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第四章 自由な旅路
数の暴力
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災厄を知らせる一報は、城でヤナ達が今後の事を会議した翌日の早朝にもたらされた。
「南の迷宮から、魔物が溢れ出てきています! 魔物の大氾濫を確認しました!」
「早かったな。ヤナが昨日、東の迷宮を破壊したと連絡があった。今は予定通り、西の迷宮を踏破中という事だが……何とか西は、氾濫する前に破壊して欲しいところだな」
王都防衛前線基地として、ギルドに対策本部を設置しており、王都支部ギルド支部長のガストフは、迷宮を見張っていた転移術者からの報告を聞いて、静かに呟いた。
「ガストフ殿、五十階層程の迷宮からの魔物の大氾濫は、どれくらいの規模になりそうじゃ?」
「正直分からんのです、アメノ殿。元々魔物の大氾濫は、管理されなくなった迷宮が長い年月をかけて氾濫するもの。どれくらいに成長した迷宮なのか、今回のは参考にならんでしょう。それに今回は、迷宮自体が瘴気纏いと言ってもいい」
ガストフ支部長はアメノからの問いに、分からないと答えつつも言葉を続ける。
「ただ、これまでのギルドの記録などでは、数千から数万と言ったところでしょうな」
「ふむ、それが休みなく攻めてくるというわけじゃな」
「そうですな。おそらく魔物は壁を登ろうとしてくるモノ、壁や門を破壊しようとするモノ、空から侵入してくるモノの大体これらの行動を取るでしょう。其々に、衛兵と冒険者を配置して対応ですな」
そして、エイダも加わる。
「ヤナ様が破壊した東からの援軍は、どれくらいで王都へ到着しそうなの?」
「東からの援軍は、おそらく早くて三日はかかるでしょう」
ガストフ支部長は、そう伝えた。
「やっぱり、それくらいはかかるわね。それで、私はどうしたら?」
「エイダ殿は、城壁からの遠距離攻撃部隊の指揮及び、ご自身も火力をお願いします」
「えぇ、分かったわ」
ガストフ支部長は次に、アメノを見た。
「アメノ殿は、近接戦闘職冒険者を連れて、ケイン王国騎士団長と城壁を飛び越えてくる魔物の討伐をお願いします。貴方なら、冒険者を引き連れてても、ケイン王国騎士団長とも上手くやるでしょう」
「そうじゃのぉ、あの鼻垂れなら、大丈夫じゃろ」
「宮廷筆頭魔術師のライア殿は、今も城壁に結界及び補強を続けてもらってます」
そして、詳細を詰めている所に再度報告が上がってきた。
「魔物の大氾濫は、全て王都に向かっています! このままなら、おそらく王都には本日夕暮れ刻には辿りつきます!」
「わかった、引き続き迷宮の出口を見張り、魔物の数も調査してくれ」
ガストフ支部長は、少し深い息を吐きながら、会議に参加している者と、全ての魔物が王都に向かってきている事を踏まえて、検討を重ねていく。
会議の休憩中に、アシェリはアメノに自分はどうしたら良いか尋ねた。
「ふむ、ヤナ殿から指示がない限りは、儂と一緒に街に侵入した魔物の討伐じゃな」
「わかりました」
獣人であるアシェリにとって、王都は単に寝起きをしている街に過ぎなかった。
だが、ここは今はヤナが戻ってくる場所である。
自分の主の帰る家を守るべく、決して引かないことを心に強く誓うのであった。
そして、刻一刻とその時は近づいて来ている。
一方その頃ヤナは、夜通しで東に続いて、西の迷宮を攻略していた。
「右、右、左! 左ですよこのバカ! そうです、左、右、真っ直ぐ、ボス部屋到着です」
