シロツメクサの指輪と永遠の約束

月原 裕

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第1話 九歳の約束

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 シロツメクサの咲く中、小さな子どもがふたり約束をしていた。
 ひとりの子どもは人間だが、もうひとりの子には黒い翼があった。

「〇〇、ないちゃだめだよ。もう帰らなきゃ。お父さんとお母さんとまなが心配しているから」
「まな?」
「おねえちゃん、やさしくてかわいいんだ」
「オレは奈々子がいい。」
「じゃあ、約束。もう一度会えますように」

 人間の子どもは帰りたいと願っていた。
 それを引き留めてもよかったが、奈々子が泣く顔は見たくない。

「約束の代わりにこれを」

 シロツメクサの指輪を渡した。

「えらい天狗さまになったらむかえにきてね。」

 いちごのついたかわいい髪ゴム。それは奈々子の一番のお気に入りだった。
 シロツメクサと髪ゴムの交換が行われる。
 それは儀式だった。遠い未来への約束の儀式。
 微笑む奈々子を男の子が抱きしめる。
 天狗の子どもにとっても人間の子どもにとっても淡い恋。

「えらい天狗になったら迎えにいく。」
 
 約束は呪縛。それを人間の子どもは知らなかった。
 楔のようにしっかりと胸の奥に刺さって取れない。
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