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幕間(三章〜四章)
外の世界へ
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「ねぇ、母様? なんで森から出たらいけないの?」
「そう言う掟だからですよ。だから出ては行けませんよ」
「はい、分かりました母様」
小さい頃は、森の外に出ては行けない事に、なんの疑問も持たなかった。それが掟であり、此処で生きる為には守らなければならないものだったからだ。
「ねぇ父様? 森の外には何があるの?」
「何にもないさ。だから外に行っても、意味はないからね」
「はい、分かりました父様」
森の外には『何も無い』と教えられ、その事を信じた。親から教えられる事が、私の全ての知識だったからだ。だから、『外』に興味は湧かなかった。
「あなたはだあれ? なんで此処に居るの?」
「あら……可愛らしい……うぐっ……お嬢ちゃんですね」
「お姉さん怪我してるよ? 大丈夫?」
いつも通りに森から出ないように遊んでいると、森の『中』と『外』との境と教えられている場所に、怪我をしているお姉さんが木に寄りかかり座っていたのだ。
「お姉さんどこの人? 怪我してるから、お家の人が心配するよ?」
「フフフ、優しいのね。でも、大丈夫よ。此処の清浄な気は、直ぐにお姉さんを治してくれるから」
お姉さんはそう言っている間にも、何かお姉さんが呟くと身体の傷が治って言っていた。
「わぁ! お姉さんすごい! 傷が治っちゃった!」
「フフフ、なんて純粋な笑顔なのでしょう。ほら、こんな事もできるわよ?」
お姉さんがまた何か呟くと、目の前に私がいた。
「えぇ!? 私が目の前にいるよ! 怖いよぉ!」
「大丈夫よ落ち着いて、よく見て。ほら、冷たいでしょう? これは『氷鏡』というものよ」
そう言って私に『氷鏡』を触らせてくれた。
「ちめた!? なあにこれ?」
「これは『魔法』で作った『氷』よ、ウフフ」
お姉さんは、優しく微笑んだ。
「すごい! お姉さん何でも出来ちゃうの!? 私もしたい魔法!」
「お嬢ちゃんは、お父さんとお母さんはいるの?」
「うん! いるよ!」
「それなら、家にいる時にじっとお父さん達をよく見てるのよ? それでね、何か不思議な事をしたら直ぐに『それなあに? 私もやりたい!』って可愛く言うのよ?」
お姉さんが、突然子供みたいな声を出すので、少し後ずさっちゃったけど、ちゃんと頷いた。
「うん! 言ってみる! あれ? お姉さんどこ行くの?」
「お姉さん、お嬢ちゃんとお話してる間にすっかり元気になっちゃったのよ、ウフフ」
「え? そっちは『外』だよ? 『外』には何にも無いんだよ? 出ちゃダメなんだよ?」
お姉さんはこちらを向いて、困ったような顔をした後に、優しく微笑んだ。
「そうね。でもね、お姉さんにとってはね、此処には何もなかったの」
そう言ってお姉さんは、『外』に出て言ってしまった。
私はその事を父様と母様に言うと、凄い怖い顔に変わってしまった。
「「忘れなさい」」
私は二人に同じように、言われてしまった。
でも、私は『外』に行ってしまったお姉さんの事が、忘れられなかった。
そして私は魔法を親から教えて貰い、楽しくて楽しく沢山練習した。
スキルも両親から、色々教えて貰えた。特に『偽装』系統のスキルの習得は、必ず覚えるように言われていた。元々練習が大好きだったので、言われた事は全部覚えるまで練習した。
「ねぇ! 何で外にはでちゃダメなの!」
「掟なのよ! 外に出れば、此処にはもう帰ってこれないわよ!」
「何も無いなら、別に出てみたっていいじゃない!」
「何もないのに、出る意味がないだろう!」
此処で暮らす事に不満がある訳じゃなかった
私が知りたかったのだ
『外』がどうなっているかを。
親には『外』には何もないと教わった
あのお姉さんにあの時そう言うと、お姉さんから返ってきた言葉が頭にずっと残っていた
お姉さんにとってはここには何もなかった
お姉さんは『外』に何があるか言ってくれなかった
もう私にとっても何もないのが『中』
何かがあるのが『外』になっていた
だから私は『外』へ飛び出した。
家には『外』を見に行く事を、手紙に残した。
「此処が森の『外』?」
『外』と『中』の境界を超えて、私は遂に『外』へ出た。
「ふあぁあ……疲れた……ふぅ、ヤナ君の鞄の中には、どれだけ入るのかしらね?」
昨日、護衛クエストを受けていた冒険者が、無事に王都へ帰ってきた。途中魔族の襲撃があったらしいが、ヤナ君が魔族を討伐したそうだ。
「まだ冒険者になって、一ヶ月にもなっていないってのに……何なのかな、あの子は」
ギルド職員用の下宿屋の部屋で、一人そんな事を呟いていた。
そしてあたしは、いつもの様に胸を聖水に浸した護布で覆う。そして、ギルド職員の制服を着てから、いつも通りに魔法を掛ける。
「『世界樹の加護』」
全身が淡く輝き、優しい光に包まれる。
「あっと、忘れちゃいけないっと、『偽りの姿』」
私は鏡を見て呟いた。
「今日も良い感じね。さぁ、行くわよ私」
そこには人族より長い耳も、銀色に輝く髪も、翠色の瞳も写ってはいなかった。