「死に晒せぇえ!」
「ギャギャ!?」
徹夜で迷宮を攻略していると、流石に変なテンションになってきている。
「次! かかってこいやぁああああ!」
「マスター、もうここが最下層です。頭が腐ってるのは良いですが、しゃんとしてください」
「やかましいわ! 眠くても悪口は、分かるからな!」
俺は西の迷宮の最下層のボスを倒し、迷宮核前に再び立っていた。
迷宮核は、濃い瘴気を纏っていた。
俺は二刀を構え、迷宮核に問いかける。
「一応聞いておく。言いたいことがあるなら、今言え」
俺の問いかけに、迷宮核は何も反応がなかった。
「人の瘴気纏いと同じか? 死ぬときに元に戻るとかだろうか……どちらにせよ、介錯している様で気分は悪いな」
ガストフ支部長から南の迷宮が早くも魔物の大氾濫を起こした事と、それが全ての王都に向かっている事を呼出で聞いていた。その為、早く次の北の迷宮に向かいたいのだが、どうしても迷宮核を破壊した後に聞こえる声が気になったのだ。
「しょうがないな……それじゃ、今から斬るからヤナビ出口まで頼んだぞ」
「しょうがないですね、私がいないと何も出来ないんですからマスターは」
「お前は、俺の何なんだよ一体……」
「貴方の妄想とスキルが生み出した、理想の彼女像です」
「俺は認めねぇええええ!」
そして、迷宮核を両断し破壊した。
すると、やはり声が聞こえてきた。
『ごめんね……』
「謝罪はもう東でも聞いてる! 今回のこれは、一体何なんだ!」
『瘴気纏……喚陣……気をつ……て』
そして、完全に粉々に砕け散り声も聞こえなくなった。
「取り敢えず考えるのはあとだ! ヤナビ!」
「私が、マスターを待っていたんですが?」
「……おらぁあああ!」
俺は地上に向けて、駆け出した。
「セラ様、こちらも結界の補強をお願いします」
「ライア様、侍女に『様』付けはおかしいですよ?」
「無理です! 無理です! むしろこちらが『様』付けされるだけで背中に汗が……ひぃ!? 分かりましたから、嗤いながら金棒出さないでください! セラ……さん!」
セアラは、少し困った顔をしながら、宮廷筆頭魔術師のライアに耳打ちする。
「もし、周りに私が王女とバレたら、ヤナ様と旅が出来なくなるかも知れません……わかってますよね?」
「はいぃいいい! 以後気をつけますぅううう!」
既にこの時点で、周りからはおかしな目で見られていることを、二人は気づいていない。
「民の避難は、大丈夫ですか?」
「はい、そちらはケイン騎士団長が騎士団を連れて行っています。周辺村民についても、ギリギリまで王都まで避難を続けさせています。現在南と反対の北の門は開け、其方から随時受け入れております」
「分かったわ。ヤナ様が迷宮を破壊した東側へ避難する人は?」
「自己責任にて、北門から出て行っていますが、やはり少数の様です」
「そうですか……王や大臣は?」
その質問を聞くと、ライアは苦笑する。
「『王が民を捨てたら、それは王と呼べるのか?』『大臣とは、王を支える者である。王が城にいるというのに、大臣が何処へ行くというのだ』だそうです」
「ふふ、困った人達ですね。まぁ、私も最後までここにいますが」
「みんな似たようなものです、フフフ」
メイド服の黒髪の美少女の後ろに、グラマーな女魔導士が控える形で二人が微笑む。明らかに立ち位置が主従の関係になっている事に二人は気づいておらず、周囲には堂々たる立ち姿のメイドが、宮廷筆頭魔術師を従えてるような姿を見て困惑するのであった。
セアラは、結界強化を続けながらヤナの事を想っていた。
「ここは、この世界の貴方の帰る場所。必ず私が護ってみせる」
