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第4章:仮想の墓標
4-1:シミュレーター
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巨大なドームの内側は、まるでSF映画のセットのようだった。
中央に鎮座するシミュレーターは、それ自体が一つの生命体のような威圧感を放っている。無数のケーブルが、まるで血管のように床や天井と繋がれ、ドクン、ドクンと低い駆動音を立てていた。
「これより、5人一組のチームに分かれてシミュレーションを行う。チーム分けと、各員の暫定的な役割は、モニターに表示する」
三笠博士の言葉と同時に、壁面の巨大モニターにクルーたちの名前が次々と表示されていく。大地は、自分の名前がどこにあるのか、心臓の鼓動を速めながら目で追った。
【チーム・アルファ】
船長(キャプテン):雨宮 健吾
航法士(ナビゲーター):星乃 しずく
機関士(エンジニア):佐藤 結実
通信士(コミュニケーター):高森 大地
観測手(センサー・オペレーター):大山 五郎
(……最悪だ)
大地は、思わず天を仰いだ。
自己主張の塊のような健吾。他者との接触を完全に拒絶しているしずく。反抗心の権化である結実。そして、自分と同じく、おそらく何の役にも立てないであろう大山。コミュニケーションが成立する未来が、全く見えなかった。
「チーム・アルファ、シミュレーターに入れ」
無慈悲な指示が飛ぶ。
健吾は、待ってましたとばかりに胸を張り、先陣を切ってシミュレーターのハッチをくぐった。結実は「ちっ」と大きな舌打ちをして、だるそうに後に続く。しずくは、相変わらずの無表情で、誰とも視線を合わせずに中へ消えた。
大地と大山は、顔を見合わせた。大山の大きな目には、子犬のような怯えが浮かんでいる。大地は、彼に「頑張ろう」と声をかけることすらできなかった。自分自身が、今にも逃げ出したいほどの恐怖に囚われていたからだ。
シミュレーターの内部は、本物の宇宙船のコクピットを忠実に再現していた。
正面には、宇宙空間を映し出す巨大なメインスクリーン。そして、それを取り囲むように、複雑な計器やコンソールが並んだ座席が五つ、配置されている。
健吾は、当然のように中央のキャプテンシートに陣取った。
「よし、全員、自分の席に着け!航法士は右舷、機関士は左舷後方、通信士は船長席の左だ!」
その指示は、軍隊の号令のように力強く、有無を言わせぬ響きを持っていた。
しずくは、何も言わずに航法士の席に座ると、目の前のコンソールを慣れた手つきで操作し始めた。彼女の指は、まるでピアノを奏でるかのように滑らかにキーボードの上を舞う。
結実は、機関士の席につくと、パイプ椅子にふんぞり返り、腕を組んで天井を睨みつけた。彼女の席のモニターには、船のエネルギーフローやエンジン出力といった、無数のグラフが表示されている。
大地は、恐る恐る自分の席に座った。目の前には、通信ログや周波数を示すモニターが並んでいる。何をどう操作すればいいのか、皆目見当もつかない。隣に座った大山は、座席に体が収まりきらず、窮屈そうに身じろぎしていた。
『シミュレーション・プログラム、起動。ミッションを開始する』
館内アナウンスのような合成音声が響き渡る。
メインスクリーンに映し出されていた漆黒の宇宙空間に、無数の白い点が現れた。
『ミッション:小惑星帯の突破。制限時間は15分。船体の損傷率が50%を超えるか、制限時間を超過した場合、ミッションは失敗とみなされる』
画面に映る小惑星群は、まるで死の礫のようだった。
大地は、自分の手のひらがじっとりと汗で濡れているのを感じた。
中央に鎮座するシミュレーターは、それ自体が一つの生命体のような威圧感を放っている。無数のケーブルが、まるで血管のように床や天井と繋がれ、ドクン、ドクンと低い駆動音を立てていた。
「これより、5人一組のチームに分かれてシミュレーションを行う。チーム分けと、各員の暫定的な役割は、モニターに表示する」
三笠博士の言葉と同時に、壁面の巨大モニターにクルーたちの名前が次々と表示されていく。大地は、自分の名前がどこにあるのか、心臓の鼓動を速めながら目で追った。
【チーム・アルファ】
船長(キャプテン):雨宮 健吾
航法士(ナビゲーター):星乃 しずく
機関士(エンジニア):佐藤 結実
通信士(コミュニケーター):高森 大地
観測手(センサー・オペレーター):大山 五郎
(……最悪だ)
大地は、思わず天を仰いだ。
自己主張の塊のような健吾。他者との接触を完全に拒絶しているしずく。反抗心の権化である結実。そして、自分と同じく、おそらく何の役にも立てないであろう大山。コミュニケーションが成立する未来が、全く見えなかった。
「チーム・アルファ、シミュレーターに入れ」
無慈悲な指示が飛ぶ。
健吾は、待ってましたとばかりに胸を張り、先陣を切ってシミュレーターのハッチをくぐった。結実は「ちっ」と大きな舌打ちをして、だるそうに後に続く。しずくは、相変わらずの無表情で、誰とも視線を合わせずに中へ消えた。
大地と大山は、顔を見合わせた。大山の大きな目には、子犬のような怯えが浮かんでいる。大地は、彼に「頑張ろう」と声をかけることすらできなかった。自分自身が、今にも逃げ出したいほどの恐怖に囚われていたからだ。
シミュレーターの内部は、本物の宇宙船のコクピットを忠実に再現していた。
正面には、宇宙空間を映し出す巨大なメインスクリーン。そして、それを取り囲むように、複雑な計器やコンソールが並んだ座席が五つ、配置されている。
健吾は、当然のように中央のキャプテンシートに陣取った。
「よし、全員、自分の席に着け!航法士は右舷、機関士は左舷後方、通信士は船長席の左だ!」
その指示は、軍隊の号令のように力強く、有無を言わせぬ響きを持っていた。
しずくは、何も言わずに航法士の席に座ると、目の前のコンソールを慣れた手つきで操作し始めた。彼女の指は、まるでピアノを奏でるかのように滑らかにキーボードの上を舞う。
結実は、機関士の席につくと、パイプ椅子にふんぞり返り、腕を組んで天井を睨みつけた。彼女の席のモニターには、船のエネルギーフローやエンジン出力といった、無数のグラフが表示されている。
大地は、恐る恐る自分の席に座った。目の前には、通信ログや周波数を示すモニターが並んでいる。何をどう操作すればいいのか、皆目見当もつかない。隣に座った大山は、座席に体が収まりきらず、窮屈そうに身じろぎしていた。
『シミュレーション・プログラム、起動。ミッションを開始する』
館内アナウンスのような合成音声が響き渡る。
メインスクリーンに映し出されていた漆黒の宇宙空間に、無数の白い点が現れた。
『ミッション:小惑星帯の突破。制限時間は15分。船体の損傷率が50%を超えるか、制限時間を超過した場合、ミッションは失敗とみなされる』
画面に映る小惑星群は、まるで死の礫のようだった。
大地は、自分の手のひらがじっとりと汗で濡れているのを感じた。
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