21 / 21
第22話:聖女様の『愛』は、神様の計算さえも書き換える
しおりを挟む
神殿の中央、光り輝く台座の前で、俺とセシリアは唇を重ねていた。
それは、ただのキスではない。俺の魂、俺の生命(マナ)のすべてを、彼女という器に注ぎ込むための、パイプラインの接続だ。
「……んっ……! んぅ……!♡」
俺のマナが流れ込んだ瞬間、セシリアの身体がビクンと大きく跳ねた。
彼女の子宮――『神の子』が眠る聖域が、俺のエネルギーを貪欲に飲み干していく。
熱い。焼けるように熱い。だが、不快ではない。
それは、世界で一番愛しい存在と一つになる、魂が震えるほどの快感だった。
『け、警告。想定外のエネルギー流入を確認。規定値を突破……!』
始祖の聖女の幻影が、無機質な声を荒らげる。
俺たちの愛は、ただの足し算じゃない。
パパの守る力。ママの慈しむ力。そして、ボクの未来を創る力。
三つの意志が螺旋を描きながら絡み合い、幾何級数的に膨れ上がっていく。
(……カイト……! もっと……もっと奥まで、ください……!)
(ああ……! 俺の全部、持って行け!)
俺は彼女の腰を強く抱きしめ、さらに深く、魂を押し込む。
セシリアの身体が光り輝く。
その光は、犠牲を強いる青白いシステムの光ではない。
温かく、優しく、そして何よりも力強い、黄金色の『生命の光』だ。
『システム再構築(リビルド)……開始。アクセス権限……“家族”により、強制上書き……!?』
幻影が驚愕に目を見開く中、セシリアのお腹から放たれた光の奔流が、神殿の天井――プラネタリウムのような星空へと突き刺さった。
ズズズズズズ……!
神殿全体が、いや、世界そのものが振動しているようだった。
俺たちの光は、古びた回路を焼き切り、錆びついたシステムを次々と塗り替えていく。
「エラー(瘴気)の排除」という冷徹なプログラムが、「生命の共存と循環」という新たな理(ルール)へと書き換わっていく。
「あぁっ……! すごい……! 世界が……わたくしの中で……新しくなっていく……!♡」
セシリアが、恍惚の表情で空を仰ぐ。
彼女を通して、世界中のマナが浄化され、喜びの歌を歌っているのが聞こえる。
北の凍土も、南の瘴気の森も、すべてが光に包まれ、本来の美しい姿を取り戻していく。
『……信じられない……。これほど不確定で、これほど温かいエネルギーが……存在するなんて……』
始祖の聖女の幻影は、眩しそうに俺たちを見つめ、そして、どこか満足げに微笑んだ。
『……任せましょう。あなたたちの創る、新しい未来に』
その言葉と共に、幻影は光の粒子となって消滅した。
同時に、神殿を満たしていた強烈な光が、弾けるように拡散し――そして、静寂が訪れた。
「……はぁ……はぁ……」
俺は、崩れ落ちそうになるセシリアを支え、床に座り込んだ。
全身の力が抜け、指一本動かせないほどの脱力感。だが、心は澄み渡るように晴れやかだった。
腕の中には、荒い息を吐きながらも、頬を染め、幸せそうに微笑むセシリアがいる。
そして。
「……カイト……。この子……」
彼女が、愛おしそうにお腹に手を当てた。
そこには、先ほどまでの激しい脈動とは違う、トクトクという、穏やかで力強い鼓動があった。
「……生きてる。元気だ」
「はい……。わたくしたち、守れたんですね……」
俺たちは、泥のように疲れ切っていたが、互いに顔を見合わせ、笑い合った。
神殿の天井には、システムのエラー表示ではなく、本物の星空のような、美しい光の粒が優しく瞬いていた。
アレクシスが、涙ぐみながら剣を収め、俺たちに向かって深々と頭を下げた。
「……見事です。これぞ、真の勇者と聖女の奇跡……」
こうして、俺たちの長くて短い、家族のための冒険は終わった。
世界は救われた。誰の犠牲もなく。
ただ、俺たちの愛の力だけで。
俺は、セシリアの額にキスをした。
「帰ろう、セシリア。俺たちの家に」
「はい……あなた」
俺たちは、手を取り合って立ち上がった。
その手は、これからもずっと、離れることはないだろう。
新しい世界と、やがて生まれてくる新しい命と共に。
【完】
それは、ただのキスではない。俺の魂、俺の生命(マナ)のすべてを、彼女という器に注ぎ込むための、パイプラインの接続だ。
「……んっ……! んぅ……!♡」
俺のマナが流れ込んだ瞬間、セシリアの身体がビクンと大きく跳ねた。
彼女の子宮――『神の子』が眠る聖域が、俺のエネルギーを貪欲に飲み干していく。
熱い。焼けるように熱い。だが、不快ではない。
それは、世界で一番愛しい存在と一つになる、魂が震えるほどの快感だった。
『け、警告。想定外のエネルギー流入を確認。規定値を突破……!』
始祖の聖女の幻影が、無機質な声を荒らげる。
俺たちの愛は、ただの足し算じゃない。
パパの守る力。ママの慈しむ力。そして、ボクの未来を創る力。
三つの意志が螺旋を描きながら絡み合い、幾何級数的に膨れ上がっていく。
(……カイト……! もっと……もっと奥まで、ください……!)