静かな口調で、しかし力強く想いの乗った呟きは、日が少しずつ暮れ始めた空に吸い込まれていった。
そして同じ頃、エディスは自分の部屋に一度戻り、本来の自分の装備を身につけていた。そしてその上から、『女神の修道服』を再度着替えた。
「覚悟を決めなくちゃ」
そして夕暮れになり、日が沈むと同時に王都の南から地響きが轟き始めた。
「来たか……お前らぁ! 気合を入れろぉおおお! 俺たちは誰だ! 冒険者だ! 冒険者にとって魔物は何だ! ただの素材だ! 金だ! 名誉だ! 奴らを狩り尽くせぇ!」
「「「おぉおおおお!」」」
ガストフ支部長の叫びとともに、冒険者の咆哮が響き渡る。
そして王都における南の迷宮の魔物の大氾濫からの防衛戦が、幕を開けた。
「マスター、本気ですか?」
「当たり前だろう? 間に合わなかったんだ。しょうがない」
ヤナは一人、北の迷宮の出口に引き返していた。
そして、出口から出たところで、ガストフ支部長へ呼出し、北は踏破中に魔物の大氾濫が起き、大量の魔物が湧き出し、出口に引き返した事を伝えた。
「『取りあえず、北門を閉じるだけでいい。こっちは任せろ。そっちは南だけに集中しろ』」
「『あぁ? 何言ってんだ? お前、まさか……無理だ! 早く帰ってこい!』」
「『一時間毎に、ガストフ支部長に呼出で連絡を入れる。もし定時連絡が二回続けてなければ、北門にも防衛戦を準備だ。それであれば、時間的には間に合うはずだ。あと、この事は誰にも言うな。現場を不安にさせるな』」
「『必ず最後は撤退しろ。お前が帰ってくる方が挟み撃ちなる場合でも、楽だからな』」
「『あぁ、分かった。それじゃ、みんなを頼む』」
そして、俺は深く呼吸した後に、腕輪と指輪を外す。
「さぁ、ぶつかり稽古と行こうか? 俺を倒さないと進めねぇぞ?」
北の迷宮では、ヤナと絶望的な迄の数の暴力との戦いが始まろうとしていた。
「南の迷宮から、魔物が溢れ出てきています! 魔物の大氾濫を確認しました!」
「早かったな。ヤナが昨日、東の迷宮を破壊したと連絡があった。今は予定通り、西の迷宮を踏破中という事だが……何とか西は、氾濫する前に破壊して欲しいところだな」
王都防衛前線基地として、ギルドに対策本部を設置しており、王都支部ギルド支部長のガストフは、迷宮を見張っていた転移術者からの報告を聞いて、静かに呟いた。
「ガストフ殿、五十階層程の迷宮からの魔物の大氾濫は、どれくらいの規模になりそうじゃ?」
「正直分からんのです、アメノ殿。元々魔物の大氾濫は、管理されなくなった迷宮が長い年月をかけて氾濫するもの。どれくらいに成長した迷宮なのか、今回のは参考にならんでしょう。それに今回は、迷宮自体が瘴気纏いと言ってもいい」
ガストフ支部長はアメノからの問いに、分からないと答えつつも言葉を続ける。
「ただ、これまでのギルドの記録などでは、数千から数万と言ったところでしょうな」
「ふむ、それが休みなく攻めてくるというわけじゃな」
「そうですな。おそらく魔物は壁を登ろうとしてくるモノ、壁や門を破壊しようとするモノ、空から侵入してくるモノの大体これらの行動を取るでしょう。其々に、衛兵と冒険者を配置して対応ですな」
そして、エイダも加わる。
「ヤナ様が破壊した東からの援軍は、どれくらいで王都へ到着しそうなの?」
「東からの援軍は、おそらく早くて三日はかかるでしょう」
ガストフ支部長は、そう伝えた。
「やっぱり、それくらいはかかるわね。それで、私はどうしたら?」
「エイダ殿は、城壁からの遠距離攻撃部隊の指揮及び、ご自身も火力をお願いします」