私は胸元を手で摩りながら、ギルドへ歩いていく。
私は今、再び『中』にいる
「そう言う掟だからですよ。だから出ては行けませんよ」
「はい、分かりました母様」
小さい頃は、森の外に出ては行けない事に、なんの疑問も持たなかった。それが掟であり、此処で生きる為には守らなければならないものだったからだ。
「ねぇ父様? 森の外には何があるの?」
「何にもないさ。だから外に行っても、意味はないからね」
「はい、分かりました父様」
森の外には『何も無い』と教えられ、その事を信じた。親から教えられる事が、私の全ての知識だったからだ。だから、『外』に興味は湧かなかった。
「あなたはだあれ? なんで此処に居るの?」
「あら……可愛らしい……うぐっ……お嬢ちゃんですね」
「お姉さん怪我してるよ? 大丈夫?」
いつも通りに森から出ないように遊んでいると、森の『中』と『外』との境と教えられている場所に、怪我をしているお姉さんが木に寄りかかり座っていたのだ。
「お姉さんどこの人? 怪我してるから、お家の人が心配するよ?」
「フフフ、優しいのね。でも、大丈夫よ。此処の清浄な気は、直ぐにお姉さんを治してくれるから」
お姉さんはそう言っている間にも、何かお姉さんが呟くと身体の傷が治って言っていた。
「わぁ! お姉さんすごい! 傷が治っちゃった!」
「フフフ、なんて純粋な笑顔なのでしょう。ほら、こんな事もできるわよ?」
お姉さんがまた何か呟くと、目の前に私がいた。
「えぇ!? 私が目の前にいるよ! 怖いよぉ!」
「大丈夫よ落ち着いて、よく見て。ほら、冷たいでしょう? これは『氷鏡』というものよ」
そう言って私に『氷鏡』を触らせてくれた。
「ちめた!? なあにこれ?」
「これは『魔法』で作った『氷』よ、ウフフ」
お姉さんは、優しく微笑んだ。
「すごい! お姉さん何でも出来ちゃうの!? 私もしたい魔法!」
「お嬢ちゃんは、お父さんとお母さんはいるの?」
「うん! いるよ!」
「それなら、家にいる時にじっとお父さん達をよく見てるのよ? それでね、何か不思議な事をしたら直ぐに『それなあに? 私もやりたい!』って可愛く言うのよ?」
お姉さんが、突然子供みたいな声を出すので、少し後ずさっちゃったけど、ちゃんと頷いた。
「うん! 言ってみる! あれ? お姉さんどこ行くの?」
「お姉さん、お嬢ちゃんとお話してる間にすっかり元気になっちゃったのよ、ウフフ」
「え? そっちは『外』だよ? 『外』には何にも無いんだよ? 出ちゃダメなんだよ?」
お姉さんはこちらを向いて、困ったような顔をした後に、優しく微笑んだ。
「そうね。でもね、お姉さんにとってはね、此処には何もなかったの」
そう言ってお姉さんは、『外』に出て言ってしまった。
私はその事を父様と母様に言うと、凄い怖い顔に変わってしまった。
「「忘れなさい」」
私は二人に同じように、言われてしまった。
でも、私は『外』に行ってしまったお姉さんの事が、忘れられなかった。
そして私は魔法を親から教えて貰い、楽しくて楽しく沢山練習した。
スキルも両親から、色々教えて貰えた。特に『偽装』系統のスキルの習得は、必ず覚えるように言われていた。元々練習が大好きだったので、言われた事は全部覚えるまで練習した。
「ねぇ! 何で外にはでちゃダメなの!」
「掟なのよ! 外に出れば、此処にはもう帰ってこれないわよ!」
「何も無いなら、別に出てみたっていいじゃない!」
「何もないのに、出る意味がないだろう!」
此処で暮らす事に不満がある訳じゃなかった
私が知りたかったのだ
『外』がどうなっているかを。
親には『外』には何もないと教わった
あのお姉さんにあの時そう言うと、お姉さんから返ってきた言葉が頭にずっと残っていた
お姉さんにとってはここには何もなかった
お姉さんは『外』に何があるか言ってくれなかった
もう私にとっても何もないのが『中』
何かがあるのが『外』になっていた
だから私は『外』へ飛び出した。
家には『外』を見に行く事を、手紙に残した。
「此処が森の『外』?」
『外』と『中』の境界を超えて、私は遂に『外』へ出た。
「ふあぁあ……疲れた……ふぅ、ヤナ君の鞄の中には、どれだけ入るのかしらね?」
昨日、護衛クエストを受けていた冒険者が、無事に王都へ帰ってきた。途中魔族の襲撃があったらしいが、ヤナ君が魔族を討伐したそうだ。
「まだ冒険者になって、一ヶ月にもなっていないってのに……何なのかな、あの子は」
ギルド職員用の下宿屋の部屋で、一人そんな事を呟いていた。
そしてあたしは、いつもの様に胸を聖水に浸した護布で覆う。そして、ギルド職員の制服を着てから、いつも通りに魔法を掛ける。
「『世界樹の加護』」
全身が淡く輝き、優しい光に包まれる。
「あっと、忘れちゃいけないっと、『偽りの姿』」
私は鏡を見て呟いた。
「今日も良い感じね。さぁ、行くわよ私」
そこには人族より長い耳も、銀色に輝く髪も、翠色の瞳も写ってはいなかった。
私は胸元を手で摩りながら、ギルドへ歩いていく。
私は今、再び『中』にいる
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