悪役令嬢としての役目を果たしたので、スローライフを楽しんでもよろしいでしょうか

月原 裕

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悪役令嬢の役割

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王立魔法学園、ティアード。
 門の上に立つ対のガーゴイルは、その昔、魔法で永遠に目覚めることのない眠りについていると言われている。その中庭でみんなの大注目の中で彼は言った。

「アリシア・アシュリー、君にはがっかりしたよ。奴と浮気をしていたなんてな!」
「すべて無実でございます。それに奴……とはどなたのことでしょう?」

 彼は優しく思いやりのある王になる。
 そう思っていたのは、もう過去のこと。
 肩までかかるプラチナブロンドの長い髪も深い深い海のようなマリンブルーの瞳ももう見ることができないのかと思うと胸が痛む。
 その痛みを感じないようにして、まっすぐに背筋を伸ばす。
「君の髪はまるで黒曜石のようだ」
 囁いてくれたのは、嘘だったのか。

「巫女姫として君を大事にしてきた。それが全部嘘だとは信じがたいが信じるしかない」

 この世界を変える存在として、神に使わされた存在。
 黒曜石のような輝きを放つ髪と瞳を持つ者として、神託が下り、派遣された騎士が一年かけて国中を探し回り、見つかったのが私である。
 体が弱かったために自然豊かな伯爵領で、自由きままに過ごした。
 二年前、十五歳だった私は右も左もわからないまま、第一王子の嫁となることが決まっていた。
 第一王子の嫁イコール、未来の王妃。
 王妃が務まるはずがなく、嫌だと拒んだ。しかし、巫女姫としての役割を果たせと言われ、流れされるままに行きついた先が婚約破棄だとは思わなかった。
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