「えぇ、分かったわ」
ガストフ支部長は次に、アメノを見た。
「アメノ殿は、近接戦闘職冒険者を連れて、ケイン王国騎士団長と城壁を飛び越えてくる魔物の討伐をお願いします。貴方なら、冒険者を引き連れてても、ケイン王国騎士団長とも上手くやるでしょう」
「そうじゃのぉ、あの鼻垂れなら、大丈夫じゃろ」
「宮廷筆頭魔術師のライア殿は、今も城壁に結界及び補強を続けてもらってます」
そして、詳細を詰めている所に再度報告が上がってきた。
「魔物の大氾濫は、全て王都に向かっています! このままなら、おそらく王都には本日夕暮れ刻には辿りつきます!」
「わかった、引き続き迷宮の出口を見張り、魔物の数も調査してくれ」
ガストフ支部長は、少し深い息を吐きながら、会議に参加している者と、全ての魔物が王都に向かってきている事を踏まえて、検討を重ねていく。
会議の休憩中に、アシェリはアメノに自分はどうしたら良いか尋ねた。
「ふむ、ヤナ殿から指示がない限りは、儂と一緒に街に侵入した魔物の討伐じゃな」
「わかりました」
獣人であるアシェリにとって、王都は単に寝起きをしている街に過ぎなかった。
だが、ここは今はヤナが戻ってくる場所である。
自分の主の帰る家を守るべく、決して引かないことを心に強く誓うのであった。
そして、刻一刻とその時は近づいて来ている。
一方その頃ヤナは、夜通しで東に続いて、西の迷宮を攻略していた。
「右、右、左! 左ですよこのバカ! そうです、左、右、真っ直ぐ、ボス部屋到着です」
「死に晒せぇえ!」
「ギャギャ!?」
徹夜で迷宮を攻略していると、流石に変なテンションになってきている。
「次! かかってこいやぁああああ!」
「マスター、もうここが最下層です。頭が腐ってるのは良いですが、しゃんとしてください」
「やかましいわ! 眠くても悪口は、分かるからな!」
俺は西の迷宮の最下層のボスを倒し、迷宮核前に再び立っていた。
迷宮核は、濃い瘴気を纏っていた。
俺は二刀を構え、迷宮核に問いかける。
「一応聞いておく。言いたいことがあるなら、今言え」
俺の問いかけに、迷宮核は何も反応がなかった。
「人の瘴気纏いと同じか? 死ぬときに元に戻るとかだろうか……どちらにせよ、介錯している様で気分は悪いな」
ガストフ支部長から南の迷宮が早くも魔物の大氾濫を起こした事と、それが全ての王都に向かっている事を呼出で聞いていた。その為、早く次の北の迷宮に向かいたいのだが、どうしても迷宮核を破壊した後に聞こえる声が気になったのだ。
「しょうがないな……それじゃ、今から斬るからヤナビ出口まで頼んだぞ」
「しょうがないですね、私がいないと何も出来ないんですからマスターは」
「お前は、俺の何なんだよ一体……」
「貴方の妄想とスキルが生み出した、理想の彼女像です」
「俺は認めねぇええええ!」
そして、迷宮核を両断し破壊した。
すると、やはり声が聞こえてきた。
『ごめんね……』
「謝罪はもう東でも聞いてる! 今回のこれは、一体何なんだ!」
『瘴気纏……喚陣……気をつ……て』
そして、完全に粉々に砕け散り声も聞こえなくなった。
「取り敢えず考えるのはあとだ! ヤナビ!」
「私が、マスターを待っていたんですが?」
「……おらぁあああ!」
俺は地上に向けて、駆け出した。
「セラ様、こちらも結界の補強をお願いします」
「ライア様、侍女に『様』付けはおかしいですよ?」
「無理です! 無理です! むしろこちらが『様』付けされるだけで背中に汗が……ひぃ!? 分かりましたから、嗤いながら金棒出さないでください! セラ……さん!」
