夜島さんは小説家になりたい

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第一部 ヨルシマファイト!

序章①

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 夜島さんはその日急いでいた。靴音だけが、虚しい夜の街に響く。——こんな表現をしてしまうと、『AIによって書かれた小説ではないか?』と疑う人も一定数いるだろうが、この小説がたとえAiの力を借りたとしても、面白いかどうかにはあまり関わってこないと思うし、この作品はAiを(校正を除いては)使用していない。

 ——そんなゆったりとしたテンポでナレーションしないでくれ! 俺は急いでいるんだ!

 夜島さんが叫んだ。叫びだけが、夜の街に吸い込まれていく。郵便ポストまでは後数十メートル。日付が変わる前に速達しなければ、魂を込めて書き上げた一冊を公募に出すのに、一年間のタイムロスをしてしまう。人生100年時代とはいえ、人生の「1%」をここで失うわけにはいかない。

 ふと、音楽が流れ始めた。

「夜島ファイト~ 夜島ファイト~」

 飲み会から帰ってきたのか、顔を熱らせたサラリーマンの軍団がそれぞれのバッグを胴上げしている。

「ちょっと! 気の抜けた応援やめてくれよ……」

 夜島は内心そう毒づきながら、夜の街を駆け抜けていった。
 後には、「夜島ファイトー」だけが残った。
 
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