200年級ニートが魔王討伐という名目で厄介払いされる話

盈月

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第一章 陰謀編

陰謀Ⅱ 違和感

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 イェーゴ村。魔族との争いの最前線であることを除けば、至って普通の村。

「アタラクシアから遠路はるばる、ありがとうございます。」

 村長らしき老人が、目の前の修道士たちに向けて頭を下げる。10人ほどの修道士たちは、皆剣を提げ武装している。

「頭を上げてください。私たちは皆様と共に戦うために来たのです。頭を下げたままでは戦えませんよ!」

 リーダーと思しき女性が、村長に向けてそう促す。

「いえいえ、恐れ多くも聖剣の乙女にまで来ていただくとは……」

 一人、一際荘厳な雰囲気の剣を提げた少女が、恥ずかしそうに俯く。

「今回は魔族の四天王との交戦ゆえ、最大戦力を投入することになりました。いけるね、アムリス?」

 アムリスと呼ばれた少女は、迷いを振り払うかのように頭を振り、

「あの!私も精一杯頑張りますので!一緒にこのイェーゴの村を守りましょう!」

 と、村民を鼓舞する。

「セリシア隊長、私も聖剣も準備万端でございます!それに、あの塔に攫われた村人たちを一刻も早く解放したいのです!」
「うむ!その意気や良し!」

 村人と修道士たちの作戦会議が続く……。


 同時刻、王都フォーゲルシュタットと聖域アタラクシアの境に聳える山の麓、その関所の前でアルエットとルーグは足止めされていた。

「まさか、女王様の公式書類をもってしても通れないとはな。」

 どうやら思ったよりイェーゴの事情が大きいらしい。アタラクシアから戦える人員がそちらに流れたようで、今のアタラクシアの警備が普段より厳重になっている。念の為とお母様に書いてもらった紹介状やらの書類がなければ、我々は門前払いされていただろう。

「もしかすると、聖剣の乙女とやらはアタラクシアにはいないのかもね。イェーゴ……もしくは他の前線の都市に派兵されているかもしれない。」
「イェーゴ……女王蜂、ですか。」
「だと、いいけどね。互いの目的が一致するし。」

 二人はイェーゴの方角を見る。村の近くには、土でできた巨大な塔ができている。

 蜂の魔族――スパイン・ホーネットは地上に蟻塚のような巣を作り、そこでコロニーを構築する。その巣の大きさと女王の力は比例し、魔族四天王級ともなれば擁する力もコロニーも絶大であり、もはやその規模は一国を凌駕するとも言われている。

(スパイン・ホーネットの数は脅威だが、1匹の力はまだ非力な方の魔族だ。戦い方によっては今の我々でも相手取れるはず……)

 そんなことを考えていると、関所から兵士が戻ってきた。

「アルエット殿下、お待たせしてしまい申し訳ございません。今アタラクシアからの報告がございまして、聖剣の乙女アムリス・ミレア様は現在イェーゴの村人誘拐事件の解決に向かっているそうです。」
「村人が誘拐されている!?」

 それは初耳だ……というか、私が調べた限り女王蜂がそんな手段を取るとは考えにくい。

「アルエット様、どうされました?」

 いや、調べたことと事実が異なることなんてままあることじゃないか。結局倒さなければならない敵である以上、迷いは不要だ。

「……ルーグ、大丈夫。なんでもないよ。急ごう!」

 二人はイェーゴに向かって走り出した。

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