87 / 165
第四章 亡国編
亡国Ⅵ 朝①
しおりを挟む
夜が明けた。クニシロはそれぞれの部屋を見回りアルエット達を起こしていく。
「それじゃ、留守番よろしくね。」
身支度を済ませたアルエットは、玄関で見送るクニシロにそう言った。クニシロは深々と頭を下げている。
「私が言うのもなんですが、お気を付けて……無事に帰ってくるのをお待ちしております。」
「ありがとう、クニシロ。」
アルエットはそう言って、クニシロをぎゅっと抱き締める。クニシロは少し驚きながらも、心地よさそうにアルエットの胸に顔を埋める。その瞬間、現世と天界の狭間の扉が勢いよく開いた。
「すみません!お待たせしました!!」
「アムリスが寝坊するなんて珍しいわね。何かあったのかしら?」
「いえ、なんでもありません。ところで、ガステイルは……?」
「ガステイルなら家の外で待っているわ。それじゃそろそろ行こうか。」
「はいっ!」
アルエットとアムリスはそう言って豪邸を飛び出した。クニシロはその二人の後ろ姿を眩しそうに見つめていたが、ふうと一つため息をつき家の奥へと戻っていった。
アルエット達が寝泊まりした豪邸からグレニアドールの領主の館までは歩いて10分もかからなかった。館の門の前で、アルエットは神妙な顔で呟く。
「ここに、デステールがいるのね……。」
「大きな建物ですが、別荘の方が大きくないですか?」
「ガステイルって結構失礼なこと言いますよね。」
「アムリス、昨日からなんか怒ってる?」
「いえ、別に。」
「まあとにかく、昨日シイナ達と約束した時間までまだ少しあるし、ゆっくりしておこうか。」
「その必要はございませんよ。」
突如、アルエット達の背後から声がする。アルエットが振り向くと、そこにはシイナが立っていた。
「こちらの準備も既に終わっておりますので、中に入っていただきます。8分ほど早いですが、お父様も許してくださるでしょう。」
「シイナ、いつの間に……」
「いつ……そうですね、皆様が到着されたのを確認しお父様に許可を得てからですので少々遅くなりました。たった今こちらに馳せ参じたところでございます。」
シイナはそう言いながら館の門を開き、入り口までの道を歩き始める。アルエット達もシイナに続いていく。アルエットはシイナに質問する。
「この街の領主にしては、思ったより大きくない家に住んでいるのね。」
「はい。皆様に昨日お貸ししたあの別荘はお父様がご自身で買われた家ですが、この家はお父様がここに来る前から使われていた家ですので。」
「なるほど、前の領主から奪い取った家ってことね。」
「厳密には違います。お父様は前領主の一族を殺すことなくこの家に住まわせ続けています。人間のことは人間に任せるため……とお父様は仰っていました。」
館の入り口に到着し、シイナはそう言って扉の片方を引き、中へと促す。
「どうぞ。奥の食堂にて、お父様がお待ちしております。」
「……失礼するわ。」
アルエットがまず足を踏み入れ、ガステイル、アムリス、最後にシイナが中へと入っていった。玄関のすぐ先の広間にはシャンデリアが吊るされ、直交する廊下に正面の奥には2階へ続く階段が続いていた。その荘厳な雰囲気に、アルエットはごくりと息を呑む。扉を閉めたシイナが再びアルエット達を案内するように口を開く。
「殿下、こちらです。」
シイナはそう言って、階段の脇にある扉へ向かう。扉を開け、アルエット達を中へ入れていく。広間ほどではないとはいえ食堂も十分に広く、中央には燭台で飾られた長テーブルが用意されていた。アルエットは部屋の右奥と左奥にある扉に気がついた。
「あの扉は?」
「右がキッチン、左がお父様の執務室に繋がっております。お茶を淹れてお父様をお呼び致しますので、お好きな席でお待ちください。」
「あ、ああ。」
シイナはキッチンに向かい、四人分のティーカップとポットを用意しお茶を注いだ。アルエット達は長テーブルに置かれたティーカップの前の椅子に座ったが、誰もお茶を飲もうとはしなかった。シイナは左の扉の前まで行き、アルエット達に一礼をしてからノックし、執務室に入っていった。それを見たガステイルが、お茶の様子を探り始める。
「ガステイル、どう?毒とかは……」
「匂いは何の変哲もない普通の紅茶です。少なくとも俺の知る限り毒草などによる罠ではなさそうです。」
「アムリス、聖魔法は……」
「やってみましたが、こちらも毒物や薬などは検知されませんでした。私も普通の紅茶だと思います。」
(ティーカップは四つ、私たちだけじゃなくデステールの分ということね。私たちに罠を仕掛けるならティーカップが混ざらないようにデステールの分だけ後回しにするよね。シイナも私たちにカップを配るのではなく、テーブルにカップを置いていた……それは、誰がどのカップを手にしてもいいと言わんばかりに。)
紅茶を警戒するアルエット一行がそんな問答をしている間に、左側の扉がギイと音を立ててゆっくりと開く。それに反応し臨戦態勢をとるアルエット一行だったが、シイナと共に現れた細身の男を見たアムリスが驚きの声を上げた。
「貴方は!?」
「やあ、昨日はよく眠れたかい?」
「そんな、貴方が……嘘……。」
「守賢将デステール・グリード……!」
「久しぶりだねアルエット……ようやく、僕の元へ来てくれたんだね。」
デステールはそう言って微笑み、長テーブルの椅子に座った。
「それじゃ、留守番よろしくね。」
身支度を済ませたアルエットは、玄関で見送るクニシロにそう言った。クニシロは深々と頭を下げている。
「私が言うのもなんですが、お気を付けて……無事に帰ってくるのをお待ちしております。」
「ありがとう、クニシロ。」
アルエットはそう言って、クニシロをぎゅっと抱き締める。クニシロは少し驚きながらも、心地よさそうにアルエットの胸に顔を埋める。その瞬間、現世と天界の狭間の扉が勢いよく開いた。
「すみません!お待たせしました!!」
「アムリスが寝坊するなんて珍しいわね。何かあったのかしら?」