セアラは、少し困った顔をしながら、宮廷筆頭魔術師のライアに耳打ちする。
「もし、周りに私が王女とバレたら、ヤナ様と旅が出来なくなるかも知れません……わかってますよね?」
「はいぃいいい! 以後気をつけますぅううう!」
既にこの時点で、周りからはおかしな目で見られていることを、二人は気づいていない。
「民の避難は、大丈夫ですか?」
「はい、そちらはケイン騎士団長が騎士団を連れて行っています。周辺村民についても、ギリギリまで王都まで避難を続けさせています。現在南と反対の北の門は開け、其方から随時受け入れております」
「分かったわ。ヤナ様が迷宮を破壊した東側へ避難する人は?」
「自己責任にて、北門から出て行っていますが、やはり少数の様です」
「そうですか……王や大臣は?」
その質問を聞くと、ライアは苦笑する。
「『王が民を捨てたら、それは王と呼べるのか?』『大臣とは、王を支える者である。王が城にいるというのに、大臣が何処へ行くというのだ』だそうです」
「ふふ、困った人達ですね。まぁ、私も最後までここにいますが」
「みんな似たようなものです、フフフ」
メイド服の黒髪の美少女の後ろに、グラマーな女魔導士が控える形で二人が微笑む。明らかに立ち位置が主従の関係になっている事に二人は気づいておらず、周囲には堂々たる立ち姿のメイドが、宮廷筆頭魔術師を従えてるような姿を見て困惑するのであった。
セアラは、結界強化を続けながらヤナの事を想っていた。
「ここは、この世界の貴方の帰る場所。必ず私が護ってみせる」
静かな口調で、しかし力強く想いの乗った呟きは、日が少しずつ暮れ始めた空に吸い込まれていった。
そして同じ頃、エディスは自分の部屋に一度戻り、本来の自分の装備を身につけていた。そしてその上から、『女神の修道服』を再度着替えた。
「覚悟を決めなくちゃ」
そして夕暮れになり、日が沈むと同時に王都の南から地響きが轟き始めた。
「来たか……お前らぁ! 気合を入れろぉおおお! 俺たちは誰だ! 冒険者だ! 冒険者にとって魔物は何だ! ただの素材だ! 金だ! 名誉だ! 奴らを狩り尽くせぇ!」
「「「おぉおおおお!」」」
ガストフ支部長の叫びとともに、冒険者の咆哮が響き渡る。
そして王都における南の迷宮の魔物の大氾濫からの防衛戦が、幕を開けた。
「マスター、本気ですか?」
「当たり前だろう? 間に合わなかったんだ。しょうがない」
ヤナは一人、北の迷宮の出口に引き返していた。
そして、出口から出たところで、ガストフ支部長へ呼出し、北は踏破中に魔物の大氾濫が起き、大量の魔物が湧き出し、出口に引き返した事を伝えた。
「『取りあえず、北門を閉じるだけでいい。こっちは任せろ。そっちは南だけに集中しろ』」
「『あぁ? 何言ってんだ? お前、まさか……無理だ! 早く帰ってこい!』」
「『一時間毎に、ガストフ支部長に呼出で連絡を入れる。もし定時連絡が二回続けてなければ、北門にも防衛戦を準備だ。それであれば、時間的には間に合うはずだ。あと、この事は誰にも言うな。現場を不安にさせるな』」
「『必ず最後は撤退しろ。お前が帰ってくる方が挟み撃ちなる場合でも、楽だからな』」
「『あぁ、分かった。それじゃ、みんなを頼む』」
そして、俺は深く呼吸した後に、腕輪と指輪を外す。
「さぁ、ぶつかり稽古と行こうか? 俺を倒さないと進めねぇぞ?」
北の迷宮では、ヤナと絶望的な迄の数の暴力との戦いが始まろうとしていた。
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