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第一章 陰謀編
陰謀Ⅹ 核心
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「嘘……」
カトレアは無造作に槍を引き抜いた。セリシアが力なく崩れる。
「セリシア隊長!!」
「待つんだ!アムリスさん!!」
ルーグの制止も聞かず、アムリスはセリシアの骸に駆け寄り、聖魔法を使おうとする。しかし、あくまで聖魔法は攻撃を防いだり傷を癒すための魔法であり、死人を呼び戻す魔法は存在しない。アムリスは無力感と残酷な現実に打ちひしがれ、骸に縋り涙する。その姿を、カトレアはただじっと、ひたすら見下ろし続けていた。
ルーグとアルエットが追いつき、無防備なアムリスの背中を守るように、カトレアと対峙する。カトレアも息があがっており、蓄積されているダメージは少なくない。このまま押し切ってしまおうと、二人は剣を握る手に力を込める。
だが、カトレアは武器を捨て、
「お前が、王女アルエットだな?」
アルエットに尋ねた。
「そうだ、と言ったら?」
「私は『女王蜂』ロサージュ様の尖兵カトレア。魔王様から王女アルエットの抹殺命令を受けた者だ。」
再び、アルエットとルーグに緊張が走る。沈黙が場を支配するが、間を待たずカトレアが口を開く。
「取り引きをしないか?」
「何?」
「お前たちの目的は女王様の命だろう?今から女王様の御前まで私が案内してやる。」
本当なら、これほど魅力的な提案はない。本当ならば。
「アルエット様、敵の言うことを真に受けてはいけません。おおかた、自分たちのテリトリーに持ち込んで数で押し潰すつもりでしょう。」
「ああ、私も同意見だ。」
「……女王様のもとへ着くまでは、手出しをしないことを誓う。もとより、そのような方法など取るつもりはない。」
「だとしても、蜂にとってのメリットが感じられない。危険人物の侵入を許してまで得られるものが何なのか分からないわ。」
「メリットならある。残った兵士と満身創痍の私だけでお前たち三人を相手取るのは、はっきり言って無理だ。そして、無理がもう一つ。お前たちじゃ女王様を殺すことは無理だ。」
カトレアからの威圧感が増大する。女王を殺せないという彼女の確信に抗えない説得力を感じてしまう。
「無理じゃない、とでも言いたげだな。まあいい。それに私にもお前たちと女王に聞かねばならんことがある。」
三人は観念し、武器をしまう。
「……あんたの口車に乗ってやるわ。アムリス、念の為に聖魔法の防御壁を展開しておいて。」
スパイン・ホーネットのコロニー内部。殺風景な外観と裏腹に内部は想像以上に明るく、また大部分が湿った土でできていることもあり、気温はやや高く感じる。大量の働きバチが所狭しと動き回っているのも相まって、女王蜂の居場所までひたすら登っていくだけでもそれなりに体力を消耗する。
「それで、聞きたいことって?」
「……我々が村人を攫っている、ということについてだ。」
「おいおい、攫った側の言うセリフじゃないだろ。」
「すまない。私も10日ほど留守にしていて、本当に何が何だか分からないんだ。魔王城から帰って来てみれば人間から襲撃されていて……。だから、女王様も問い質せねばならんのだ。」
「すみません、それなら私がお答えします。」
しばらく黙っていたアムリスが口を開いた。
「ちょうど1週間ほど前、イェーゴ村の村人が二人、突如として行方不明となりました。村長さんがアタラクシアへ要請して私たちが派遣され、捜索隊を組んだりして探したんですが結局見つからず、最終的に魔族による誘拐だと結論付けられたんです。」
「はあ……?」
なんとも杜撰な話だ。魔族の誘拐だという根拠が何も無くないか?それに……
「すみません、それでなぜ我々が犯人扱いされているのか全く分からないんですが。」
その通り。確かにここら一帯で大がかりなことができる魔族の勢力は限られてはいるが、蜂の仕業である証拠が何もない。
「そういえば、村長さんがそう言ってたからみんな信じてましたたけど、確かに変ですね。」
「おい、それって……」
「村長が真っ黒みたいね。恐らく、修道士が殺された話も。」
一行に緊張が走る。
「だが、動機が謎だ。それに、最後に村長が殺されているのも不可解というか……、別に黒幕がいると考えた方がいいかもしれない。」
そうこう話しているうちに、一際大きな扉の前に到着した。
「着きました。この先に女王様がいます。」
「アムリス、準備はできてる?」
「はい。いつでも。」
「開けますね。」
カトレアが扉を開けた瞬間。悲鳴が響いた。
