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第五章 彷徨編
彷徨Ⅱ 再会
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ウインドール……"竜の牙"の麓に存在する小さな村である。教会の庇護下にある村で魔物の脅威からも縁遠く、長閑で平和な村。アムリスは農道をゆっくりと歩いていた。
「イェーゴのあれ以来ね。みんな、元気にしてるかなぁ……」
アムリスはにこやかに道を進んでいく。やがてアムリスは一軒の家の前に到着した。アムリスは大きく息を吐いて気を引き締めると、勢いよくドアを開いた。
「よし……ただいま!!みんな!」
アムリスの声が家中に響いた瞬間、
「兄ちゃんのバカヤロー!!」
家の奥から子供の声が轟いた。すると家の奥から本が投げられ、アムリスの顔に突き刺さる。
「むぎゅう」
「ははっ、アウグスト!どこ投げてんだよ……あっ!!」
「ユリウス兄ちゃんが避けるからだよ……ああっ!!!」
アウグストとユリウスと呼ばれた男の子二人組が玄関まで走ってくると、そこに立っていたアムリスを見つけ腰を抜かす。
「ね、姉ちゃん……おかえり……」
「姉ちゃん!ユリウス兄ちゃんが悪いんだよ!お兄ちゃんが僕のプリン食べたんだ!!」
「なっ、本を投げたのはお前だろ!?お前が変なとこに投げてそれが姉ちゃんに当たったんだ!」
「お兄ちゃんがプリンを食べなかったら本を投げなかったんだ!元はといえばお兄ちゃんが悪いんでしょ!」
アウグストとユリウスはアムリスそっちのけで二人で言い合いを始める。アムリスは自分に投げられた本を拾い、張り付けたような笑顔で二人に言い渡す。
「二人共、そこに座りなさい。」
「「は……はい。」」
「私、顔に本をぶつけられたんだけど、まず私に言うことあるわよね?」
「「ご、ごめんなさい……」」
「はい、よろしい。それで……何?プリンを食べられて喧嘩しているの?」
「そうだよ、お兄ちゃんが僕の分を食べたんだ!」
「はぁ……それじゃ、ユリウスはアウグストにそのことを謝りなさい。それで私が一緒に代わりのお菓子を買ってあげるわ。それでいい?」
アウグストはコクリと頷いた。ユリウスは嫌そうな顔をし、アウグストから目を逸らしながら、
「わ、悪かったよ。勝手にプリン食ってさぁ。」
「はい、ユリウスは謝ったわね。それじゃアウグストは一緒に出かけましょうか。」
「分かった……姉ちゃん、ありがとう。」
「いいから、早く準備してきなさい。」
「うん!」
アウグストは外に出るための準備をするため奥へと戻って行った。アムリスは邪魔な荷物を玄関の一角に置き、アウグストの準備を待っていた。
ウインドールに一軒だけ建っている菓子屋にて、アウグストはメニュー表に張り付くように見ていた。
「お姉ちゃん!ほんとに好きなのを選んでいいの!?」
「もちろん、ゆっくり選びなさい。」
「わぁ!アムリス姉ちゃん、ありがとうね!」
アウグストは先程とは違い満面の笑みでアムリスにお礼を告げる。アムリスはやれやれといった様子で再びメニュー表に張り付くアウグストを優しく見守っていた。すると、店の奥から
「アムリス?今アムリスって言ったのかい?」
そう言いながら、一人の女性が厨房から現れる。アムリスはその女性を見て驚き目を見張る。
「まさか……マリアさん!元気になったんですね!!」
「ああ!アンタのおかげで、この通りさ。」
厨房から出てきた女性は、かつてのアムリスの同僚アレックスの母親、マリアであった。イェーゴの事件直後に会った時の憔悴しきった姿はもはや見る影もなく、かつての勝ち気で大らかな女性に戻っていた。
「良かったです……私ずっとマリアさんのことが心配だったから。」
「あっはっはっ!アムリスったら、私の心配なんて10年早いわよ。母は強いんだからねぇ!」
「うん……そうね。でも、本当に良かった……!」