「いえ、なんでもありません。ところで、ガステイルは……?」
「ガステイルなら家の外で待っているわ。それじゃそろそろ行こうか。」
「はいっ!」
アルエットとアムリスはそう言って豪邸を飛び出した。クニシロはその二人の後ろ姿を眩しそうに見つめていたが、ふうと一つため息をつき家の奥へと戻っていった。
アルエット達が寝泊まりした豪邸からグレニアドールの領主の館までは歩いて10分もかからなかった。館の門の前で、アルエットは神妙な顔で呟く。
「ここに、デステールがいるのね……。」
「大きな建物ですが、別荘の方が大きくないですか?」
「ガステイルって結構失礼なこと言いますよね。」
「アムリス、昨日からなんか怒ってる?」
「いえ、別に。」
「まあとにかく、昨日シイナ達と約束した時間までまだ少しあるし、ゆっくりしておこうか。」
「その必要はございませんよ。」
突如、アルエット達の背後から声がする。アルエットが振り向くと、そこにはシイナが立っていた。
「こちらの準備も既に終わっておりますので、中に入っていただきます。8分ほど早いですが、お父様も許してくださるでしょう。」
「シイナ、いつの間に……」
「いつ……そうですね、皆様が到着されたのを確認しお父様に許可を得てからですので少々遅くなりました。たった今こちらに馳せ参じたところでございます。」
シイナはそう言いながら館の門を開き、入り口までの道を歩き始める。アルエット達もシイナに続いていく。アルエットはシイナに質問する。
「この街の領主にしては、思ったより大きくない家に住んでいるのね。」
「はい。皆様に昨日お貸ししたあの別荘はお父様がご自身で買われた家ですが、この家はお父様がここに来る前から使われていた家ですので。」
「なるほど、前の領主から奪い取った家ってことね。」
「厳密には違います。お父様は前領主の一族を殺すことなくこの家に住まわせ続けています。人間のことは人間に任せるため……とお父様は仰っていました。」
館の入り口に到着し、シイナはそう言って扉の片方を引き、中へと促す。
「どうぞ。奥の食堂にて、お父様がお待ちしております。」
「……失礼するわ。」
アルエットがまず足を踏み入れ、ガステイル、アムリス、最後にシイナが中へと入っていった。玄関のすぐ先の広間にはシャンデリアが吊るされ、直交する廊下に正面の奥には2階へ続く階段が続いていた。その荘厳な雰囲気に、アルエットはごくりと息を呑む。扉を閉めたシイナが再びアルエット達を案内するように口を開く。
「殿下、こちらです。」
シイナはそう言って、階段の脇にある扉へ向かう。扉を開け、アルエット達を中へ入れていく。広間ほどではないとはいえ食堂も十分に広く、中央には燭台で飾られた長テーブルが用意されていた。アルエットは部屋の右奥と左奥にある扉に気がついた。
「あの扉は?」
「右がキッチン、左がお父様の執務室に繋がっております。お茶を淹れてお父様をお呼び致しますので、お好きな席でお待ちください。」
「あ、ああ。」
シイナはキッチンに向かい、四人分のティーカップとポットを用意しお茶を注いだ。アルエット達は長テーブルに置かれたティーカップの前の椅子に座ったが、誰もお茶を飲もうとはしなかった。シイナは左の扉の前まで行き、アルエット達に一礼をしてからノックし、執務室に入っていった。それを見たガステイルが、お茶の様子を探り始める。
「ガステイル、どう?毒とかは……」
「匂いは何の変哲もない普通の紅茶です。少なくとも俺の知る限り毒草などによる罠ではなさそうです。」
「アムリス、聖魔法は……」
「やってみましたが、こちらも毒物や薬などは検知されませんでした。私も普通の紅茶だと思います。」
(ティーカップは四つ、私たちだけじゃなくデステールの分ということね。私たちに罠を仕掛けるならティーカップが混ざらないようにデステールの分だけ後回しにするよね。シイナも私たちにカップを配るのではなく、テーブルにカップを置いていた……それは、誰がどのカップを手にしてもいいと言わんばかりに。)
紅茶を警戒するアルエット一行がそんな問答をしている間に、左側の扉がギイと音を立ててゆっくりと開く。それに反応し臨戦態勢をとるアルエット一行だったが、シイナと共に現れた細身の男を見たアムリスが驚きの声を上げた。
「貴方は!?」
「やあ、昨日はよく眠れたかい?」
「そんな、貴方が……嘘……。」
「守賢将デステール・グリード……!」
「久しぶりだねアルエット……ようやく、僕の元へ来てくれたんだね。」
デステールはそう言って微笑み、長テーブルの椅子に座った。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~
あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。
彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。
剣も魔法も得意ではない主人公は、
最強のメイドたちに守られながら生きている。
だが彼自身は、
「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。
自分にできることは何か。
この世界で、どう生きていくべきか。
最強の力を持つ者たちと、
何者でもない一人の青年。
その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。
本作は、
圧倒的な安心感のある日常パートと、
必要なときには本格的に描かれる戦い、
そして「守られる側の成長」を軸にした
完結済み長編ファンタジーです。
シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。
最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる