず来る女子の煩わしい生理の苦しみを味わわせてあげる♡ 女子は1週間以上にわたって24時間キンタマを蹴り続けられるほどの痛みに耐えながら生きてるのよwww」
もんどりうって倒れ込んだ童手井くんの股間を容赦なく貴腐寺院さんは踏みつける。
貴腐寺院さんは楽しげにグリグリと踏みにじり始める。
「これから童手井くんには一緒に女子の体育に参加してもらうわ」
「いや、無理……痛くて苦しくて泣いちゃう……」
「甘えたことぬかすんじゃないの! 女子は生理中でも休めないんだからね」
そう言うと、貴腐寺院さんは童手井くんの股間を鷲掴みにして無理やり起こした。
「童手井くん、もう諦めて大人しく従った方がいいよ。あまり抵抗すると、貴腐寺院さんが力加減を誤って股間の逸物を千切っちゃうかも……」
私の言に童手井くんは恐怖と不安で青ざめ、ピチピチブルマの股間部分がみるみる縮こまっていく。
そんな童手井くんの哀れな情けない姿に私たちの嗜虐心は大いに煽られるのだった。
ーーー
「ブルマ女子たちに囲まれながら体育の授業が受けられるなんて、さぞモテない童貞男子には天国だろうねwww」
「この格好じゃなかったらね……」
そう言うと、童手井くんは憂鬱そうに指をヒップにまわして食い込むブルマの位置を直す。
「女子って寒い時期だろうと、いつも生脚で過ごさないといけないから大変だね。男の僕でさえ、耐え難いよ……」
「女子にとっての苦悩はそれだけじゃないからね」
私がそう言うと、童手井くんはケダモノ同然の男子たちからの露骨な性的視線に気がついた。
「うわぁ……いつも体育の時、あんなにも卑猥な目で女子は男子に見られてるんだね。男の僕は見る側だから気にしたこともなかったよ」
「体育の時だけじゃないよ。街中でも普段から男たちに顔と胸をチェックされて足先まで舐めるように見られるんだから……」
同性の底知れぬ性欲の恐ろしさを身に染みて感じた童手井くんは同じ男として罪悪感を覚えた。
「うぅ……なんだか股が痒くなってきたよ」
そう言う童手井くんの股間部分は長方形に膨らんでいる。ナプキンだ。
「貴腐寺院さんが女子トイレのサニタリーボックスから使用済みナプキンを持ってきて、僕に使わせてるんだ。ナプキンって、けっこう厚手なんだね」
ナプキンで膨らんだ箇所を童手井くんは指で突っつく。するとナプキンがズレて、ブルマの脇から血が漏れてしまった。
「あぁ、ヤバ……どうしよ⁉︎」
童手井くんがテンパっている間に持久走の授業は始まり、皆が走り始める。
男子たちの視線はもちろん女子の剥き出しの太腿に、弾む胸に、ブルマが食い込むお尻に注がれていた。
「ちょっと……たんま……」
先ほどまで股間を集中的に蹴り続けられたため、童手井くんの体調は万全でない。しかも激しい動きをするたびにナプキンから漏れていき、剥き出しの太腿が血に染まっていく。
屈辱と羞恥に涙する童手井くんは倒れることさえ許されず、禁忌の粘液を流し続けた。
懸命に走り続けていた童手井くんだが、ついに力尽き、その場に崩折れてしまう。股間を激痛が駆け抜け、小刻みに震える童手井くんの瞳から次々と涙のしずくがこぼれ落ちる。
「うへへへwww」
「うひゃひゃwww」
「デュフフフwww」
女子の体育を間近で見たいがために授業をサボって見に来ていたDQNやキモオタが下卑た笑い声をあげ、目を赤く血走らせながら舌舐めずりをすると、弱り果ててうずくまる童手井くんを取り囲むように迫る。
「いや……来ないで……」
童手井くんは何とか立ち上がろうとしたが、股間を襲う激痛は激しく、下半身に力が入らなかった。
モヒカン刈りのDQNとデブのキモオタが、童手井くんの脚を左右にこじ開けた。
他のDQNやキモオタ共が童手井くんの小柄な身体を押さえ付ける。
「堪んねえぜ、フル勃起しちまったwww」
「とうの昔から拙者はフル勃起でござるwww」
童手井くんの視界は自分を見下ろす男子生徒たちの下劣なニヤニヤ顔でいっぱいになる。
どいつもこいつも悪魔のように口の端を歪めて淫らな笑みを浮かべているのが、童手井くんの心臓をドクンと跳ねあがらせる。
男子生徒たちが制服のズボンを脱ぎ捨てて、そそり立つ男根を誇らしげに突き出すのを見た童手井くんは気が遠くなった。
童手井くんの手足を固定してる2人を除いた他の連中もことごとく下半身を剥き出しにする。その男根の持ち主どもの視線が自分に集中しているのを童手井くんは痛いほどに感じた。
「ひゃあああ、誰か助けて~ッ!!!」
唯一自由になる顔だけを持ち上げながら童手井くんは情けない悲鳴をあげる。
だが、ブルマ姿の非モテ童貞男子には興味がない女子たちからは見向きもされず、教師に至るまで誰も気に留める者はいなかった。
性欲を暴走させる男子生徒たちとは対照的に今の童手井くんには性欲のせの字もない。あるのは恐怖、恐怖、恐怖。屈辱、屈辱、屈辱。
童手井くんは身体中を固くして屈辱に耐え忍んだが、レイパー共のザーメンを次々に受け止め続けたことで精神のバランスを崩し、次の日から不登校になるのだった。
「まあ、ライトノベルとかなら少しは読むよ」
たまたま昼休みに図書室の前を通りかかった私と二也井さんは本の話題に切り替えた。
「底辺高校の図書室に置いてある本って何だろう? エロ本とかかなぁwww」
「どうせ漫画やラノベとかでしょ」
入学してから一度も踏み入ったことがない図書室のドアを開けると、そこは陰キャなキモオタの巣窟と化した汚部屋だった。
決して広いとは言えないスペースの室内にはテーブルと椅子が数個あり、本棚には大量のラノベや漫画、アニメ雑誌が並べられ、至る所にロボットや美少女キャラの古びたフィギュアが置かれている。
正直1秒でも早くこの異様な空間から脱出したかったが、二也井さんは興味津々な様子で辺りを見回していた。
「へぇ~、底辺高校の生徒でも文字は読めるんだね。識字率は発展途上国並みだと勝手に思い込んでたよwww」
「中度の知的障害者でも字の読み書きくらいは出来るんだから底辺高校生でも普通に出来るでしょ」
ぱっと見は池沼にしか見えないチー牛顔のキモオタ軍団が涎を垂らしながら萌えアニメの原作ラノベやエロゲのノベライズ本で自慰に耽っていた。
チラリとキモオタ共を横眼で見遣ると、二也井さんの全身を舐め回すように凝視していた。
キモオタの檻に閉じ込められたような恐怖を覚えた私は二也井さんに対して早急に図書室からの撤退を求めた。
「ねえねえ、早く行こうよ……」
「あ、この漫画懐かしい~♡」
二也井さんは全く私の話には耳を傾けず、だいぶ昔に流行った漫画本を棚から手に取って見せてきた。
「ほらほら、『埼玉ミュウミュウ』だよ♡ 子供の頃、よく決めポーズの真似して遊んだなぁ。埼玉の未来にご奉仕するニャン♡……な~んちゃってwww」
二也井さんは猫みたいに両手をくねくねさせながら『埼玉ミュウミュウ』の主人公の真似をし始める。当然キモオタ共が反応しないわけがない。
「尊い……」
「萌え死にするぅぅ~ッ!!!」
「これこそ究極の2.5次元ですぞwww」
うじゃうじゃとカメラ小僧の如くキモオタ共がスマホ片手に二也井さんを囲って撮影し始める。
「あちゃ~、面倒くさいことになったなぁ……」
呆れ果てる私を余所に二也井さんはキモオタ軍団に手を振ったりと非常に寛容だった。
キモオタを手懐けるのが巧みな二也井さんは一瞬にしてオタサーの姫としての地位に上り詰めた。
「ちょっと……何考えてんの? キモオタなんかに媚びたってメリットないでしょ」
そっと私が耳打ちすると、二也井さんは満面の笑みを浮かべながら言った。
「キモオタの中にも利用価値があるヤツもいるかもしれないからね。男への点数稼ぎはするに越したことないよ」
二也井さんのあざとさには呆れ果てるが、同時に容姿で得できる人が心底羨ましくてしょうがない。
己の醜さに誰よりも無頓着なキモオタ共は自分とは正反対の属性を持った美しい二也井さんの周りを蛾のように集り続けるのだった。
ーーー
ためにならないクソみたいな時間が終わり、放課後を迎えると私は二也井さんと一緒に近くの駅まで行って電車が来るのを待った。
幸い数分で電車は到着し、2人で車内に入ると中はそれほど混雑しておらず、普通に座ることが出来た。
秋の陽ざしが車両の中で、ちらちらと踊る。窓の外の景色が帯となって流れ去り、ひときわ清々しく感じられた。
電車の中で心地よく揺られていると、隣の車両から大量の乗客がどっと押し寄せ過ぎて将棋倒しになりそうな状況になった。
「変なヤツが暴れているぞッ!」
「ま~た電車テロだってよ!」
「治安悪いにも程があんだろwww」
車内は瞬時にして大パニックとなり、人の波が一通り過ぎ去るまでは椅子から立ち上がれないほどだった。
しばらくしてから緑のワイシャツの上に紫色のスーツを纏った金髪チー牛顔の男が隣の車両からやって来た。すると「ボン」と音がし、次の瞬間には隣の車両が荒れ狂う火の海と化していた。
そうした凄惨な状況にもかかわらず、異様な雰囲気を身に纏う金髪チー牛顔は太々しい様子でタバコをふかしながら右手に拳銃を握りしめていた。
3発の銃声が響くと、物言わぬ骸と化した乗客のサラリーマン3人がバッタバッタと倒れ込んだ。
「僕にはもう失うものはない。傷つけるものもない。僕の人生はまさに喜劇だ」
厨二病を拗らせたような独り言をブツブツと呟きながら金髪チー牛顔は再び拳銃を無造作にぶっ放した。
パン、パン、パン。
乾いた音とともに車内の窓ガラスや座席に次々と穴が開く。
「動くなッ!」
金髪チー牛に銃を突きつけられ、私たちはその場で硬直した。
だが、二也井さんは自分のスカートを捲るとガーターベルトに収納されたナイフを取り出し、銀に光る切っ先をチー牛の首筋に突きつける。
ナイフの鋭い刃先がチー牛の首筋に食い込んでうっすらと血がにじむ。
「お、おのれ……孤独な男をゴミのように扱ってきたヤツらに報いを受けさせてやる~ッ!」
そう言うと、チー牛は拳銃を構えたまま一歩前に出て乱射する。
次の瞬間、二也井さんの背後で窓ガラスが粉々に砕け散る。
二也井さんは渾身の力を振り絞って肢体を前へ投げ出しながらナイフをチー牛の顔面目掛けて放つ。前のめりに倒れこむ二也井さんの頭上すれすれをチー牛が発射した弾がかすめると、ナイフがチー牛の右目を貫く。
「うぎゃあああああああああああああああ~ッ!!!」
チー牛は射抜かれた右目を押さえると、激痛のあまり発狂しながら床に崩折れるのだった。
「二也井さ~んッ!」
私はとっさに飛び出して二也井さんの身体を両腕で抱きしめる。
「農田さん……怪我はない? もう大丈夫だからね♡」
そう言われて大粒の涙が盛り上がり、私は二也井の胸の中で声を殺して泣きじゃくるのだった。
ーーー
「まったく、チー牛顔の男って何で凶悪犯が多いのかしらね~? 怖くて電車に乗る気も起きないわ」
貴腐寺院さんはスラックス姿で足を組みながら物騒な世の中を嘆いていた。
「ホントそれ。チー牛の非モテ野郎は日頃から同性に見下されてるもんだから、自分より弱い女や子供で鬱憤を晴らすんだよねwww」
「チー牛を見たら犯罪者予備軍だと思って、すぐ逃げなきゃねwww」
貴腐寺院さんを中心とする喪女グループの傘下である百貫デブの出武杉 太美さんとjkのコスプレをしたアラサーにしか見えない現役jkの戸島 不気美さんはボロクソにチー牛をdisりまくる。
「チー牛にだって、いい男はいるんだぞ! たぶん……」
絵に描いたようなチー牛顔の童手井くんは自信なさげにチー牛を擁護する。
「いやいや、チー牛顔の男って例外なく中度以上のロリコン池沼アスペじゃないの。そんでもって童貞か、素人童貞のどっちかで常にモテないルサンチマンを爆発させながらネットで死ぬまで女叩きに勤しむんでしょwww」
貴腐寺院さんに完全論破された童手井くんは狼狽しながらも、みみっちい男としてのプライドを維持するために罵詈雑言を浴びせかける。
「う、うるさいぞ! このブス! へちゃむくれ! 男女! アバズレ! 貧乳! 寸胴! 女らしくしないなら女なんか止めちゃえ~ッ!」
思わずカッとなってしまった童手井くんは後になって口は禍の門だということをまざまざと思い知らされるのだった。
ーーー
「う~、どうして僕がこんな目に……」
童手井くんは貴腐寺院さんたちの怒りを買い、冬らしい寒さになってきた屋外でブルマを穿かされていた。ちなみに童手井くんが穿かされているブルマは私の所持品であり、正直なところ勝手に使われるのは抵抗がある……。
「もぉ~、お尻に食い込んできちゃうよ……」
男子のお尻にはややきついらしく、すぐに臀部の谷間に食い込んでしまう。
「童手井くん、もう返さなくていいから……」
「えぇ、もらっていいの?」
「さよなら、私のブルマ……」
私は童手井くんに汚染されたMyブルマに別れを告げる。
「女を見下す愚かなクソ童貞の童手井くんには女子の大変さを身をもって体験してもらうわ!」
そう言うと、貴腐寺院さんは有無を言わさず童手井くんのピチピチブルマの股間部分を連続蹴りする。
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~ッ!!!」
男子にとっては阿鼻叫喚の地獄絵図が目の前で繰り広げられ、通りすがりの男子生徒たちは思わず自分の股間を抑える。
「男子にも分かりやすく月に1回必ず来る女子の煩わしい生理の苦しみを味わわせてあげる♡ 女子は1週間以上にわたって24時間キンタマを蹴り続けられるほどの痛みに耐えながら生きてるのよwww」
もんどりうって倒れ込んだ童手井くんの股間を容赦なく貴腐寺院さんは踏みつける。
貴腐寺院さんは楽しげにグリグリと踏みにじり始める。
「これから童手井くんには一緒に女子の体育に参加してもらうわ」
「いや、無理……痛くて苦しくて泣いちゃう……」
「甘えたことぬかすんじゃないの! 女子は生理中でも休めないんだからね」
そう言うと、貴腐寺院さんは童手井くんの股間を鷲掴みにして無理やり起こした。
「童手井くん、もう諦めて大人しく従った方がいいよ。あまり抵抗すると、貴腐寺院さんが力加減を誤って股間の逸物を千切っちゃうかも……」
私の言に童手井くんは恐怖と不安で青ざめ、ピチピチブルマの股間部分がみるみる縮こまっていく。
そんな童手井くんの哀れな情けない姿に私たちの嗜虐心は大いに煽られるのだった。
ーーー
「ブルマ女子たちに囲まれながら体育の授業が受けられるなんて、さぞモテない童貞男子には天国だろうねwww」
「この格好じゃなかったらね……」
そう言うと、童手井くんは憂鬱そうに指をヒップにまわして食い込むブルマの位置を直す。
「女子って寒い時期だろうと、いつも生脚で過ごさないといけないから大変だね。男の僕でさえ、耐え難いよ……」
「女子にとっての苦悩はそれだけじゃないからね」
私がそう言うと、童手井くんはケダモノ同然の男子たちからの露骨な性的視線に気がついた。
「うわぁ……いつも体育の時、あんなにも卑猥な目で女子は男子に見られてるんだね。男の僕は見る側だから気にしたこともなかったよ」
「体育の時だけじゃないよ。街中でも普段から男たちに顔と胸をチェックされて足先まで舐めるように見られるんだから……」
同性の底知れぬ性欲の恐ろしさを身に染みて感じた童手井くんは同じ男として罪悪感を覚えた。
「うぅ……なんだか股が痒くなってきたよ」
そう言う童手井くんの股間部分は長方形に膨らんでいる。ナプキンだ。
「貴腐寺院さんが女子トイレのサニタリーボックスから使用済みナプキンを持ってきて、僕に使わせてるんだ。ナプキンって、けっこう厚手なんだね」
ナプキンで膨らんだ箇所を童手井くんは指で突っつく。するとナプキンがズレて、ブルマの脇から血が漏れてしまった。
「あぁ、ヤバ……どうしよ⁉︎」
童手井くんがテンパっている間に持久走の授業は始まり、皆が走り始める。
男子たちの視線はもちろん女子の剥き出しの太腿に、弾む胸に、ブルマが食い込むお尻に注がれていた。
「ちょっと……たんま……」
先ほどまで股間を集中的に蹴り続けられたため、童手井くんの体調は万全でない。しかも激しい動きをするたびにナプキンから漏れていき、剥き出しの太腿が血に染まっていく。
屈辱と羞恥に涙する童手井くんは倒れることさえ許されず、禁忌の粘液を流し続けた。
懸命に走り続けていた童手井くんだが、ついに力尽き、その場に崩折れてしまう。股間を激痛が駆け抜け、小刻みに震える童手井くんの瞳から次々と涙のしずくがこぼれ落ちる。
「うへへへwww」
「うひゃひゃwww」
「デュフフフwww」
女子の体育を間近で見たいがために授業をサボって見に来ていたDQNやキモオタが下卑た笑い声をあげ、目を赤く血走らせながら舌舐めずりをすると、弱り果ててうずくまる童手井くんを取り囲むように迫る。
「いや……来ないで……」
童手井くんは何とか立ち上がろうとしたが、股間を襲う激痛は激しく、下半身に力が入らなかった。
モヒカン刈りのDQNとデブのキモオタが、童手井くんの脚を左右にこじ開けた。
他のDQNやキモオタ共が童手井くんの小柄な身体を押さえ付ける。
「堪んねえぜ、フル勃起しちまったwww」
「とうの昔から拙者はフル勃起でござるwww」
童手井くんの視界は自分を見下ろす男子生徒たちの下劣なニヤニヤ顔でいっぱいになる。
どいつもこいつも悪魔のように口の端を歪めて淫らな笑みを浮かべているのが、童手井くんの心臓をドクンと跳ねあがらせる。
男子生徒たちが制服のズボンを脱ぎ捨てて、そそり立つ男根を誇らしげに突き出すのを見た童手井くんは気が遠くなった。
童手井くんの手足を固定してる2人を除いた他の連中もことごとく下半身を剥き出しにする。その男根の持ち主どもの視線が自分に集中しているのを童手井くんは痛いほどに感じた。
「ひゃあああ、誰か助けて~ッ!!!」
唯一自由になる顔だけを持ち上げながら童手井くんは情けない悲鳴をあげる。
だが、ブルマ姿の非モテ童貞男子には興味がない女子たちからは見向きもされず、教師に至るまで誰も気に留める者はいなかった。
性欲を暴走させる男子生徒たちとは対照的に今の童手井くんには性欲のせの字もない。あるのは恐怖、恐怖、恐怖。屈辱、屈辱、屈辱。
童手井くんは身体中を固くして屈辱に耐え忍んだが、レイパー共のザーメンを次々に受け止め続けたことで精神のバランスを崩し、次の日から不登校になるのだった。
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