ダークな乙女ゲーム世界で命を狙われてます

夢月 なぞる

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2章 帰郷(ダイジェスト版)

とある双子の吸血鬼の境遇~寮にて

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 え? いきなり前置きなしになんだ、これって?
 いや、前に言ってたじゃない? 本文見せるって。
 天城と蒼矢の。事件後の顛末をかいてたんだけど、どうかな?
 え? 天城ちゃんを妙なものに目覚めさせるなって?
 いや、あれ公式設定でしょうに?

 まあ、いいじゃない。
 で、この次に双子の場面になるんだけど。
 そこではつまらないとじたばたする統瑠と物思いに沈む翔瑠がいるんだ。
 翔瑠は統瑠を無視して事件の事を考えているんだけど。

 実は翔瑠には車で眠った後の記憶があった。
 それは環が犯人たちがの会話を盗み聞きして、慌てて助けを呼びに行ったときだ。
 実はあの部屋には統瑠や翔瑠もいて、翔瑠にはうっすら意識が会ったんだ。
 そこで逃げる環を見かけた翔瑠なんだけど、事件に環が巻き込まれたことを周囲には内緒にしていたんだ。

 あの事件でこっぴどく怒られた双子なんだけど、それは何も蒼矢会長を巻き込んだことだけじゃない。
 一番の問題は人間であるヒロインを事件に巻き込んだことだ。
 吸血鬼はとにかく人間に正体を知られることを忌避してるからね。
 その上、他の女子生徒を巻き込んだって知られたらそれこそ大問題だから。

 その話を翔瑠から聞いた統瑠は、多分環は一人で逃げたのだろう結論づけた。
 だって、環は寮でみつかっている。
 翔瑠が逃げたのを見たという時間を考えれば、寮で見つかった時間に帰りつけたことに矛盾がないからだ。
 結論として環も一人で逃げた罪悪感から他言しないだろうと、決め、利音には環のためにならないと黙らせたんだ。

 それで環のことは双子にとって一件落着。
 でもそれで終わったのは統瑠だけ。

 ねえ、覚えているかな?
 蒼矢と環が助けに来た時、一度だけ翔瑠が起きたこと。
 あの時の記憶は翔瑠の中にちゃんとあって、翔瑠は環が助けに来たことを知っている。
 でも、現実との矛盾に記憶が幻だと思っている。

 ただ、それはそれで別の問題があった。
 そもそもなぜそんな幻を翔瑠が見たのかということだ。
 環は翔瑠にとって、それまで気にしたことのない相手だった。
 統瑠と見分けてくるという、不安材料はあったが、あまり良い印象は抱いていなかったのだ。
 それなのになぜ、その相手に助けられるという幻を見たのか。
 その理由が翔瑠にはわかんなかったんだ。

 まあ、、事実を知ってると滑稽な疑問だけどね。
 でも事情を知らないと、わかんないことってよくあるもんね。

 で、この後、答えの出ない疑問を繰り返していたら、統瑠が火事に気付いて天城が飛び込んでくる。
 慌てて避難して外に出たら父親に保護される。

 で、その火事で気を失っている時に捕らえた犯人一味が逃げ出す。
 それがわかって、翔瑠視点終了って流れだね。
 どう、思う?ここまで。
 面白かった?

 え?いい加減、環のその後を話せって。
 まあソッチのほうが気になるか。

 では主人公のその後はというと。

 環は事件後寝込んでいたんだけど、ようやく五日後に起きれるようになっていた。
 寮で寮母さんが環の様子を見てくれたんだ。

 一時期は風邪の悪化で肺炎すら起こしかけたから、寮母さんの心配は半端ないけど、学園で心配してくれる人はいないに等しい環には少し嬉しかったんだ。

 そんな寮母さんの世話やきを受けながら、環は事件後のことを思いだす。

 あの事件のあと、環が自称神様の手を取った瞬間から記憶がなかった。
 それから三日間ほどは本当に意識がなかったんだけど、目覚めた後寮母さんから事情を聞けば、環は寮の玄関に倒れていたのを発見されたんだ。

 これはさっき見せた本文でも天城ちゃんとかが語ってるからわかるよね。
 でもよく考えて。
 そもそもあの時の環の服装や状態はどうだった?
 泥だらけの上に、殴られたりして怪我を追ってたよね?
 しかも会長からは噛み付かれて血を取られている。
 そんな状態の環を見つけて、普通は事件性を疑って、大騒ぎになるもんじゃない?
 そうなった場合、こんなに呑気に寝ていられるわけがない。

 でも、実際に寮母さんに見つかった環は何ともなかったんだ。
 怪我も制服も荷物さえも。なんとも。
 綺麗なまま、ただ意識を失った状態で発見された。

 だから、寮母さんは環が体調悪いのに無理して休暇先から戻ってきて、たどり着くと同時に倒れたのだと思っているようだった。
 環が休暇先から寮までの間に、事件に巻き込まれたなど露とも思っていない。

 環にはそれが不気味でたまらない。
 この場合不気味なのは寮母さんじゃないよ?
 発見された時間を考えれば、瞬間移動としか思えない方法で環を贈った神様さ。
 突然現れた得体のしれない存在に頼ってしまったのは本当に大丈夫だったのだろうかってね。

 まあそんな懸念は残るものの、その時の環はそんなに機嫌が悪くなかった。
 むしろ、4月以降、最高に良いとも言えるかも知れなかった。
 なにせ、とうとう「主人公のルームメイト」ていう立場を返上できたんだからね。

 実は聖さん。あの事件で助けだされた後、収容された吸血鬼運営の病院で、吸血鬼の花嫁であることがバレたんだ。
 検査で引っかかったのかもしれないけど、そこははぶこう。

 とにかく、そのことがきっかけで、一般生徒の寮においておけないって判断になったわけだ。
 とうとう、聖さんは転寮し、天空寮と呼ばれる吸血鬼の花嫁の集う寮に行くことになったんだ。

 環的は万々歳だよ。
 学園崩壊に寄る死亡フラグは消たわけじゃないけど、寮の部屋が別になるだけでも危険が減るからね。
 まだ、聖さんの荷物は室内にあるが、いずれ引越し業者が来るのだろうと、上機嫌でいたら、寮母さんに「寂しいわねえ」となぐさめられた。

 最高に幸せなのだけど、でも離れることを喜んでいると周囲に悟られても、外聞が良くないから適当に寮母さんに合わせていたら、突然とある人物が会話に入ってくる。
 何も隠すことはない。利音だよ。

 利音はなんと緑水を伴ってやってきた。
 女子寮に入ってきた彼に寮母は怒るけど、そこはほれ、悩殺スマイルというか、美形の特権とか言うやつで黙らせたんだ。

 環と離れたくないとダダを捏ねる利音に「早く帰りますよ」と引っ張る緑水の攻防に、巻き込まれ、環は病み上がりにベッドから落とされそうになるとかハプニングが起こる。

 そこに危機感を募らせた環はとにかく利音に穏便に緑水と帰ってもらうよう説得をした。
 しかし、それをどう聞き間違えたのか、寮母さんが、そんなに離れたくないなら環も引っ越せばいい、ととんでもない提案をしてきた。

 寮母が言うにはこの寮で面倒を見るには環の体調が心配なのだという。
 天空寮は設備が整い、四月以降体調がすぐれない環にはうってつけだと言うのだ。
 そんな理由で引っ越しなどできるはずもないと思っていたのだが、利音と寮母の主張と、環の説得に心を動かされる利音を見た、副会長の対抗心で、環は利音の転寮に巻き込まれることになったんだ。

 このエピソードはね、こう締めようと思ってる。

 利音「環ちゃん、人間、諦めが肝心だよ?」
 環「おまえが言うな!」

 ……てね。

 さて、次は天空寮に舞台を映してのモブの活躍だ。
 どうなるかねえ。

 ふう、それにしても、結構書き溜まってきたけど先は長いねえ。
 え? あとどれくらいあるのかって?
 さあ?

 ……でも、君なら最後まで聞いてくれるでしょ?
 うふふ、素直じゃないね。まあいいさ。
 続きも楽しみにしててね。それじゃ、またね。
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