「どうして……あなたが!?」
玉座の前に佇んでいたのは、イェーゴ村の村長。彼の足元には、ロサージュの首が転がっていた。
カトレアは無造作に槍を引き抜いた。セリシアが力なく崩れる。
「セリシア隊長!!」
「待つんだ!アムリスさん!!」
ルーグの制止も聞かず、アムリスはセリシアの骸に駆け寄り、聖魔法を使おうとする。しかし、あくまで聖魔法は攻撃を防いだり傷を癒すための魔法であり、死人を呼び戻す魔法は存在しない。アムリスは無力感と残酷な現実に打ちひしがれ、骸に縋り涙する。その姿を、カトレアはただじっと、ひたすら見下ろし続けていた。
ルーグとアルエットが追いつき、無防備なアムリスの背中を守るように、カトレアと対峙する。カトレアも息があがっており、蓄積されているダメージは少なくない。このまま押し切ってしまおうと、二人は剣を握る手に力を込める。
だが、カトレアは武器を捨て、
「お前が、王女アルエットだな?」
アルエットに尋ねた。
「そうだ、と言ったら?」
「私は『女王蜂』ロサージュ様の尖兵カトレア。魔王様から王女アルエットの抹殺命令を受けた者だ。」
再び、アルエットとルーグに緊張が走る。沈黙が場を支配するが、間を待たずカトレアが口を開く。
「取り引きをしないか?」
「何?」
「お前たちの目的は女王様の命だろう?今から女王様の御前まで私が案内してやる。」
本当なら、これほど魅力的な提案はない。本当ならば。
「アルエット様、敵の言うことを真に受けてはいけません。おおかた、自分たちのテリトリーに持ち込んで数で押し潰すつもりでしょう。」
「ああ、私も同意見だ。」
「……女王様のもとへ着くまでは、手出しをしないことを誓う。もとより、そのような方法など取るつもりはない。」
「だとしても、蜂にとってのメリットが感じられない。危険人物の侵入を許してまで得られるものが何なのか分からないわ。」
「メリットならある。残った兵士と満身創痍の私だけでお前たち三人を相手取るのは、はっきり言って無理だ。そして、無理がもう一つ。お前たちじゃ女王様を殺すことは無理だ。」
カトレアからの威圧感が増大する。女王を殺せないという彼女の確信に抗えない説得力を感じてしまう。
「無理じゃない、とでも言いたげだな。まあいい。それに私にもお前たちと女王に聞かねばならんことがある。」
三人は観念し、武器をしまう。
「……あんたの口車に乗ってやるわ。アムリス、念の為に聖魔法の防御壁を展開しておいて。」
スパイン・ホーネットのコロニー内部。殺風景な外観と裏腹に内部は想像以上に明るく、また大部分が湿った土でできていることもあり、気温はやや高く感じる。大量の働きバチが所狭しと動き回っているのも相まって、女王蜂の居場所までひたすら登っていくだけでもそれなりに体力を消耗する。
「それで、聞きたいことって?」
「……我々が村人を攫っている、ということについてだ。」
「おいおい、攫った側の言うセリフじゃないだろ。」
「すまない。私も10日ほど留守にしていて、本当に何が何だか分からないんだ。魔王城から帰って来てみれば人間から襲撃されていて……。だから、女王様も問い質せねばならんのだ。」
「すみません、それなら私がお答えします。」
しばらく黙っていたアムリスが口を開いた。
「ちょうど1週間ほど前、イェーゴ村の村人が二人、突如として行方不明となりました。村長さんがアタラクシアへ要請して私たちが派遣され、捜索隊を組んだりして探したんですが結局見つからず、最終的に魔族による誘拐だと結論付けられたんです。」
「はあ……?」
なんとも杜撰な話だ。魔族の誘拐だという根拠が何も無くないか?それに……
「すみません、それでなぜ我々が犯人扱いされているのか全く分からないんですが。」
その通り。確かにここら一帯で大がかりなことができる魔族の勢力は限られてはいるが、蜂の仕業である証拠が何もない。
「そういえば、村長さんがそう言ってたからみんな信じてましたたけど、確かに変ですね。」
「おい、それって……」
「村長が真っ黒みたいね。恐らく、修道士が殺された話も。」
一行に緊張が走る。
「だが、動機が謎だ。それに、最後に村長が殺されているのも不可解というか……、別に黒幕がいると考えた方がいいかもしれない。」
そうこう話しているうちに、一際大きな扉の前に到着した。
「着きました。この先に女王様がいます。」
「アムリス、準備はできてる?」
「はい。いつでも。」
「開けますね。」
カトレアが扉を開けた瞬間。悲鳴が響いた。
「どうして……あなたが!?」
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