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海鳴り
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「直也…くん…」
直也くんの唇から伝わる熱が、だんだん俺の心を溶かしていく。
「ここに…居ても、いいの…?」
「うん…ずっとここに居て?」
「なんで…?」
「駿さんのことが、好きだから」
「好き…?俺のことが…?」
「ふふ…気持ち悪い?」
「ううん…」
不思議と、嫌悪感は湧かなかった。
男同士なのに…
「夢だから…正直に言っちゃった…」
そう言って直也くんは俺の胸に顔を埋めた。
「駿さんは…皆に愛されてるよ…?」
「皆…?」
「俺でしょ…優也でしょ…海人でしょ…陸人でしょ…」
指を折りながら、兄弟の名前を呼んでいく。
「きっと、父さんも…駿さんのこと好きになると思う」
真剣な顔で俺を見上げた。
「…だから、死んじゃダメなんだよ?駿さん…」
美しいと思った風景…
その中に、俺が入ってもいいの…?
「きっとね…駿さんが気づかなかっただけでね、周りのひとは秋津 駿さんのこと、愛してたと思うよ…?」
ぎゅっと俺のシャツを握った。
「こころの目、開いたらいいね…」
「こころの目…?」
「うん…駿さんのこころの目…きっと優しい目をしてるんだろうな…」
直也くんが目を閉じて微笑む。
「直也くん…?」
「夢なのに…だるいなぁ…」
急に、体重がぐっと腕に掛かった。
「直也くん?大丈夫?」
「うん…駿さん…?」
「なに…?」
「好きだよ…」
俺に伸ばそうとしていた、直也くんの手がぱたりと落ちた。
「え…?」
直也くんの身体を揺する。
「直也くん!?直也くん!?」
直也くんは目を開けない。
「待って…直也くん…待って…!」
身体から力が抜け落ちていく。
体温まで抜けていきそうだった。
「直也くんっ…」
微笑んだ顔が、がくりと揺れた。
「直也くんっ…好きだっ…俺も…好きだよっ…!だから…いくなっ…行っちゃだめだっ…」
「…つさん…あきつさん…」
遠くで、誰かが俺を呼ぶ
だめだ…
俺、直也くんを探さなきゃいけない
「秋津さんっ…!」
はっきりと聞こえたのは、優也の声。
「ゆう…や…?」
「秋津さんっ…秋津さんっ!」
全身がびしょ濡れだった。
身体が重い。
目を開けると、優也もびしょ濡れだった。
「ああああっ…」
優也が俺に覆いかぶさって、大声で泣きだした。
「優也…」
「良かった…良かったぁ…」
ぎゅううっと、痛いくらい抱きしめられた。
「く、苦し…」
ふと見たら、周りに知らないおじさんがたくさんいて。
釣り船の周りには、漁船が集まってて。
俺たちが船から落ちたのを見て、救助に来てくれたってことだった。
散々、漁師の皆さんに怒られた。
港に帰ると、救急車が待っていて、すぐに病院に担ぎ込まれた。
全身検査されて、異常なし。
病院で乾いた服に着替えさせられた。
俺はいいって遠慮したんだけど、誰も俺の言うことなんて聞いてくれなかった。
着替え終わると、警察が来て色々聞いてきたけど。
あくまで事故ですって、優也が言い張って…
すぐに俺たちは帰された。
帰りのワゴン車の中は、無言だった。
あんなに陽気な優也が一言も喋らない。
俺も、何を言っていいかわからないから、黙り込んでた。
あけぼの荘に帰ると、海人と陸人が泣きながら飛び出してきた。
「わわっ…どうしたんだおまえら!」
「ゆーあんちゃあああん!」
海人が優也に飛びついて、ぎゅっとしがみつく。
「駿あんちゃあああん!」
陸人が俺にぎゅっとしがみついてきた。
「どうしたんだ、お前ら」
「なーあんちゃんが…」
海人と陸人の顔をよく見たら、滂沱の涙。
優也の顔色が青くなった。
すぐに民宿の中に飛び込んで行く。
俺はチビたちを両腕に抱えて、後を追った。
「直っ!直也っ…」
なかなか開かない直也くんの部屋のドアを、優也が蹴破った。
「直也っ…」
ベッドに駆け寄ると、直也くんが青白い顔で眠ってた。
あの夢の中で見たのと同じ、白いパジャマを着てた。
「直也っ…起きてっ…直也っ」
優也が直也くんの身体を揺さぶる。
「ん…」
直也くんが呻く。
優也が直也くんの額に手を当てる。
「凄い熱…」
優也は立ち上がると、直也くんを掛布団ごと抱え上げた。
「秋津さんっ…直也を病院に連れて行くっ」
「わかった」
チビたちを抱えて、優也の後についていった。
直也くんの唇から伝わる熱が、だんだん俺の心を溶かしていく。
「ここに…居ても、いいの…?」
「うん…ずっとここに居て?」
「なんで…?」
「駿さんのことが、好きだから」
「好き…?俺のことが…?」
「ふふ…気持ち悪い?」
「ううん…」
不思議と、嫌悪感は湧かなかった。
男同士なのに…
「夢だから…正直に言っちゃった…」
そう言って直也くんは俺の胸に顔を埋めた。
「駿さんは…皆に愛されてるよ…?」
「皆…?」
「俺でしょ…優也でしょ…海人でしょ…陸人でしょ…」
指を折りながら、兄弟の名前を呼んでいく。
「きっと、父さんも…駿さんのこと好きになると思う」
真剣な顔で俺を見上げた。
「…だから、死んじゃダメなんだよ?駿さん…」
美しいと思った風景…
その中に、俺が入ってもいいの…?
「きっとね…駿さんが気づかなかっただけでね、周りのひとは秋津 駿さんのこと、愛してたと思うよ…?」
ぎゅっと俺のシャツを握った。
「こころの目、開いたらいいね…」
「こころの目…?」
「うん…駿さんのこころの目…きっと優しい目をしてるんだろうな…」
直也くんが目を閉じて微笑む。
「直也くん…?」
「夢なのに…だるいなぁ…」
急に、体重がぐっと腕に掛かった。
「直也くん?大丈夫?」
「うん…駿さん…?」
「なに…?」
「好きだよ…」
俺に伸ばそうとしていた、直也くんの手がぱたりと落ちた。
「え…?」
直也くんの身体を揺する。
「直也くん!?直也くん!?」
直也くんは目を開けない。
「待って…直也くん…待って…!」
身体から力が抜け落ちていく。
体温まで抜けていきそうだった。
「直也くんっ…」
微笑んだ顔が、がくりと揺れた。
「直也くんっ…好きだっ…俺も…好きだよっ…!だから…いくなっ…行っちゃだめだっ…」
「…つさん…あきつさん…」
遠くで、誰かが俺を呼ぶ
だめだ…
俺、直也くんを探さなきゃいけない
「秋津さんっ…!」
はっきりと聞こえたのは、優也の声。
「ゆう…や…?」
「秋津さんっ…秋津さんっ!」
全身がびしょ濡れだった。
身体が重い。
目を開けると、優也もびしょ濡れだった。
「ああああっ…」
優也が俺に覆いかぶさって、大声で泣きだした。
「優也…」
「良かった…良かったぁ…」
ぎゅううっと、痛いくらい抱きしめられた。
「く、苦し…」
ふと見たら、周りに知らないおじさんがたくさんいて。
釣り船の周りには、漁船が集まってて。
俺たちが船から落ちたのを見て、救助に来てくれたってことだった。
散々、漁師の皆さんに怒られた。
港に帰ると、救急車が待っていて、すぐに病院に担ぎ込まれた。
全身検査されて、異常なし。
病院で乾いた服に着替えさせられた。
俺はいいって遠慮したんだけど、誰も俺の言うことなんて聞いてくれなかった。
着替え終わると、警察が来て色々聞いてきたけど。
あくまで事故ですって、優也が言い張って…
すぐに俺たちは帰された。
帰りのワゴン車の中は、無言だった。
あんなに陽気な優也が一言も喋らない。
俺も、何を言っていいかわからないから、黙り込んでた。
あけぼの荘に帰ると、海人と陸人が泣きながら飛び出してきた。
「わわっ…どうしたんだおまえら!」
「ゆーあんちゃあああん!」
海人が優也に飛びついて、ぎゅっとしがみつく。
「駿あんちゃあああん!」
陸人が俺にぎゅっとしがみついてきた。
「どうしたんだ、お前ら」
「なーあんちゃんが…」
海人と陸人の顔をよく見たら、滂沱の涙。
優也の顔色が青くなった。
すぐに民宿の中に飛び込んで行く。
俺はチビたちを両腕に抱えて、後を追った。
「直っ!直也っ…」
なかなか開かない直也くんの部屋のドアを、優也が蹴破った。
「直也っ…」
ベッドに駆け寄ると、直也くんが青白い顔で眠ってた。
あの夢の中で見たのと同じ、白いパジャマを着てた。
「直也っ…起きてっ…直也っ」
優也が直也くんの身体を揺さぶる。
「ん…」
直也くんが呻く。
優也が直也くんの額に手を当てる。
「凄い熱…」
優也は立ち上がると、直也くんを掛布団ごと抱え上げた。
「秋津さんっ…直也を病院に連れて行くっ」
「わかった」
チビたちを抱えて、優也の後についていった。
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