アムリスはマリアの手を取り、涙を流しながら自分のように喜んでいた。マリアはそんなアムリスの表情を見つめ、優しい眼差しを向けながら口を開く。
「でもね、私があの時からこうやって仕事できるようになるまで回復できたのは間違いなく貴女のおかげ……本当にありがとうね。」
「マリアさん……」
「だけど、貴女には魔王を倒す使命がある。私なんかへの心配がそれを邪魔してはならないのよ。」
「……邪魔なんかじゃありませんよ、マリアさん。心配だけじゃない。私の感情で邪魔なものなんてありませんから。」
「……そう。それなら何も言わないわ。でも、今日こうして会えてよかった。」
「はい。私もそう思います。」
アムリスは指で涙を拭い、マリアににこりと笑いかけて言った。それと同時にアウグストが
「姉ちゃん、これにする!」
と大きな声で言い放った。その声量にアムリスは少しビクッとするが、アウグストに優しく微笑みかけてからマリアに向き直り言った。
「それじゃ、マリアさん。これ三つお願いします。」
「はいよ。」
マリアは注文を受け厨房へと戻る。アウグストはアムリスが三つ買ったことを疑問に感じアムリスに尋ねた。
「三つ?僕と、姉ちゃんと……」
「ユリウスの分。仲間外れにしちゃ悪いでしょう?」
「そっか……そうだね!」
アウグストとアムリスは笑顔で顔を見合わせ、お菓子を受け取り店を出た。アウグストは上機嫌な足取りで帰り道を進んで行く。
「ユリウス兄ちゃん、喜ぶだろうなぁ!」
「そうだと嬉しいね。」
「そうだよ!僕が選んで姉ちゃんが買ってくれたんだもん!」
「自信満々なのね、アウグストは……」
アムリスはそう言いながらアウグストの頬に触れようとする。しかしその瞬間、何かが爆発したかのような轟音が後方から響いた。
「何事ッ……!!」
パニックになり音のしたところから逃げ出す人々の波の中、アウグストをかばいながら音の方を見たアムリスは、その光景を見て絶句する。
「貴女は!!」
「……聖剣の女!?なぜお前がここに?」
そこに居たのは、魔王軍四天王『戦乙女』ラムディア・ストームヴェルンであった。
「イェーゴのあれ以来ね。みんな、元気にしてるかなぁ……」
アムリスはにこやかに道を進んでいく。やがてアムリスは一軒の家の前に到着した。アムリスは大きく息を吐いて気を引き締めると、勢いよくドアを開いた。
「よし……ただいま!!みんな!」
アムリスの声が家中に響いた瞬間、
「兄ちゃんのバカヤロー!!」
家の奥から子供の声が轟いた。すると家の奥から本が投げられ、アムリスの顔に突き刺さる。
「むぎゅう」
「ははっ、アウグスト!どこ投げてんだよ……あっ!!」
「ユリウス兄ちゃんが避けるからだよ……ああっ!!!」
アウグストとユリウスと呼ばれた男の子二人組が玄関まで走ってくると、そこに立っていたアムリスを見つけ腰を抜かす。
「ね、姉ちゃん……おかえり……」
「姉ちゃん!ユリウス兄ちゃんが悪いんだよ!お兄ちゃんが僕のプリン食べたんだ!!」
「なっ、本を投げたのはお前だろ!?お前が変なとこに投げてそれが姉ちゃんに当たったんだ!」
「お兄ちゃんがプリンを食べなかったら本を投げなかったんだ!元はといえばお兄ちゃんが悪いんでしょ!」
アウグストとユリウスはアムリスそっちのけで二人で言い合いを始める。アムリスは自分に投げられた本を拾い、張り付けたような笑顔で二人に言い渡す。
「二人共、そこに座りなさい。」
「「は……はい。」」
「私、顔に本をぶつけられたんだけど、まず私に言うことあるわよね?」
「「ご、ごめんなさい……」」
「はい、よろしい。それで……何?プリンを食べられて喧嘩しているの?」
「そうだよ、お兄ちゃんが僕の分を食べたんだ!」
「はぁ……それじゃ、ユリウスはアウグストにそのことを謝りなさい。それで私が一緒に代わりのお菓子を買ってあげるわ。それでいい?」
アウグストはコクリと頷いた。ユリウスは嫌そうな顔をし、アウグストから目を逸らしながら、
「わ、悪かったよ。勝手にプリン食ってさぁ。」
「はい、ユリウスは謝ったわね。それじゃアウグストは一緒に出かけましょうか。」
「分かった……姉ちゃん、ありがとう。」
「いいから、早く準備してきなさい。」
「うん!」
アウグストは外に出るための準備をするため奥へと戻って行った。アムリスは邪魔な荷物を玄関の一角に置き、アウグストの準備を待っていた。
ウインドールに一軒だけ建っている菓子屋にて、アウグストはメニュー表に張り付くように見ていた。
「お姉ちゃん!ほんとに好きなのを選んでいいの!?」
「もちろん、ゆっくり選びなさい。」
「わぁ!アムリス姉ちゃん、ありがとうね!」
アウグストは先程とは違い満面の笑みでアムリスにお礼を告げる。アムリスはやれやれといった様子で再びメニュー表に張り付くアウグストを優しく見守っていた。すると、店の奥から
「アムリス?今アムリスって言ったのかい?」
そう言いながら、一人の女性が厨房から現れる。アムリスはその女性を見て驚き目を見張る。
「まさか……マリアさん!元気になったんですね!!」
「ああ!アンタのおかげで、この通りさ。」
厨房から出てきた女性は、かつてのアムリスの同僚アレックスの母親、マリアであった。イェーゴの事件直後に会った時の憔悴しきった姿はもはや見る影もなく、かつての勝ち気で大らかな女性に戻っていた。
「良かったです……私ずっとマリアさんのことが心配だったから。」
「あっはっはっ!アムリスったら、私の心配なんて10年早いわよ。母は強いんだからねぇ!」
「うん……そうね。でも、本当に良かった……!」
アムリスはマリアの手を取り、涙を流しながら自分のように喜んでいた。マリアはそんなアムリスの表情を見つめ、優しい眼差しを向けながら口を開く。
「でもね、私があの時からこうやって仕事できるようになるまで回復できたのは間違いなく貴女のおかげ……本当にありがとうね。」
「マリアさん……」
「だけど、貴女には魔王を倒す使命がある。私なんかへの心配がそれを邪魔してはならないのよ。」
「……邪魔なんかじゃありませんよ、マリアさん。心配だけじゃない。私の感情で邪魔なものなんてありませんから。」
「……そう。それなら何も言わないわ。でも、今日こうして会えてよかった。」
「はい。私もそう思います。」
アムリスは指で涙を拭い、マリアににこりと笑いかけて言った。それと同時にアウグストが
「姉ちゃん、これにする!」
と大きな声で言い放った。その声量にアムリスは少しビクッとするが、アウグストに優しく微笑みかけてからマリアに向き直り言った。
「それじゃ、マリアさん。これ三つお願いします。」
「はいよ。」
マリアは注文を受け厨房へと戻る。アウグストはアムリスが三つ買ったことを疑問に感じアムリスに尋ねた。
「三つ?僕と、姉ちゃんと……」
「ユリウスの分。仲間外れにしちゃ悪いでしょう?」
「そっか……そうだね!」
アウグストとアムリスは笑顔で顔を見合わせ、お菓子を受け取り店を出た。アウグストは上機嫌な足取りで帰り道を進んで行く。
「ユリウス兄ちゃん、喜ぶだろうなぁ!」
「そうだと嬉しいね。」
「そうだよ!僕が選んで姉ちゃんが買ってくれたんだもん!」
「自信満々なのね、アウグストは……」
アムリスはそう言いながらアウグストの頬に触れようとする。しかしその瞬間、何かが爆発したかのような轟音が後方から響いた。
「何事ッ……!!」
パニックになり音のしたところから逃げ出す人々の波の中、アウグストをかばいながら音の方を見たアムリスは、その光景を見て絶句する。
「貴女は!!」
「……聖剣の女!?なぜお前がここに?」
そこに居たのは、魔王軍四天王『戦乙女』ラムディア・ストームヴェルンであった。
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