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第17話 未成年の飲酒は絶対ダメな件〜前編〜

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 今日は僕と尾芽牙おめがくんの2人で一護いちごくんの家に遊びに来ていた。
 三和土のところには、一護いちごくんのものらしいイタリア製の高級靴が置かれていた。入口から奥に向かってフローリングの廊下が延びていた。


「おぉ~、アオイ♡ そっちはアオイの友達だなぁ。さあ、遠慮なく入ってくれ」


 一護いちごくんの声を聞いて、僕たちは靴を脱いで部屋に上がっていった。
 廊下を進むと、その先に八畳ほどのリビングルームがあり、部屋の真ん中に置かれたソファテーブルのところに一護いちごくんが座った。
 一護いちごくんの前には、ウイスキーの瓶やグラスが置かれている。


「さあ、自分の家だと思って寛いでくれ♡」


 僕は一護いちごくんの隣に座ると、尾芽牙おめがくんは向かいのソファに座った。


「俺たちはもう心は大人だからワインぐらいはいけるだろう♡ ちょうど我が家にフランスで買ったボルドーワインがあってなぁwww」


 一護いちごくんは、そう言うと、尾芽牙おめがくんが「いや、ボクはいいよ」と言うのを無視して席を立ち、隣のダイニングルームからワインの瓶とワイングラスを持ってきた。
 ねじ込み式の栓抜きを使って一護いちごくんが栓を引き抜くと、ポン、という快い音とともにコルク栓が抜けた。それから一護いちごくんは、栓の開いた瓶を傾けて、テーブルに置かれたワイングラスにトクトクと深味のある美しい紅色の液体を注いだ。


「さあ、遠慮せずにぐいっと一杯飲んでくれ。こんなにいい酒が飲めるチャンスは滅多にないからなぁwww」


 僕たちは、しぶしぶグラスを取り上げ、ワインを口に含んだ。


「お、美味しい! フワッと口の中で広がる口当たりの良さと、かぐわしい香りが絶妙にマッチして、これまで味わったことのないほど芳醇で爽やかなテイストを醸し出してるよ♡」


 尾芽牙おめがくんが芸能人の食レポみたいなコメントをすると、一護いちごくんも同調する。


「おぉ~、この味が分かるとはなかなかの通じゃねえか。このフルーティな香りと、ほどよい甘味と酸味、それに、わずかな渋みが絶妙なんだよなぁ♡」


 熱さで喉が渇いていたのか、尾芽牙おめがくんは、すぐにグラスのワインを飲み干してしまい、それを見た一護いちごくんが、さらに瓶を傾けてグラスにお代わりを注いだ。
 僕は少し飲んだだけで酔いそうになり、我ながら酒に弱いことを自覚した。


「どうやらアオイにはまだ早かったようだなぁwww」
「ふふふ、お酒に弱いアオイくんも可愛いなぁ~♡」


 僕は頰を真っ赤にしながら一護いちごくんの肩に頭を載せた。


「ねえねえ、一護いちごくんとアオイくんって付き合ってるの?」


 いきなり尾芽牙おめがくんにツッコまれた恥ずかしさに、僕は頭に血が昇り、しどろもどろになった。


「愚問だなぁ。付きあってるどころか、ベッドの上でも突き合う関係だぜ♡」
「ちょっと、一護いちごくん! 恥ずかしいこと言わないで……」
「恥ずかしがる必要なんかないだろう♡ むしろアオイとイチャついてるところを見せびらかしたいくらいだぜwww」


 早くも酔っているのか、それとも通常運転なのか、一護いちごくんは僕の肩に腕をまわして胸を揉んできた。


「も~う、尾芽牙おめがくんが見てるところではお触り禁止だよ」
「堅いこと言うなよ。なあ、尾芽牙おめがもそう思うよなぁ~?」


 尾芽牙おめがくんは呆れた表情をしながら僕の隣に座ってきた。


「やれやれ……αは、みんなそうやってセックスばかりしたがるよね」
「おいおい、むしろ健全な証だろうが。お前だって、セックスぐらいするだろ? 俺ほどではないが、モテそうだしよwww」
「ところがどっこい、そうでもないんだなぁ……ボク、男が苦手だから、そういうシチュエーションになると、すぐ逃げ出しちゃうんだ。でも、アオイくんとなら喜んでセックスしたいと思えるんだけどね♡」


 尾芽牙おめがくんと一護いちごくんは会話を交わしながら、美味しさにつられて何度もグラスを空けてしまっていた。気がつくと、2人とも頰が赤くなっていて、酔いがまわっているように思えた。
 僕も頭が少しクラクラしてきたが、とてもリラックスした、愉快な気分を伴うものだった。


「何~、アオイとセックスがしてえだと~? 他の男じゃダメなのかよ~?」
「やっぱり~、自分の体を委ねられるほど、男を信用できないっていうか。いざとなると、恐くなっちゃって……それって、変なのかなぁ~?」
「なるほど、アオイみたいなヤツだなぁ……でも、それはやっぱり、Ωとして不幸なことだと思うぞ。Ωは、異性との交わりを通して人生の悦びや悲しみを知り、成長していくわけだからなぁ。自分を開くことなしには、豊かな人生は有り得ないぜ♡」
「自分を開くことなしには、豊かな人生は有り得ない……なるほど!」


 2人の会話が途切れた瞬間、尾芽牙おめがくんは突然立ち上がって、僕の座っているソファの背後に回り、後ろから僕を抱え上げた。
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