(ああ……! 俺の全部、持って行け!)
俺は彼女の腰を強く抱きしめ、さらに深く、魂を押し込む。
セシリアの身体が光り輝く。
その光は、犠牲を強いる青白いシステムの光ではない。
温かく、優しく、そして何よりも力強い、黄金色の『生命の光』だ。
『システム再構築(リビルド)……開始。アクセス権限……“家族”により、強制上書き……!?』
幻影が驚愕に目を見開く中、セシリアのお腹から放たれた光の奔流が、神殿の天井――プラネタリウムのような星空へと突き刺さった。
ズズズズズズ……!
神殿全体が、いや、世界そのものが振動しているようだった。
俺たちの光は、古びた回路を焼き切り、錆びついたシステムを次々と塗り替えていく。
「エラー(瘴気)の排除」という冷徹なプログラムが、「生命の共存と循環」という新たな理(ルール)へと書き換わっていく。
「あぁっ……! すごい……! 世界が……わたくしの中で……新しくなっていく……!♡」
セシリアが、恍惚の表情で空を仰ぐ。
彼女を通して、世界中のマナが浄化され、喜びの歌を歌っているのが聞こえる。
北の凍土も、南の瘴気の森も、すべてが光に包まれ、本来の美しい姿を取り戻していく。
『……信じられない……。これほど不確定で、これほど温かいエネルギーが……存在するなんて……』
始祖の聖女の幻影は、眩しそうに俺たちを見つめ、そして、どこか満足げに微笑んだ。
『……任せましょう。あなたたちの創る、新しい未来に』
その言葉と共に、幻影は光の粒子となって消滅した。
同時に、神殿を満たしていた強烈な光が、弾けるように拡散し――そして、静寂が訪れた。
「……はぁ……はぁ……」
俺は、崩れ落ちそうになるセシリアを支え、床に座り込んだ。
全身の力が抜け、指一本動かせないほどの脱力感。だが、心は澄み渡るように晴れやかだった。
腕の中には、荒い息を吐きながらも、頬を染め、幸せそうに微笑むセシリアがいる。
そして。
「……カイト……。この子……」
彼女が、愛おしそうにお腹に手を当てた。
そこには、先ほどまでの激しい脈動とは違う、トクトクという、穏やかで力強い鼓動があった。
「……生きてる。元気だ」
「はい……。わたくしたち、守れたんですね……」
俺たちは、泥のように疲れ切っていたが、互いに顔を見合わせ、笑い合った。
神殿の天井には、システムのエラー表示ではなく、本物の星空のような、美しい光の粒が優しく瞬いていた。
アレクシスが、涙ぐみながら剣を収め、俺たちに向かって深々と頭を下げた。
「……見事です。これぞ、真の勇者と聖女の奇跡……」
こうして、俺たちの長くて短い、家族のための冒険は終わった。
世界は救われた。誰の犠牲もなく。
ただ、俺たちの愛の力だけで。
俺は、セシリアの額にキスをした。
「帰ろう、セシリア。俺たちの家に」
「はい……あなた」
俺たちは、手を取り合って立ち上がった。
その手は、これからもずっと、離れることはないだろう。
新しい世界と、やがて生まれてくる新しい命と共に。
【完】
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ドすけべボディのクイーンドラゴンゾンビ娘にスキルもレベルも吸収され、快楽に溺れてラブラブ夫婦状態になるまでマゾイキする話【戦闘ログ風】
フォトンうさぎ
ファンタジー
◆勇者は魔王を倒した! しかしなんと、むちむちたぷたぷなドスケベボディのクイーンドラゴンゾンビ娘がいる部屋に落ちてしまった!
◆勇者はクイーンドラゴンゾンビ娘に劣情を抱いてしまった! クイーンドラゴンゾンビ娘のアビスヴェルは、勇者に興味を抱いている!
◆勇者とアビスヴェルは舌を絡め合いながらキスを続けている! 勇者のエナジーが吸い取られていく……!
戦闘ログ風な話です。勇者がどちゃシコ体形で惚れやすい白髪クイーンドラゴンゾンビ娘に惚れてしまい、エナジードレインでレベルもスキルも何もかも捧げて、状態異常になりながら婚約交尾します。
表紙は『NovelAI』に出力していただきました。
※旧題『むちむちドスケベボディのクイーンドラゴンゾンビ娘にスキルもレベルも何もかもを奪われてマゾイキする話 戦闘ログ風』
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について
沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。
クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる
柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった!
※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる