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地界探索編

第9話 「ダカラ・ロクリア・リパーサルト・ジェネシスト・アンデル・セルクアッド・アストラル・ヴェルト・アサルト・ケイルク・ファンデス」

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「まず、小麦に水を入れて...」

 ダカラはボウルに材料を入れて、手際よく、手順通りにパン作りを進めている。

「そろそろ、スライムゼリーを入れるか」

 ヤクルトがそう言い、俺はボウルにスライムゼリーを入れた。
 そして、ダカラはボウルに入った材料らをかき混ぜ、生地を完成させた。

「出来た!」

 その後、ダカラは生地をオーブンに入れて焼き始めた。

「それで、『絶対美味』の能力は?」

 俺は、パンが焼き上がるのを待っている間にヤクルトとダカラに聞いてみることにした。

「『絶対美味』はダカラが切ったり、こねたり、焼いたりしたものの食料レベルを上げることができるんだ。それと、食料レベルを可視化することが出来るらしい。僕には見えないからどんなふうに見えるか分からないけど」

 ヤクルトが説明をした後、ダカラが詳細について話し始めた。

「例えば、さっきダカラがこねたパンの生地の食料レベルは、元々レベル2だったけどレベル8になってて、今オーブンに入れて焼いたから、その分も乗算されてレベル14になってるよ。各行動によって食料レベルがどのくらい上がるかは食料によるよ」

「違う行動をしたらその分乗算されるのか、すごい能力だな。それって食べ物だけに適応されるのか?」

「え?なんでそんなことを聞くんですか?」

 ダカラが俺の意味深な質問に疑問を持つのも仕方ない。『絶対美味』は俺の考えだと、食べ物にだけ適応されるのではない。

「魔物を切りつけたら、その魔物が落とす素材は美味しくなるんじゃないか?」

「ああ!そういうことですか!でも、まだ7歳の娘ですよ。攻撃なんて出来ないし魔物に攻撃でもされたら、危ないじゃないですか!」

 ごもっともだ。だが、俺には出来る。7歳でも持てる軽い剣を作ること。そして、相手の動きを封じることが。

「その辺は大丈夫だ。俺に任せろ」

「ミューさんが大丈夫って言うなら大丈夫なんでしょうけど...」

 俺達がそんな会話をしていると、いつの間にかパンが焼き上がっていた。

「パン焼けたよ!」

 パンが焼け、俺達は椅子に座り、食卓を囲んだ。

「いただきます!」

 俺達3人でスライムパンにかぶりついた。

「うまーい!」

 俺達3人は、一斉にうまいと叫んだ。
 はじめて食べたスライムパンは、『完全美味』の影響はあるが、天に登るほど美味かった。
 これが1日5個限定とは勿体無いな。もっと沢山の人に食べてもらいたい。店で買ったのじゃないけど。だから俺は、大量に持っているスライムゼリーを店に売る。もしくは、寄付することを決意した。本音を言えば、金無いからなるべく売りたい。って思ってるけど。
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